第46話 お風呂

ep.8-5 November / 25 / T0059





 俺達はホテルに帰ってきた。


 食事も演奏会の会場で屋台の食べ物を摘み、食事はいらない。


 ここのホテルは地球の大型シティホテルと比べればとても小規模だ。

 だが、海外にある歴史ある小型のホテルと似ている。


 石造りで内装は木造。客室は50に満たない3階建てのホテルだ。


 明かり取りの窓はあるが、今の時間はランプとロウソクの明かりで灯されている。

 街の要人の宿泊や、迎賓館としても使われるのだろう。


 街の中でも珍しい高層の施設で、用心棒の獣族が歩哨をしており、兵士の駐在所も近くにある。


 ロビーを通ってフロントデスクに赴くと、受付に一人の獣人が立っている。


 …猿だ…。


 とうとう会ってしまった…。しかも議長に似ている…。


 おサルの彼に部屋を伝え、伝言がないか尋ねた。


 するとフロントマンのおサルさんは二件あると言う。


 一件はティーゼルさん。明日の朝食で話があるという。


 もう一件はスコット。手紙を渡された。

 

 手紙の内容は、クマ退治の事は他言無用。誰にも言うなとのこと。

 また、ティーゼルさんの指示に従うように動き、宿泊先のこのホテルも、関係者以外には言わないように。

 そして、スコット達は先にウーベントに帰ったそうだ。


 フロントへ夕食は不要なことを伝え、バスルームは有るかを尋ねた。


 すると有るという。獣族は水浴びや、湯船を使う習慣があり、予約制で使えるそうだ。


 二人で使えるかを確認すると、大丈夫だという。

 俺は大喜びで予約する。

 バスルームの準備ができ次第、部屋へ迎えに行くと説明された。

 

 お礼を言い、ついでに故郷には女神像や禁断の地はあるかも尋ねた。

 そんな物は無いと苦笑いされた。


 俺はランラン気分で部屋へ向かい、ウウクは久々に「?」な顔をした。


 絨毯の敷かれた木造の階段を上り、幾つかの客室の前を通過する。


 俺達の部屋は2階の一室で、ダブルベッドと家具等の調度品とランプ。別室の小部屋には排便用のオマルと桶が置いてある。


 バスルームのない簡素な部屋だが、ウーベントの宿屋よりも広く、高級感が有る。


  

 俺とウウクは帽子とコートを脱いで備え付けのソファへ腰掛ける。


 

 「今日は良い日だったね♪」



 ウウクはこぼれる笑顔を俺に向けてくれる。



 「そうだね。念願のコンサートも見れたね。」


 「うん♪ あんなに沢山の楽器で歌ったり演奏してるの見るの初めて♪」


 「楽しめてよかった。クマ退治をした甲斐があるよ」


 「ショウタ頑張ったもんね♪」



 ウウクは俺の肩を撫で、その手で愛撫するように髪の毛をいじる。


 俺は甘えたい気持ちになり、体を横にしてウウクの膝へ頭を乗せた。


 ムチムチしたウウクの太腿に顔を擦り付け、愛の香りに包まれる。

 体温の温もりとウウクの感触は至福のひと時だ。


 ウウクはそのまま俺の頭を撫でてくれる。



 「でも、あれは怖かったな…バスが正面から突っ込んでくるのと変わらないよ…」


 「バス?」


 「人が乗る車だよ。鉄の塊で、怪熊と同じくらいの大きさ。一度にたくさんの人を乗せるの…」


 「車はアニメで見たよ♪ あれのもっと大きいの?」


 

 ウウクは電子辞書の中の英語教育アニメの事を言っているのだろう。



 「そう。そんな動物なんてゾウか恐竜くらいだよ。銃があってホントに良かった…」


 「いっぱい練習した甲斐があったね。熊が、ずだぁーんって倒れた時は感動しちゃった」


 「ありがとうウウク。ウウクが見つけてくれなかったら探せなかったよ」


 「何となくここのクリーチャーの感じが分かってきたからかな。気配よりも超流動体エーテルで探せる感じ」


 「また超流動体エーテルか。超流動体エーテルで探せるの?」


 「うん。何か大きい奴はいっぱい感じるね。感覚だけど」


 「そうなんだ。ウウクとペアで行動しないと危なくて動けないな」


 「なら最高のパートナーね♥」



 ウウクは俺のおでこにキスしてお茶目に笑う。


 彼女の存在を俺が必要とする部分がドンドン大きくなる。

 文字の読み書きなら彼女のほうが上手だ。ハンターなどの体を使った仕事は手も足も出ない。


 知識的な部分は俺の方がカバーできるが、感覚的な部分はダメだ。

 そういう意味では本当に良いパートナーだ。


 膝枕をしてもらい、ウウクの愛撫に身を任せていると口が寂しくなってくる。

 俺は煙草は吸わないが、おっぱいは吸う。もはや依存症だ。


 俺はチュッチュと、軽く口を鳴らす。

 それを聞いたウウクは慣れた仕草で服をたくし上げ、胸をはだける。

 膝枕をされたまま、目の前に差し出された乳房に優しく吸い付く。


 甘い。まだ引っ込んだ尖端は起きておらず、ぷっくりとしたスベスベの輪を舐めるだけだがそう感じた。


 ウウクも俺に強く吸わせるために、大きな胸を俺の顔に乗せるように身を屈める。 

 

 乳肉に顔を全体を覆われながらも差し出された左胸を吸い、右側は手で揉みほぐしてあげる。


 ウウクも気持ちよさそうに体をリラックスさせ、俺の頭を撫でてくれる。



 「ショウタ、する?」


 

 お肉の上からウウクが聞いてくる。その声は慈愛に満ちていた。

 むにゅむにゅのパンケーキの布団から一度口を離した。 



 「いや、お風呂に呼ばれるから今はいいよ」


 「私ね、温泉ならよく入ったけど、お風呂は始めて」


 「故郷の温泉はどんなの?」


 「川に混ざった温泉とか、ちょうどいい温泉とか、臭い温泉とか♪」


 「う~ん、なんか分かるような、分からないような」


 「でもね、竜の姿だと全身入らないの。それもあってこの姿でいつも居たんだ♪」


 「そうだね。竜が入れるくらいの大きい温泉は聞いたことが無いね」


 「そうなの。だからさっき言ってたお風呂、私も楽しみにしてるの♪」



 ウウクは胸を俺の顔に押し付けながらそう言うと、俺の手を握り、握った手の甲にキスをしてくれる。


 俺に胸を吸って欲しいが、ウウクも口が寂しいのだろう。


 ウウクは俺の手にキスをし続け、俺はウウクの胸を舐めて吸い続けた。


 二人の至福の時間だ。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





っちゅっちゅ♪


 ハムハムっ♪


 むにゅむにむに♪



 「ねぇ、ショウタ。もうちょっと強く搾ってくれる?」


 「痛くないの?」


 「これくらいは平気。根本から、こーぎゅ~っと」



_コンコンっ


 

 「あ♪ 来たみたい!」


 「俺が出るよ。ウウクは支度して」


 「は~い♪」



 ウウクは服を整えながらバスタオルと着替えを取りに手荷物をあさり始める。



 「今開けます」



 扉を開けると、そこには獣族の女性が居た。羊さんだ。


 黒と白のエプロンドレスに、白い羊毛の髪が美しい。髪の間からクルリと角が出ている。

 身長は150cm程度だろうか? 小柄でもグラマー体型で、可愛らしい方だ。



 「こんばんはサイトウ様。本日はお風呂のご予約を頂きありがとうございます。ご予約のお風呂の準備が整いました。ご準備をして頂けますでしょうか?」


 「ありがとうございます。すぐに出ます」


 「では、扉の外で待たせて頂きます。本日は他の予約のお客様はいらっしゃいません。ごゆっくりご準備下さい」


 「着替えとタオル以外に用意するもは有りますか?」


 「お着替えだけで結構です。他の宿泊されているお客様がいらっしゃいますので、普段着をご用意してお越しください。お風呂の後にはバスローブでくつろげる場所もありますのでご安心下さい」 


 「分かりました。では、少し時間を頂きます」


 「はい。急がなくて結構です」



 俺は部屋に戻るとウウクに着替えだけを持つように伝えた。


 ウウクはお気に入りの紺色のおしゃれな刺繍の入ったポンチョと普段着を。俺も普段着と上に羽織る服を持って部屋を出た。


 部屋に鍵を閉めると羊さんが案内をしてくれた。


 お風呂場へ向かう通路では短槍を持った歩哨の獣族が館内を巡回していた。


 警備は万全だ。地球のホテルよりも安全かもしれない。


 宿泊客用の階段を降り、1階へ。

 屋外の共用トイレへの通路には、中庭へ通じる通路もあった。


 だが、それらを通過し、その先の両扉へ案内される。

 扉の前にはまた歩哨が立っている。


 羊さんが歩哨へ合図をすると、歩哨の兵士の獣族がにこやかに扉を開け、中へと案内してくれた。


 そこは小さなラウンジだった。


 ストーブの効いた部屋に、大理石のような白い石の床と壁。

 光沢のある白い石の壁はロウソクの明かりを反射し、部屋の中は思ったよりも明るい。

 

 部屋の中には編んだ籠の椅子が並べられ、風呂あがりにはここでお茶が飲めるようだ。

 お香が焚かれているらしく、ハーブのような優しく甘い香りがする。 


 羊さんは俺達を誘導し、部屋のクローゼットからタオルとバスローブを取り出しながら説明を始めた。



 「こちらの沐浴場では、このラウンジが休憩場でございます。ご予約のお客様はサウナと水浴び場、そして完全予約制の個室風呂をお楽しみ頂けます。個室風呂は全部で3つ。今現在は他の予約のお客様はおりません。ですので、ごゆっくりお楽しみ頂けます」



 羊さんは案内をしながら説明をしてくれる。個室風呂は広い更衣室と、石でできた大きな浴室が連なって出来てきた。


 広い更衣室には休憩ができるように椅子とお水が用意されている。

 温泉宿の家族風呂にすごく近い。


 お風呂場には石鹸や香油、ベビーパウダーの様なものまで何でもある。

 しかし、何故か取っ手の付いた虫取り網まで置かれていた。



 「これは何に使うのかな?」


 

 ウウクが羊さんに尋ねると、羊さんはちょっと顔を赤らめながら説明してくれた。



 「あ、あの…、私達の獣族には、私みたいに毛皮や体毛の多い方がいらっしゃいますので、湯船に浸かって抜けた毛を取るのに使います/////」



 ちょっと恥ずかしそうにする羊さんは可愛かった。

 そんな羊さんは浴室の中の緑色の砂が入った砂時計を二つひっくり返した。

 すると二つの緑色の砂は同時に落ち始める。羊さんはその内の一つを手に持った。



 「それでは、こちらの砂時計が落ちる頃。約一時間後に、私はラウンジで湯上り後の、お茶のご準備をさせて頂きます。

 それまでは席を外しますが、何かございましたら浴室の中のベルを鳴らして下さい。警備員が直ぐに伺います」



 説明を終えた羊さんは頭を下げ、砂時計を一つ持って退室した。


 俺とウウクは顔を見合わせ、笑顔を作り、服を脱いで浴室に入る。


 そこは二人には十分すぎる広さだった。


 大型の獣族が3~4人くらいで入れる大きさを設計したのかもしれないが、人間二人には小さな銭湯くらいの広さだ。


 お湯は石のパイプを通ってチョロチョロと供給されている。


 少しぬるいが部屋は暖かく、長湯には丁度良い。


 浴室のガラスの様な窓の外には篝火が灯され、室内のロウソクと共に部屋を明るく照らす。


 裸のウウクは、大きな胸をたゆんたゆんっと弾ませながらお湯を触って喜んでいる。


 その腕の筋肉が盛り上がっているのはパンプアップした証だ。

 それでも適度に付いた脂肪は瑞々しい体を引き立たせる。


 胸も突き出るように持ち上げられ、釣り鐘型の胸は大きく前に飛び出ている。


 立っているだけでセックスシンボルとアピールが強調されている。



 「ウウク、体洗ってあげるからこっちにおいで」


 「は~い♪」



 俺は椅子に座り、麻の手ぬぐいで石鹸を泡立て、ウウクを前に座らせる。

 こうやってお互いに座ってゆっくり体を洗うのは始めてだ。

 

 手ぬぐいは二重三重に重なっていて、泡立ちが良い。洗い始めたウウクの背中も泡だらけで綺麗に洗える。



 「気持ち良い♪ ゴシゴシ♪」


 「良かった。いっぱい洗おうね」


 「ね♪」


 「ウウク、バンザイして」


 「? バンザイ?」


 「両手を上にあげてくれる?」


 「は~い♪」


_ごしゅっごしっごしっ


 「ひゃぁぁっはっはっは♪ やっぱ無理~♪」


 「逃げちゃダメ~♪」



 バンザイをしたウウクの脇の下も綺麗に洗ってあげる。

 ウウクはくすぐったそうに逃げるが、俺は逃さない。

 ヌルヌル滑る腕を掴み、体中を洗いながら脇の下と脇腹も洗う。


 

 「ウウク、脇の毛また剃ろうか? 伸びてきたね」


 「ショウタも髭剃るんでしょ? 一緒にやって♪」



 ウウクはあまり伸びてこないが、脇の毛を定期的に剃っている。髭剃りで慣れた俺が担当になった。


 俺もこの数日の移動とクマ退治で髭剃りが出来なかったので無精髭が生えている。


 ウウクの全身、足の指まで綺麗に磨く。


 今度は俺の体となり、ウウクは泡だらけの全身をそのままに俺にくっつけてくる。

 大きな胸をグニュグニュと変形させながら俺の胸板に擦り付ける。



 「これ気持ちいいな…。ねぇ、寝てもいいかな?」


 「良いよ♪ その方が擦りやすいから♪」



 俺は浴室の外に置いた大きなタオルを一枚取り、浴室の床に一枚敷いてその上に仰向けで横になる。


 ウウクは俺の上に乗り、石鹸で泡だらけの体と手ぬぐいで俺の体を擦ってくれる。


 ウウクも気持ちよさそうにニュっポニュっポと体を擦り、おっぱいを潰すように俺に押し付ける。


 

 「これ良いね♪ こっちのほうが洗いやすいし気持ち良い♪ ショウタの体触り放題だよ♪」


 「ああ、俺もウウクの体を触り放題だ。何か全身でエッチしてるみたいだね」


 「ね♪ これお家にも欲しいな♪」


 「難しいな。でも、いつか作れたら良いね。そしたら毎日ソープランドだ」


 「ソープランドてなぁに?」


 「恋人同士でする、この行為のことだよ」


 「そうなんだ♪ ソープランド大好き♪ いっぱいしようね♪」



 ウウクは自慢の爆乳で俺のナニを挟みながら全身を上下に滑らせる。


 ウウクが動く度に胸の谷間とウウクの腹筋に擦り潰され、えも言えぬ快感に戸惑う。

 段々とこのプレイに慣れたウウクは体を滑らせながら遊び、その動きに合わせて俺に強い刺激が伝わってくる。


 そのまま体を洗いながらこすり合い、ウウクに愛してもらう。


 俺が達するのにもさほど時間はかからなかった。


 俺は余韻を楽しみ、ウウクもそれを与えてくれる。


 出し尽くすとウウクは手桶でお湯を汲み、俺達の全身にお湯を流す。

 俺にも沢山お湯を掛け、ほとばしった残骸を洗い流してくれる。

 


 「気持ちよかったよ」


 「よかった♪」 ちゅ♥



 体を洗い終えた俺にウウクがキスをする。


 そろそろ髭を剃りたい。

 備え付けの鏡に向かい、泡立てた石鹸をシェービングクリームに使う。


 用意されていた小さなブラシで泡だて、小さなカミソリでショリショリと剃る。


 その間にウウクは俺の背中を優しく洗ってくれる。体が動かないように静かにだ。


 さっきまでの淫欲と肉感的な空間が一変し、静かで優雅な空間になる。


 俺は普段は毎朝髭を剃り、髪も定期的に理容室に行く。だから俺の髪は長くない。


 ウウクも女性向けの理容室で、長い髪を整えてもらっている。彼女は切ったその美しい髪を理容室に提供するので、割引してもらえるらしい。


 剃り終わり、顔を洗う。綺麗に剃れた。

 もはや血の滲みは無い。慣れたのだ。



 「終わったよウウク。今度はウウクだよ」


 「は~い♪」



 ウウクは持っていた手ぬぐいの泡で脇の下をシャコシャコする。

 俺もブラシで泡を付ける。



 「ウウク。右から。腕上げて」


 「お願いします」



 ウウクは腕を上げ、俺に美しい脇を露わにする。そこからは金色の体毛が少し生えている。多くはない。


 俺はその毛をカミソリでゆっくりと剃り落とす。綺麗に研がれたカミソリは切れ味が良い。

 凹みに沿って、皮膚を傷つけないように滑らせる。ウウクの髪質は俺よりも硬いので剃り心地が良い。

 

 両脇を剃り終えると、お互いの毛と泡を落すためにお湯を浴びる。

 

 手桶でお湯を汲み、ウウクから掛けてあげる。

 大きな体と爆乳に滝のようにお湯が流れて美しさを演出する。



 「ウウク、脇を上げて。見てあげる」


 「いやん♪ えっち♥」

 


 ウウクは茶化しながら腕を上げる。そんなこと思ってないくせに、最近そんな風に言うようになった。


 ウウクの脇の下は綺麗に剃られてツルツルだ。

 ウウクの肌色は濃く、金色の体毛は全然目立たない。


 美味そうなのでツルスベの脇の下を舐める。



ぺろぺろっ


 「ひゃっっはは! 何するの!? いや~ん♥」



 ウウクは俺から逃げるように立ち上がって湯船にジャボンっと入った。


 俺もゆっくり後に続き湯船へ。

 湯船に浸かるウウクは、ぬるめのお湯の中で天女のように髪を揺らめかし、その髪も紐で結ってまとめてしまう。


 その様子を観察しながらお湯をすくって肩にかける。気持ちがいい。全身無理なく入れる。大きな浴槽を二人きりで使うのは贅沢だ。


 浴槽内の縁の段差に座り、リラックスすると、髪をまとめ終えたウウクが寄ってくる。


 同じように腰掛け、俺に背中を預けながら俺の顎先に頭と髪をぎゅ~っ♥と押し付けてくる。



 「気持ち良いね…」


 「うん。こんなのはじめて……♥」 



 ウウクとお湯をちゃぷちゃぷ波立たせ、彼女の胸を揉みながらゆっくりと楽しむ。


 彼女も俺のナニを握り、クニクニして遊んでくる。


 ウウクと一緒に湯船に浸かり、チョロチョロと流れ続けるお湯の音を聞きながらのんびりと過ごす時間は幸せだ。


 スリスリと俺に頬ずりする彼女を抱きしめ、彼女の耳をハムハした。


 背中から抱いていた彼女の向きを正面に向き直させてキスをする。


 のぼせる前に一度出て、暖かな更衣室の木の椅子に座って水を飲んで休憩すると、そのベンチのような椅子に寝転び、ウウクに腰や背中を揉んでもらう。


 お返しにウウクにも寝てもらいマッサージをしてあげる。


 休憩をすませると今度はウウクの髪の毛を洗うことにした。


 オリーブ石鹸で泡立てた泡をウウクの髪に馴染ませるように洗い、シャカシャカと頭皮を洗いながら揉むと、気持ちよさそうにウウクが頭を左右に振るのでちょっと洗いにくい。

 でも俺もつられて体を振りながら洗う。


 毛先から頭皮まで満遍なく洗うと、今度はウウクが俺の髪を洗ってくれた。


 丁寧に指先で洗い、背中に当たる胸の感触が絶品だ。

 おっぱい枕に後頭部を押し付けると、洗えないっと文句を言われた。


 お互いの頭をお湯で洗い流し、ウウクは洗った髪を絞って髪結いで縛る。


 そしてもう一度一緒に湯船の中へ。


 のんびり抱き合いながら浸かって肌とお湯の感触に酔う。


 そのうちウウクが湯船の中に潜り始める。


 待っているとプアーっと息継ぎをしに浮上してくる


 目で「一緒にやろう」っと言ってくるので俺も参加する。


 同時に潜り、お湯の中で目を開けるとウウクと目が合う。


 緑色の神秘的な目が笑っている。 


 なぜかおかしくなって笑ってしまい、先に上に上がって息継ぎに出てしまった。


 その後に出てきたウウクは勝ったことを喜びながら俺に抱きつき、ほっぺにキスしてくる。


 そんな彼女を抱きしめながら湯船で体を温める。


 お湯から上がって余韻を楽しみ、更衣室に置いた砂時計を見ると砂は落ちきっていた。

 ゆっくりして良いと言ってたから急ぐ必要はないだろう。


 湯船から上がった俺とウウクは、浴室に用意された網で汚れと髪の毛をすくった。


 最後に体を少し流してから楽しいバスタイムは終了した。


 水を飲んで体を拭いてからバスローブを身につけて、個室を出た。

 ウウクは洗った髪をタオルで包んでいる。 


 ラウンジの休憩場の椅子にエプロンドレスを着た羊さんが座っている。

 俺達に気がつくと立ち上がってお辞儀をした。


 

 「お疲れ様でした。湯加減は如何でしたか?」


 「とっても気持ちよかったです♪」


 「本当に。ありがとうございました」


 「それは何よりです。どうぞこちらに座って下さい。ただいまお飲み物をお持ち致します」


 

 羊さんに案内され、真新しいタオルの敷かれた椅子に案内される。


 俺達は椅子に座り、くつろいでいると冷たいお茶が用意された。

 ジャスミンティーの様な香りで清涼感が有る。



 「失礼ですが、奥様は髪を洗われましたか?」



 羊さんはウウクのタオルの巻かれた髪を見ながら尋ねて来た。 



 「奥様…♥」


 「はい。彼女は髪を洗いましたけど、どうかしましたか?」


 「よろしければコンディショナーのご用意をさせて頂きます。お待ち下さい」



 羊さんはそう言うとラウンジの奥の個室から、様々な壺やガラス瓶、陶器の器を持ってきた。


 ウウクの髪の毛を見せて欲しいと申し出たので診てもらう。


 羊さんはウウクの髪が綺麗だと褒め称え、髪質を見定め始めた。


 羊さんが言うには、獣族は種族によって体毛の質が全く異なり、種族によってお手入れもまるで違うらしい。


 なのでお風呂で体を洗った後は、そのお手入れに様々な工夫をするので、コンディショナーは欠かせない。


 その為にこのホテルでは特別な費用は利用者には一切請求せずに、体毛のケアを提供している。これによって快適に過ごしてもらうらしい。


 髪質を見た羊さんから、ウウクの髪の毛に適した種族のコンディショナーがあるのでそれを付けましょうと助言された。


 進められたのは先住民族の“アザラシ族”が使う、海藻由来の保湿剤だそうだ。


 羊さんはウウクの湿った髪を新しいタオルで綺麗に拭き、コンディショナーを手に取ると、念入りにウウクの髪の毛全体に染み込ませる。


 甘く、果実のような香りもする。ウウクもうっとりと身を任せた。


 羊さんは、このまま洗い流さずにタオルを巻いたまま眠るようにと説明した。

 

 俺とウウクは羊さんにお礼を言い、個室で着替えて歯を磨き、沐浴場を後にする。


 部屋まで送ってくれた羊さんには多めのチップを払った。


 行き届いたサービスで俺もウウクも大満足だ。

 

 俺とウウクは下着姿で一緒にベッドに入って、ウウクの甘い香りの髪を楽しみながら眠った。








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