第37話 冬の訪れ
ep.7-2 October / 24 / T0059
あれから幾つかのベンリーの仕事をした。
ハンター業務では無く、便利屋業務を主にだ。
やったのは配達や、木の実やハーブの採集。農作業のお手伝い程度。
ゴッズさんの様に器用でもなく、ここの世界の知識も無いので難しい依頼はやらなかった。
大ガエルの依頼みたいな倒す、追っ払う依頼は単純でやりやすいが、危険なので遠慮気味。
ハンティングの方が実入りが良く、上手く行けばすぐに終わるが、消極的だった。
ウウクはあれから陶工職人の工房のお手伝いを探しだした。
週に何回か、学校が早く終わる日に行っている。
工房長の“プチンスキー”さんの下で、粘土の準備やら何やらの雑用と販売のお手伝いらしい。
ウウクの高い筋力と体力が褒められ、兼業ハンターという所も気に入られ、仕事の合間に陶芸もやらせてもらっている。
我が家にも早速ウウクが作ったお皿が来た。窯で焼かれた丈夫な皿で、割れにくい。
なので、本当に気が向いた時にベンリーやハンターとして仕事の依頼を受ける程度になった。
俺は衛生局と学習。ウウクは学校と陶芸。たまに一緒にチームでベンリー。
そんなもんだ。
今日の月曜日に当たる日、衛生局での仕事中に雪が降りだした。
そろそろ寒い冬が来るらしい。
クロウラーの下水は糞便が発酵して冬でも温かい。
ミミズの飼育場所も雨が入らず、陽が入るように工夫された風通しの良い木造小屋で行われ、冬には壁を増設して断熱と保温効果を上げることもできる設計で温かい。
それでも気温が下がって寒くなると、流石の彼らもちょっと動きが鈍くなる。
そもそも寒いと人の外出や消費も減るので、トイレの使用頻度も減る。
しかも、雪が積もれば取引先である農家も冬休み。
なので、出来上がったミミズの土を
この日も保管する土を
この運び込む土には、ミミズの卵や幼体を混ぜ入れて、さらに追加で大量の生ゴミを一緒に混入させることで冬を越しながら育てるらしい。
丈夫な成体は冬場も頑張って土を作り続ける。
ここで問題が起きた。
冬になると取引先がなくなるし、仕事も減る。
街のトイレの管理は奴隷やベテランの解放奴隷が担当していてくれる。
局員や、他の開放奴隷達は交代で長い冬休みを取る。奴隷まで冬休みがもらえる。
もちろん俺も冬休みをもらえた。
局員の人からは、「出勤日が決まったら連絡するからそれまで休み」っと言われた。
超アバウトだ。一応有給扱いなので、少ないが給料は入る。
しかし、暇になる。
職場の人からは「冬ならハンターの忙しい時期だろ? 頑張れよ!」と激励を頂いた。
11月からどうしよう……。
家に帰る間にも雪は降り、寒さと雪対策で用意した衣類が抜群の効果を出す。
明日には雪を踏みしめながら移動し、それ以降は毎朝の日課が雪かきになる予定。
それ以上にハンターとしての仕事をするのは避けては通れない雰囲気。
どうしたものか。
備蓄食料は職場の人や、ウウクの学校で教えてもらった内容に合わせて少しずつ用意した。
心配はしていない。ただ、ウウクも空いた時間が増えるので一緒の時間も増える。
その分ウウクの狩人魂にも火がつき、ハンターの時間も増えるだろう。
そこだけが心配だ。
仕事から帰宅途中の街の外で、人気無い場所がある。
守備隊兵士の演習場の付近だ。
街の外のこの場所では、決まった時間にしか演習はしていないので、ここも射撃練習場に活用している。
今は雪が降って、雪が音を消してくれる。
周りを見ても人の気配も無いので、問題なくやれそうだと感じた。
コートの下から
装弾する
的となる細い木を決め、一回ポンプ。
距離は50mも無い。
体育座りのような姿勢で一度地面に座り、
単眼鏡を覗き、狙いを定めて発射。
_ボシュンッ!!【バァンッ!!】
木の幹がエグれた。
思ったよりも右にずれた。
二発目。二回ポンプ。
_ボッッン!!【バギャッン!!】
木の幹に大きな穴が空く。貫通したらしい。
今度はやたらと下にドロップした。
三発目、三回ポンプ。
_ボンッッ!!【ボガォォォン!!】 メキメキメキメキ…
木が根本からエグレて倒れた。
今度は予想以上に狙い通りに行った。
全体的には以前に比べれば、かなり当たるようになった。
ある程度でも、だいたいで当たれば着弾の衝撃で吹っ飛び、直撃したら粉々だ。
何度やっても精密射撃は出来ないが、この弾の衝撃がそれを十分カバーしてくれる。
ポンプ回数が増えるごとに威力が増す。最大三回まで。
ポンプ二回からは発射すると、爆発するような音が混ざって、発砲音が大きくなる。
さらに反動も増す。
ポンプガンの練習を始めた当初。
最初は
どうやら肩に当てているつもりでも、腕で抑えているだけになっていたようだった。
手頃な弾が少ないこともあり練習は毎日行えず、練習も多くても一日20発がせいぜいで、50発も撃ったら疲れてしまう。
無反動のブラスターに慣れてしまったこともあり、ポンプガンは特に馴染みにくかった。
それでも撃ち続けながら自分なりに構え方を試行錯誤し、段々と撃った衝撃と力が抜けていく姿勢や構え方を見つけ出せるようになり、我流だが撃つだけならできるようになってきた。
問題は、弾が全く安定しないので、距離が離れると予想以上に軌道が逸れてしまい、当たらないこと。
それをどうやってカバーするかだが…。
今のところはなるべく近づいて、しっかり狙い、全身が動かないようにしっかりしゃがんで、銃も動かないように膝を支点に固定するしかない。
弾となる石やゴミ、陶器の欠片ではブレ過ぎる。
散弾も都合のいい小さな石の粒が沢山手に入らない。
困ったもんだ…。
銃の感触を確認し終えると、俺は
俺はこの時、見られていることに気が付かなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
家の前に来ると、薄っすらと雪が積もっていた。
家を囲む柵の中は我が家の番犬、ミニーのテリトリーだ。
しかし姿がない。ウウクが中に入れてあげたのだろう。
案の定、俺が近づくと家の中からミニーの鳴き声が聞こえた。
_ギィッ
「ただいま」
「おかえりショウタ♪」
「ワン!」
ウウクは長い黄色い髪を後ろで結ってポニーテールにしていた。
この髪型も俺は大好きだ。
「ただいま。とうとう雪が降ってきたね」
「ね! 11月から冬休みだって♪」
「学校が?」
「そうだよ。ちょっと寂しいけど、一緒に入られるね♪」
ウウクはそう言いながら台所でパンを温めていた。
ミニーは室内用に用意した、ヤナギで編んだバスケットに敷かれた毛布の上で座っている。
「俺も11月から休みになっちゃった…ハンター頑張れだって…」
「じゃ頑張っちゃおうか♪ またカエル取ろうよ♪」
「え〜。カエルの精巣はもういいよ…。無くてもウウクが居れば大丈夫でしょ?」
「でもね、あの乱暴にもショウタに求められるの、すごいんだもん♪」
「……まぁ、機会があればね。それより、陶芸は?」
俺は毛皮のコートを片付け、毛皮で加工されたブーツを脱ぎ、室内用の靴に履き替えた。
「陶芸はやるよ。でも、寒いから頻繁にはやらないみたい。お客さん少ないから」
「そうか…。じゃ、覚悟しなきゃダメか」
ウウクは前回のエイイェイ、カエルの戦いで射程距離の長い武器を使いたがるようになった。
その為に“アトラトル”って言う、やり投げの道具や、弓矢やボウガンに目をつけ始めた。
学校でスコットのチームメンバーの“ジョー”さんに手ほどきを受けて練習し、家の庭の射撃練習場で俺が用意した的に射っていた。
筋力があり、センスもあるので先週にもヘラジカをやり投げで仕留めてきた。
大きすぎて処理が大変だったが、冬支度に調度良かったので燻製にした。
ウウクはやる気満々だ。でも、俺は尻込み。
「ウウクはどんな依頼が良い? 動物? クリーチャー?」
「クリーチャーの方がチャンスが少ないからやりたいな。そうでしょ?」
「まぁ、あんまり勝手にはハント出来ないからね」
そう。クリーチャーは無闇に倒してはいけないのだ。
なぜならクリーチャーを倒しすぎると数が減り、動物が増えすぎる。
素材も手に入らなくなる。
何よりも、それを餌にしていた別のクリーチャーやモンスターが人里に出てきて甚大な被害が出る。
過去に人間同士の戦争ではこれを利用して弱いクリーチャーを駆逐し、大型クリーチャーやモンスターを敵陣に襲わせる方法があったという。
生活する自然環境は人間よりも恐ろしい敵に合わせて調節し、自然体系は大事にされる。
国などの土地の管理も、あまり利権を主張すると先住民への反発を招いたり、そこからのモンスター被害に繋がるのでしないらしい。
なのでこの土地は国ではない。
土地も相談しながら広げたり、狭くしたり。先輩の先住民や周りの街と相談しながら決める。
「っで、ウウクは弓矢とボウガン、どっちにするか決まったの?」
「ボウガン」
「弓矢じゃないんだ。以外だね」
「……おっぱいが大きすぎて使えないの」
「…そう」
「本当は弓矢がいいいけど、おっぱい小さくしたらショウタが可哀想だし、炎も出せなくなるから…」
かなり苦渋の選択だったのだろう。
俺はウウクが用意してくれていたシャワーを一緒に浴び、食事を取った。
冬にはトイレに行くのが難しくなるので、おまるの使い方の確認もした。
おしっこは専用の桶に入れ、便は蓋の付いたおまるにする。
そして一日に数回くらいトイレに捨てに行く。
ミニーは自分でしたくなったら吠えて知らせてくれるので、お外の決まった場所。
雪かきで毎日外に出るので問題はない予定だ。
食後はソファに座りながら弓矢が使えないウウクを慰めるために胸を揉み、いい子いい子してあげた。
ウウクは甘えるように俺に頭とほっぺたをこすり付け、ミニーに俺が自分の所有物であることを知らしめていた。
その後は歯を磨き、文字と算数の勉強を一緒にやり、俺がウウクから文字を教えてもらった。
「ウウク、そろそろ寝ないか?」
「うん♪ 寝ましょ♪」
ウウクは俺の腕に掴まりながらほっぺをこすり付けてくる。
ストーブの薪も調節して燃え過ぎないようにし、ミニーのカゴの下に湯たんぽを入れてあげる。
寒くなったら寝室に来るので大丈夫だろう。
小上がりの寝室のサバイバルシートを起動させ、その上の布団に俺達は入る。
「俺、ウウクのその髪型も好きだよ」
「ショウタ長いの好き?」
「短いのも好きだよ。切るの?」
「うん。長くなりすぎたし、えっちの時に邪魔だから短くしようかなって」
「どっちでも良いよ。両方見たいけど」
「う〜ん、じゃあ冬の間はこのままで、春になったら切ろうかな?っで、また伸ばすの♪」
「それはいいアイディアだ」
俺とウウクはキスをしながら服を脱いだ。
ウウクのキスは優しく、味わうようにしてくれる。
今晩はしっとりしたのをご希望らしい。
ウウクのパンプアップした筋肉は無くなり、冬に備えてなのか脂肪が増えた。
全体的にふっくらとして、摘めるお肉が増えた。
体型がコロコロ変わり、別人みたいで飽きないが、健康が心配だ。
ウウクはこれくらいならいつもと変わらないと言っているので、今はそれをアテにしている。
チュッ♪チュ〜〜♪ちゅっ♪
首の喉仏をウウクがキスしてくる。ぺろぺろと舐めまわし、垢舐めに舐められてる気分だ。
「ねぇ、ショウタ。知ってる?」はむはむ♪
「何を?」
ウウクは俺の耳元で耳たぶを甘噛しながらささやく。
「デイジーから聞いたの」っちゅはむっ♪
「クラスのベンリーの女性だっけ?」
ウウクのクラスメイトに、“デイジー”というベンリーが居るらしい。
「ここではね、冬はいっぱいエッチするのが普通なんだって♪」 かみかみ♪
「そうなんだ…やっぱり出来ることが少ないからかな」
「だから、遠慮無く一緒に要られるね♪」 ちゅ♪
「えー、いつもと変わらないだろ。遠慮なんかする相手も居ないし」
ウウクは嬉しそうに俺の耳を味わい、元気な俺に手をかけた。
ゆっくりと感触を確かめるように触り、そのまま全身を下に移動させ、肘立て伏せの状態で胸に挟んだ。
「嬉しそう♪ 温かいおっぱいはどうかな〜?」
大きな釣鐘型の胸が重力で下に垂れ、自然と挟み込む。その柔らかく、温かい感触を上下させながら俺に与えてくれる。
「ウウクのおっぱいもこれ以上育てちゃ不味いもんな…。用意した毛皮のコートが着れなくなるし」
「そうだよ♪ だからハンターやろうね♪ 嫌なら良いけど、私着る服なくなっちゃうもん♪」チュッ♪
俺は身を震わせながらその快感に酔いしれ、長い快楽の時間を楽しんだ。
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