第26話カウンタースタイル

低く地面を震わせる声で唸る。


獰猛な赤き瞳は小さき侵入者たちをとらえている。


黒く丸太ほどの腕に両手に持つ巨大な斧を大きく構え、その侵入者たちを狙い振り下ろす。














窓もない部屋で突風を感じた。



「みんな!よけて!!」

ノエルの声に皆、我にかえり横っ飛びで回避する。


「ソフィア!こっちにくるんだ!」

体で覆うようにソフィアを抱きかかえるとギルボアは彼女を傷つけぬように回避した。



地震のように地面が震え、竜巻のような衝撃が全身へと襲い掛かる。


「ぐ、ぐぅううう!!!」


「だ、大丈夫ですか!!」


「頭をこっちに向けるな!耳を塞げ!!できるだけ小さくなるんだ!!!」

ギルボアは激しい衝撃のなか叫ぶ。







衝撃が止まると同時に獣の雄叫びが部屋中に響き渡る。


「ぐ、くそったれ…。ソフィア…大丈夫か?」


「は、はい。わ、私は…大丈夫です。で、ですがギルボアさん怪我を…」


「ふ、このくらい問題ないさ。筋を痛めたわけでも、骨を折ったわけでもない。…おまえさんに怪我がなくてよかったよ」


ギルボアはソフィアを安心させるためか頬に出来た擦り傷に一度触れると、彼らとは斧を挟んで反対方向へと避けた仲間たちを確認するために顔を逆の壁面へと向ける。


「レテさんやアイリスたちは大丈夫でしょうか…」


「なぁにあんな程度じゃ今のあいつらはやられねぇよ。安心しな」



ミノタウロスが斧を引き抜き構え直すと、反対側の壁面にそれぞれの武器を手に持ち先ほどの獣の一撃を物ともせず立ちミノタウロスを睨む3人がいた。



「な?」



「さぁて、反撃してみるか…」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

それでも君は行く のり @10teee

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ