第17話本日晴天につき、乱戦の様子あり。
飛空挺門を目指すべく近くの大通りへとでるとアイリスが風のように駆け抜けながら、ギルボアたちに気がつき近づいてきた。
「ギルボア様!ソフィア様も!ご無事で何よりです」
ギルボアの準備も整っていることを確認しつつ、アイリスは安堵の様子でそう話す。そしてふと彼らについてきた者たちにも目を向ける。
「ノエルとレテもよく来てくれましたね。また共に行動ができて嬉しく思います」
「やっほー!アイリスねぇちゃん、ひさしぶりー!」
笑顔のノエルは手をアイリスに向けてぶんぶん大きく振りながら久しぶりに会えた喜びを表す。
「レテ、アイリス、会えて、嬉しい」
そういうとレテはアイリスの近くへテテテと近寄りご機嫌な様子でそう言った。
「しっかし、レテは本当にアイリスのことが好きだな。はは、懐いてやがる」
その様子をギルボアは眺めながら、楽しげに笑っている。
「アイリス無事でしたか、よかった…。しかしなぜあのように急いでいたのですか?」
ソフィアは彼女が無事だったことに安堵しながらなぜ駆け抜けていたのを訪ねる。
「それは…」
「へっ、あいつらのせいか…」
アイリスが話し始めと同時にギルボアが大通りの先になにかを見つけ指をさす。
全員がその指先を追うとその先には黒装束の暗殺部隊が先ほどの倍以上はおり、ずらりと大通りの端から端まで埋め尽くしていた。突如現れたその集団に大通りを通行していた人々はこの大通りを通るには異質な彼らの服装から、ざわめき、足を止めその場から彼らは何者か確かめようとする。
「お、おい。あんたらなんでそんなカッコしているんだ?」
あんたらが塞いでいる道の方へ行きたいのだが、と通行人の男性は黒装束の一人に話しかけ通してもらおうと試みる。
「あぁぁぁああぁあ!!!!!」
男は突然叫び声をあげた。
黒装束の一人は無言で素早く取り出した短剣での胸を刺していた。
「う、うわぁああああぁああ!!」
「さ、刺されているぞ!!」
「血が…!!」
黒装束たちからは遠くの地点でその男性の叫び声を聞いた者たちは危ない連中だとその叫び声から判断し一目散に逆方向へ走り、逃げ去っていく。近くで刺された様子を見ていた者たちは恐怖から言葉を失い、立ち尽くしていた。
「ひどい…!何てことを…」
ソフィアは下を向き嘆き悲しむ。
「ちっ、あいつら暗部の人間のくせに大群で大通りなんかきやがって。そこまでしてソフィアを殺したいのか!?ああ!?」
大勢の人々が波のように走り去る中、その場で立ち止まっているギルボアは吐き捨てるようにそう言い放つ。
「なに、あれ」
レテはアイリスに質問した。
「あの者たちは、暗殺部隊の者たちです。…大通りに入れば追ってこないと思ったのですが、読み間違えましたね…」
アイリスは説明しながら、反省する。
「んー?わっかんないなー。なんでその暗殺部隊がソフィアちゃんを狙ってるのさー」
にこやかに交互に片足を数十秒づつ上げ、バランスをとりながらノエルはギルボアに尋ねた。
「あぁ、少し長ぇ話になっから出発してから話そうと思ってたんだがな。今、簡潔に話すとだな…」
そういうと彼はソフィアの両肩に手をそれぞれぽんと乗せ、ノエルとレテの顔を見て
「この子は、死んだウィルの子だ」
「ウィル。レテ達の仲間」
レテはソフィアをまじまじと見つめ
「目の色」
とだけ呟いた。
「なるほどなるほどー。それで、消しに来たってことかー。あはは、てっきりタイチョーさんの子どもかと思ってたよー」
似てないよねー、とノエルは言うと状況を理解し、ソフィアに挨拶する。
「どうもー。トリックスターノエルだよー。きみのおとうさんにはよくしてもらってたんだー」
「レテはレテ」
「私はソフィアと申します。ノエルさん。レテさん。宜しくお願いします!」
ソフィアは2人と挨拶を交わすと一礼をする。その様子をじーっと見ていたレテは彼女を真似、同じようにソフィアに礼をした。
「からの、アッパー」
「なんでぇええええ!!」
レテは礼をした状態から隣にいたノエルにアッパーしかける。が、すんでのところでノエルは避けた。
「おい、二人とも遊んでる暇はないぞ」
ギルボアは黒装束達を眺めながらそう注意する。
「レテ、遊んでない。本気、殺すの」
まぁまぁとアイリスがレテを制しながら、皆が彼の次の言葉を待つ。
ギルボアは黒装束達の動きから彼らはこちらを見つけ戦闘準備に入っていることを確認した。
「邪魔だ。どけ愚民ども」
黒装束達は近くで固まっている人々をボウガンや剣などで殺しながら距離を詰めている。
「気づかれたみたいだな。…やるぞお前ら。…ソフィアを守りながら後退する。こいつはなにがなんでも護るぞ!」
おお、と気合を各々が入れると、彼はソフィアと同じ目線まで腰を落とすと
「こんだけな人ごみで溢れかえってっと、動きづれぇし散り散りになりやすい。他の3人なら一人でもなんとかできるだろうが、お前さんだけはそうはいかねぇ。どっか行っちまわねぇように、俺から離れるな。いいな?」
とソフィアに優しく声をかけた。
「は、はい!」
「ふっ、いい返事だ…。よしいくぞ!」
そう言うと5人は逃げ出す人ごみに紛れ波に逆らわず移動し始める。
それを黒装束達は確認すると人ごみを縫うように駆け抜け始める。
「くるぞ…!」
大通りには乱戦の気配が漂っていた。
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