第14話 1分間
ep.3-1 day / 4
チーチチーチクチッ チーチチーチクチッ
鳥のさえずりが聞こえる。
朝だ。
前日に引き続き快調だ。
今朝もウウクのおっぱいに埋もれるような状態で目覚めた。
あんなに体を酷使したのに不思議と疲労感も無く、朝っぱらから元気いっぱいだ。
ウウクの胸の中を堪能し、胸を優しく揉みほぐす。
顔に挟んでぱふぱふする。RPGで知ってからずっと憧れていたのができて嬉しい。
っぎゅ
頭に腕を回され、抱きしめられた。彼女も起きたらしい。
見上げるとウウクの顔が胸のクレバスの隙間から見えた。
「おはよう」
「うん。 おはよう♪」
リズミカルに弾んだ声に胸がときめいた。
姿勢をずらして顔を寄せてキスをする。ついばむようなバードキスにウウクも乗ってくる。
ちゅっちゅとついばみ、じゃれ合うように二人で遊ぶ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
湖の水が冷たくて心地よい。じゃぶじゃぶと顔を洗い、タオルで拭くそびえると山々に目を向ける。
そこには手付かずの自然しかない。道路もないし、電灯もない。田んぼや畑も見えない。この世界には俺とウウクしか居ないのではないかと思えてくる。
「ショウタ。お水汲んできたよ」
そう言いながらウウクが歩いてきた。手にはろ過装置とお鍋。簡単な操作なのでウウクにも教えた。
そしてここに来て困ったのが歯磨きだ。
歯ブラシが無かったので困ったが、ウウクが木の枝を削り毛羽立てて、簡易的な歯ブラシを作ってくれた。その枝で口の中を掃除してから、最後に指に塩を多めに付けて、口腔の全体を磨いた。これだけでもかなり違う。
些細な事だが健康に悪いし、虫歯や歯周病は嫌だ。それに汚い口でキスはしたくない。
教えてくれたウウクも気にしているらしく、俺よりも丁寧に磨いていた。
朝食を取り、その後に予定通り魚を取ることにした。
朝靄が少し残る中、湖の岩にウウクが乗り、俺は少し離れる。
彼女が水面に手をかざすと、バチバチっと音を立てて電流が走り、すぐに魚がプカプカと浮いてくる。
釣り針の出番は無さそうだった。
取った魚を捌く。ただしウウクが全て確認し、OKが出たのだけ捌くルール。
そんな心配の甲斐もなく、危険そうな魚は見つからず、全て洗って開いて岩に並べる。
湖の岸辺に並べられた魚に塩をバサバサと当てて準備は完了。
後は日光で天日干し。しかし、ウウクが手早くやる手段として炎を使い始めた。
干物を並べた岩に手をかざすと、火炎が放射され岩を焼く。
程よく熱せられた岩が作業速度を早めてくれる。
一通りの作業が終わると頑張ったウウクの労をねぎらい、彼女の
二人で日向ぼっこをしながらおっぱいを揉んであげた。役得だ。
のんびりしながら日が昇ると暑くなったので、木陰に入りウウクにバイオパックの道具を説明した。
医療品や圧縮型の水筒、その他のツールを教える。
ウウクは見慣れないそれらを手にとって確かめる。俺も使ったわけではないので、試しながら教える。
そうしてのんびりと時間を過ごしたら、お昼には取った魚を食べて見ることにした。
「ウウクのはどう? 俺のは結構コッテリしてるよ。 バターフィッシュ見たい」
「私のもそうだね。 泥臭くないし、美味しい」
焚き火を二人で囲み談笑する。木漏れ日の中で過ごす時間は格別で、不安な思いも消えていく。
その時だ。
「!! ショウタ、あれ」
ウウクが反応し、湖の方を指さす。 遠くの方に何かが動いている。少し大きい。
ウウクは即座に焚き火に灰を被して火を消し、俺はバイオパックを近くに寄せ、銃を持つ。
ブラスターをジーンズに差し込み、ポンプガンを構えて、様子を伺う為にバイオパックから【単眼レーザー距離計】を取り出す。
要は単眼鏡なのだが、距離を計測もしてくれる。問題は表示された文字が読めないこと。メートルなのかヤードなのかも分からないし、全く違うかもしれない。
しかし、倍率も大きく変更できるし、望遠鏡としての機能以外にも
単眼鏡を覗き、確認すると人が馬? みたいな動物に乗っている。数は4人。
「ウウク、人が動物に乗ってる。こっちに来る。数は4人」
そう言ってウウクにも単眼鏡を手渡す。
ちょうどお昼の前までウウクが熱心に遊んでいた道具だったので、難なく使いこなして確認している。
「本当だ。あれは男かな? 私たちみたいに変身するかな?」
「いや、地球人そっくりで、
「私たちは縄張りをしっかり持ってるから、同じ種族でも群れが違ったら追い出すわ。ショウタたちは?」
「人とか、地域とか、その時の時代や文化でバラバラだよ。 それが怖かったんだ」
「そうか…。地球の武器ってどんなの? みんな銃を持ってるの?」
「俺が生まれる500年以上から前から使ってたからなぁ…。 分からないけど、着てる服装で判断できないかな?」
「見てみて」
ウウクに手渡された単眼鏡で男達を見る。
さっきよりもずっと近い。動物の脚が速いんだ。だけど近いおかげでよく見える。
全員革の帽子や中折帽のような物を被っている、髭面の男たち。服装も革製っぽい。アメリカのバッファローみたいな動物に乗ってる。
鞍に槍と弓矢?に見えるものを持ってるが、ライフルは見当たらない。
少なくとも現代の地球で弓矢はともかく、槍で武装する人間はほとんどいないはずである。
とりあえず、猿じゃなくて心底安心した。しかし、男たちのガラはお世辞にも良く見えない。どうみてもならず者だ。
「多分、銃は持ってないと思うけど、この前話した弓矢を持ってる。 あと、安全な人には見えない」
「そう…。危険かもしれないわね」
「隠れる?」
「こっちの荷物で気づくわ」
ウウクが言った通り、こっちに向けて走ってくるのが伺える。せめて話し合いでもできればいいな。
だが、動物の速度はどんどん早くなり、先頭の男が槍を構えた。
そのまま猛スピードを維持したまま突撃してくる。
どんどん距離が縮まる。
目が合った。
俺を狙ってる。
あっという間に距離を詰めて襲い掛かってきた!!
「ショウタ! 銃を撃って、殺りに来る気よ!!」
ウウクは叫ぶと同時に手をかざして炎を放射する。
牛みたいな動物に乗った先頭の男が驚愕した表情を見せると火だるまになって喚き叫び、転げ落ち、後ろから追随していた男がそれに巻き込まれて転落する。
さらにその横から牛に乗った別の男が飛び込んでくる。
長くて肉厚な剣を構え、炎を出したウウクに斬りかかる。
ウウクは平然と振られた剣を避けると、男の振り切った腕を手にしたナイフで切り落とした。
男が腕から血を吹き出して牛から転げ落ちる。
俺は恐怖と一瞬の出来事に驚いて、俺は立ちすくんでいた。銃で狙う暇も、戸惑う暇もない。
気が付くとウウクが体をひねって何かを避けた。
見ると男たちの後ろで最後の一人が弓でウウクを射っている。
50mはあるだろうか? ウウクは続けざまに2射目を避けて敵のもとに走る。慌てた男は弓を捨て、槍を構えて迎え撃つ体勢を取る。
しかし、ウウクは男の槍の間合いよりも離れたところから手をかざした。
男は身動(みじろ)ぎし、小刻みに震え、落馬した。
感電させたのだろう。
戦いはそれで終わった。俺は何もしなかった。
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