第16話ノエルとレテ

「とーう」

とノエルと名乗る男は屋上からくるくる回転しながら着地をする。


「やぁー」

と女も地面に着地する。


ナイフを持った男たちも、ソフィアも突然現れたその男女にあっけにとられ呆然とする。そのなか1人だけは違った。


「ノエル!それにレテ!…お前らなんでもう王都にいやがんだ?早すぎるだろう?」

ギルボアはそう呼びかけると、ノエルとレテと呼ばれた黒髪ボブヘアーの女は口を開く。


「やーやー、ひさしぶりだね、タイチョーさん。はやすぎるって?そりゃいまのじだい、てがみなんてすぐつくよー。じょうききかんしゃであっというまさー!」

ノエルはにこにこしながら答える。


「レテ、手紙、読めなかった。けど、ギルボア、絵送ってくれた、だからわかった。ノエル、言う通り、今の時代、蒸気機関車、はやい」

レテと呼ばれた女は片言で話している。


「なるどな、いやぁそんなにはえーとは思わなかったぜ。正直もっとかかると思ってたぞ」

ギルボアはのんきそうに答える。と裾を引っ張られソフィアに説明を求められた。


「あぁ悪かったななんの説明もせずに…。こいつらが例の助っ人さ、こっちのにこやかなのがノエル。で、こっちはレテ」

手をまじえながらソフィアに説明していく。ギルボアの話によると、彼らは昔からの仲間だそうだ。しかしながら彼らの年齢はどう見てもソフィアより幾つか上にしか見えなくそのことを聞くと

「あぁ、たしか…」

ギルボアは思い出そうとするが、思い出すのに時間がかかると思ったのか、ノエルが答える。


「ぼくは10さいのころにタイチョーさんにであったからねー。いまは23だよー!」


「レテ、何歳?」

レテはギルボアにそう聞く。


「そうだなぁ。お前は自分の歳知らねぇもんな。ノエルと同じくらいじゃねーか?」


「そう、なら、ノエル、殺す」

言葉とほぼ同時にレテは裏拳をノエルの腹に叩き込もうとする。


「ななななんでそうなるのかなー?ぼくはまだまだいきたいよー!」

ノエルはにこやかに答えると、紙一重でレテの裏拳を避けた。





「てめーら!!あんま調子こいてっと、滅多刺しにすんぞ!?ああ!!?」

4人の和やかな会話を見ていた男たちがナイフを握りしめ、4人に向かって走り出す。


「せっかく、タイチョーさんにあえたんだから…。…邪魔するなよ」

ノエルは声のトーンを低くすると右手にコインを持ち

「さぁさぁ、トリックスターノエルのスーパーイリュージョンの始まり始まりー。さて、お客さん、さっそく第1問!いまからこのコインで僕はどうするでしょうかー?」

と問題を一人の男に出した。


「しるか!!さっさと死んでろ!」

と男がいうとナイフでノエルの顔面を斬り付けた。






「ざーんねーんでしたー!正解はー、ナイフを受け止める、でしたー!」

右手の人差し指と中指で挟んだコインでナイフを受け止め笑顔で正解発表するノエルはこうも言った。

「それではー、間違えたあなたには罰ゲームをさしあげまーす」

そう言うとノエルは大きくふわりとバック宙をし距離をとる。それと同時に先ほどまでノエルがいた位置のあいたスペースにレテがさっと入れ替わり

「レテ、強い」

といいながら腰を落として構えを作り、手甲をつけた拳を相手の腹に叩き込んだ。


ドゴッ!


激しく響き衝撃波であたりに風を巻き起こすと、男は地面に何度がぶつかりながら数十メートル飛ばされ口から泡を吐き倒れた。


その様子を見ていたもう一人の男は悲鳴をあげながら逃げ出してしまった。


「逃げ出すならはじめっからつっかかってくんじゃねーよ」

ギルボアはそう愚痴をもらすと、気持ちを切り替え


「よっしゃ、ソフィア、今度こそいこうか」


「はい!」








ノエルとレテという仲間を加え飛空挺門を目指し歩き始めた。




「その前に、ノエル、さっき、うざかった、殴らせて?」


「いやだよ!」

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