第15話 鹵獲装備
ep.3-2 day / 4
争いが終わった後、俺は立ち竦んでいた。
ウウクは動かなくなった射手の男を、彼が乗ってきた動物に乗せて手綱を引いて戻ってくる。
焼けた男も、巻き込まれて転げ落ちた男もピクリとも動かず、腕を切られた男は、腕から吹き出す血を抑えながら蹲ってウウクを見ている。
ただ、その血の量は夥しく、ガタガタ震える様子から怯えて竦み上がり、立ち上がる力もないことが見て取れた。
「ESRTVBJNKM RTYBUNIKM<L DRCTV!!!!!!」
男がウウクに向かって叫んでいる。言語は理解出来なかったが、怒りと恐怖から威嚇していることは伝わってくる。
「RFGVBHJNMK RDTtvybn!!! RTVYbunmktvy RDTY!!!!!」
ウウクは男に気を配りながら、転げ落ちた方の男の方に向かい、その男に触れる。
彼女はしばらくその男を調べると立ち上がり、腕を切られて叫び続ける男の方に向かった。
そして今まで見ていた転げ落ちた男を指差して俺に叫ぶ。
「ショウタ!! こっちの男は生きてるわ! 捕まえましょう!!」
その転げ落ちた男を指差しながら俺に大声で伝えると、ウウクはナイフを持って腕の切られた男へと歩く。何をするのか察しがついた。
男はウウクから距離を取ろうと藻掻いている。気にせず男に近づいたウウクは、空いた手で男の頭を掴んで首を切った。
男の左の首筋から血が流れ、グタっと力が抜けていくのが見えた。
俺の口の中がカラカラになった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「そうか、ショウタは初めてなんだ。」
射手の男はショック死していた。唯一生きていた男は、落馬した衝撃で歯が折れ、手足の骨も折れていた。全力で走って衝突して落ちた際に、地面の岩にぶつかったらしい。
俺はウウクの指示で唯一生き残った男を縛る。
ウウクはバッファローのような動物を集めて手綱を引いて連れて行く。三頭生きて、最初に攻撃してきた男が乗っていた一頭はウウクの炎に巻き込まれて焼け死んだ。
射手の男の死体と、縛った男をバッファローに乗せてキャンプ地に運ぶ。
「俺の故郷では争いごとは禁止されてるんだ。人殺しなんか一度も…」
「でもお魚とかは良いの?」
「人間同士はダメだったり、一部の動物がダメだったり…。住んでる場所によるとしか…。もちろんやってる人もけど…」
「なんか難しい仕来りだね」
「もちろん襲われたらやり返すのが一般的かもしれないけど…。ウウクはなんでさっき男の首を切ったの?」
「危ないでしょ。何言ってるか分からないし。それにあの怪我じゃ長くないから」
「そうだよな…。大体どんな映画や歴史でもそんなもんだよな…。 それで、こいつはどうするの?」
「ショウタはお話が出来るんでしょ? 他に群れが居るのか聞きましょう」
ウウクと俺の文化的な環境の違いを感じたが、確かにウウクのほうが文化的にはこっちに馴染めそうだ。
大体いきなり襲い掛かってくるってことは山賊とかだろうか?
彼らが持っている私物は鉄と布の素材の物が多い。だから文明レベルは俺が理解できそうだ。
自分の非力さを呪いたいが、ウウクとは持ちつ持たれつの関係になれるのだろうか。
怪我をした男をキャンプ地に運び込み、木の下に男を寝かせてその木に縛り付ける。
よくある展開を想像し、男の身ぐるみを剥いだ。下着だけの姿にすると、やはりブーツや服の下にナイフが入ってた。多分鉄製だ。
誰も拳銃や鉄砲に該当するものも、爆弾も見当たらない。鎌倉時代の侍や、中世ヨーロッパの兵士、ヴァイキングとかの世界だろうか?
外見はアメリカのラテン系とか、アラブ人みたいで、テレビで見る中東の人間に似ている。そして射手の男はイタリア系の白人に似ていた。
ウウクは射手の男の衣類も剥ぐと、それらのサイズを確認し、選びながら着始めた。
縛った男の黒い革のブーツが足に合ったらしく、体格的にも大柄でウウクとピッタリだった。
ウウクにパンツなどの説明をすると、自分の着ていた入院服みたいな服をナイフで切って縫って、パンツを作った。
ついでに余った生地で胸にチューブブラみたいな物を作って胸に巻かせる。
すると男たちの服を一通り着ることが出来た。ウウクは奪った服が汗臭くて動きにくいと嫌そうな顔をした。
俺も余った服の中から上着になりそうな服を着る。服装で明らかに俺が目立つからだ。
バッファロー達は大人しくて、人間に慣れている様子。とりあえず逃げないようにと、男と同じように木に手綱を縛り付けた。
一段落するとウウクは男の顔をひっぱたいて叩き起こし始めた。
恐ろしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます