第22話そして目指すは飛空艇
翌日、荷物をまとめ一行は飛空艇を目指すため水辺近くの森林を歩いていた。
山側を登り抜けるルートもあり、そちらの方が早く飛空艇につくのだが旅に慣れていないソフィアと年齢的にもう無理ができないギルボアを考慮し遠回りとなるが森林を抜けるルートを使用することとなった。
「結果的にこちらのルートでよかったかもしれませんね」
鬱蒼と茂るツタや葉を短剣で払いながらアイリスが話しはじめる。
「えーどうしてさー、アイリスねぇちゃん。たかいところのほうがたのしいってー」
ノエルは自分の意見が通らなかったことに少しへそを曲げている。
「またあの異形の者たちと遭遇した時に戦いにくいではありませんか」
「そうだぞぉ、ノエル。年寄りを少しは
そうだそうだと言わんばかりにアイリスの後ろからギルボアがノエルに反論する。
「んー、しかたないなータイチョーさんは。あのやまはまたこんどのぼるとするよー」
にこやかにそういうとノエルは目の前のツタをナイフで切り裂いた。
「ギルボア、年寄り?」
レテが彼の服の袖を引っ張るとそう尋ねる。
「あー…そうだなぁ他の部族とかは知らねぇが、王都の平均年齢は30歳とかだったはずだから…。おれは年寄りになるんじゃねぇかなぁ」
「ギルボア、何歳?」
「俺ぁ48だ。そういや…知ってる限りでも45歳まで生きたやつしか知らねぇから、ほらみろやっぱり年寄りじゃねーか」
「そんなことはありませんギルボア様!まだまだお若いですよ」
「んなこと言われてもなぁ。最近体力の衰えが激しいんだよ。昔みたいに馬鹿なこともできなくなってなぁ」
「そういやぁよ、ノエル」
ギルボアはノエルへ尋ねる。
「とりっくすたぁってのはなんだ?お前、昔は大盗賊とか言ってたじゃねぇか」
「あ、それ私も気になっていました。とりっくすたぁとは何のことでしょうか?」
ソフィアも疑問に思っていたのか、ノエルの方を向く。
「ちっちっちっ、わかってないなぁ、おふたりさん。とうぞくなんていいかた、いまのじだいいわないよー。トリックスターっていいかたしないとねー」
「ほぉ、そういうもんなのか?」
ギルボアはアイリスに意見を求める。
「どうでしょう…あまり聞いたことがないですね…」
しばらくそんなことを話しながら歩いていると道の先から光が差し込んできた。
「ギルボアさん、森を抜けるみたいです!」
ソフィアの言葉通りしばらくすると一行は森を抜けた。
抜けた先にはなにもなかった。
いや正確に言うと全て無に消されていた、と言うのが正しいのかもしれない。見渡す限り真っ平らな地面は地肌が見え砂埃がそこら中で舞っている。墜落した時の衝撃で全てが消えたのだろう。伝承によるとこの辺りにナムザ帝国の城があったはずなのだがその跡すらない。遠くには瓦礫の山々とそのさらに向こうにはうっすらとアイオラ国王都が見えるだけである。
「あれは…」
王国と真逆の方角には山々がそびえ立っているものだと全員が思っていた。しかしその山々の中心に周囲の山よりもはるかなデカさの物体が地面に対し垂直に突き刺さっていた。
素材は木だろうか。木目調のその物体は雲を突き破らんほどの高さでそびえ立ち、見るものを圧倒する。
「こ、こんなでかいのは見たことがありません…!!」
「これが…」
「飛空艇…!!」
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