第10話 即席ホテル

ep.2-5 day / 1



 遠くで動物の声が聞こえる。


 湖からは魚が跳ねて波打つ音。


 草木からは虫達のシンフォニー。


 気温は暖かくはない。少し涼しいくらい。


 触れ合うウウクの体温がそれをちょうど良く感じさせてくれる。


 満天の星空の輝く夜の下。


 高原の湖がその星を鏡のように映している。


 そこから離れた丘を登った高原には巨大なクレーター。


 そしてそのすぐ隣のちょっと大きな木の下で、たった二人だけの焚き火と食事。



 彼女の名はウウク。俺よりも背の高い女の子。

 長い手足の大きさも、俺より大きい。

 黄色いに近いほどの金色の美しい髪。


 緑に輝く瞳。


 驚くほど大きな胸。

 素肌の上に薄いダボダボの入院服みたいな服を一枚着ているだけ。


 そして焚き火の前で一緒に座ってキスをした。


 吸い込まれるように。



 出会ってから密室の中で数日間二人で語り合い、UFOから脱出して見知らぬ別の惑星にやってきた。

 

 寂しさと心細さから惹かれ合ったのかもしれない。

 

でもきっかけなど些細な事だ。


 相手への好意は抑えられない。


 それが魅力的であればあるほど。

 

 最初は左右に並んで話し合いながら唇を近づけた。


 彼女も触れ合う唇を前に押し付ける。


 するとお互いの接点が大きくなる。


 お互いの手も相手を求めて前に出る。


 ダボダボの白い服を着たウウクの腰に手を回し、グッと強めた。


 すると彼女の手が俺の背中に回る。


 正面から強く抱きしめる。



っちゅ…っちゅ…ちゅぷ、ちゅ…


 

 抱き合いながらキスを続けた。


 暖かい。


 柔らかな唇の感触に酔いしれ、ウウクの唇を自分の唇で挟むように味わう。


 思ってたよりも厚みのあるウウクの唇。


 口の中の舌と触れあう。


 少し舐めると、彼女も舐め返してくれた。


 ゾクゾクする。


 

ちゅぱっ…



 口を離し、ウウクの目を見つめる。


 笑ってた。


 もう一度口にキスし、今度は鼻先にキスをする。


 また笑った。


 ほっぺにキスして抱きしめる。


 熱いくらいに感じる体温。


 彼女の体格は俺よりも大きい。


 彼女の肩に顔を埋めるような姿勢だ。


 なんとなく悔しいので彼女の体を抱き、少し横に倒す。



 「あっ…」



 ウウクがちょっと驚いた。


 ウウクが俺の膝の上で俺に抱きかかえられる。


 ちょっと重い。


 無理せずあぐらをかいて座った姿勢の足で彼女の体を下から支え、腕への負荷を和らげる。


 俺の膝にウウクが横たわり、腕で少し抱き起こした姿勢。


 俺の正面の焚き火が燃える。


 パチパチッと音を立て、静かに優しく照らしてくれる。


 その灯りに照らされたウウクの髪は綺麗だった。


 黄色い髪が紅葉の紅葉のように炎のゆらぎで彩りを変える。


 オレンジや金。紅色に染まったりと、鮮やかな色彩を放つ。


 伝統工芸品の様な優雅な美しさを見せる髪。


 その髪を撫でる。


 持ち主の笑顔も魅了的だ。


 頭と髪を撫でられているウウクは俺に微笑みを返してくれる。 


 その微笑えむ顔に近づいて、またキスをした。



っちゅ…ちゅぷ…はぷっ、、、ちゅっちゅ



 「はふ…」



 ウウクが息継ぎをする。


 俺たちの淫靡な好意は、お互いの感情を昂ぶらせた。

 

 口を離したウウクの顎先に吸い付き、彼女の顎をちゅっちゅとついばむ。


 するとウウクは喜びながら俺の唇に吸い付いてくる。

 

 まるで飽きない。



「私、ショウタがおっぱい吸うのよく分かった」



  唇から離れたウウクが微笑みながら俺にささやく。



「じゃ、これからも気兼ねなく吸えるね」


「お好きにどうぞ♪」



 そう答えたウウクの方から俺にキスをしてくれる。


 ウウクと抱き合ってするキスは今の境遇も場所も時も忘れさせてくれた。 





 サバイバルキットの中に、特別なテントとシートがある。


 【耐水・耐熱レンジャーテント】と【温熱調整サバイバルシート】という道具。


 畳まれた単行本と同じくらいの大きさの【レンジャーテント】は広げると、即座に立体ドーム型に膨らんだ。


 同じくらいの大きさの【サバイバルシート】は、レジャーシートの様な薄さと見た目だが、耐水性もあり、キャンプマットとホットカーペットみたいな機能を持つ。広げると6畳くらいで、畳んだままでも使える。


 その二つのサバイバルキットを“バイオパック”の中から取り出し、広げたドーム状のテントの中にサバイバルシートを敷き、ウウクをそこに寝かせる。


 テントは同じ木下に広げて、焚き火から少し離して設置した。


 タブレットで得た知識としては焚き火程度は何の問題もないくらいに高い耐熱性と耐久力をもったテントらしいのだが、単純に危険なので十分に安全に気を配る。


 そして俺はウウクが乾かしている毛皮を彼女の指示に従って風通しがよく、焚き火に近すぎない位置にずらす。 


 外での用事を終えると薄い服一枚のウウクが寝転がるテントの中に俺も靴を脱いで入る。


 テントの中では裸足だったウウクが、俺が渡したタオルで足を綺麗に拭いていた。  


 寒くないようにサバイバルシートの温度を上げると、すぐに人肌くらいまで暖かくなる。



 「暖かい…。すごいね…これ…」


 「ほんとだよ。似たようなの地球にもあるけど、別格だ。でも、困ったところが一つあるんだ」


 「どんなところ?」


 「実は全部がなんだけど、字が読めないんだ」


 「文字? 使えるようになったのに?」


 「うん。言葉とか、道具の知識は入ってきたけど、文字が読めないんだ」


 「それは困るの?」



 どうやらウウクは文字の無い社会だったので仕組みや必要性が分からないようだ。



 「今がどんな状態なのか、覚えた事以外の表示されてる内容が分からないんだよ。だから、今のシートもどのくらいの温度になのか分からないんだ」

  

 「ダメなの?」


 「うん。分からないから適当にいじってるんだけど、冷たかったり、熱すぎたりするかもしれないんだ」


 「その時はその時、よ♪」


 

 笑いながらウウクは俺に抱きつき、俺の首に腕を絡めて引き倒してきた。


 倒された俺はウウクの上に乗る。


 彼女は俺の下でいたずらっ子のような笑顔。 


 お返しのキスをする。


 彼女もお返しをくれる。


 それを繰り返す。


 彼女の白くて薄い服の上から胸を触る。


 少し強めに揉むと、気持ちよさそうにする。


 搾るように揉む。すると嬉しそうに笑っている。


 満面の笑みだ。


 テレビで女性レポーターが“厳選!高級スパリゾート特集!”とかでアロママッサージの体験レポートをしているときのような笑顔。

 

 プリプリの胸を上下左右から揉みほぐす。


 

 「お゛ぉお゛ぉお゛ぉお゛ぉ……♪」


 

 ウウクが妙ちくりんな声を出す。だが気持ちよさそうだ。これが種族の違いか…。


 

 「私…おっぱい揉まれるのがこ~んなに気持ち良いなんて思いもしなかった~♪」


 「喜んで頂けたようで何よりです」

 

 「でももう少し強くてもいいよ」


 「こんな?」


もにゅ~~

     

 「ああ゛♪ いいぃ…」

 

 

 気持ちよさそうにしているウウクの服を脱がせ、自分のシャツも脱ぐ。


 裸になったウウクの大きな釣鐘型の胸は形が崩れることもなく天を仰ぐ。


 それを直接揉みほぐし、ウウクにキスをする。


 ウウクも嬉しそうに行為を返してくれる。


 そして上から覆いかぶさるように彼女の背中に手を回して、彼女を抱きしめる。

 彼女も同じように、仰向けになって下から俺を抱きしめてくれる。


 温かい…。素肌の温もりだ。


 すると彼女の手が俺のおしりの方へと回る。

 ジーンズの上から触られる感覚は、もどかしくも気持ちいい。

 ズボンのデニムの生地を、ウウクの指が爪を立てながらカリカリと引っ掻くように撫で続ける。



 「不思議な服ね」


 「脱いでも良い?」


 「うん」



 俺がジーンズとパンツを脱ぎ去り、ウウクと同じ裸になる。


 彼女の裸を見ている手前、恥ずかしさは出さなかった。



 「わぁぁぁぁぁ…」



 ウウクは声にならない声を上げ、まじまじと見てくる。


 「ウウクの仲間と同じかな?」


 「多分ほとんど一緒。この姿のはほとんど見たこと無いけど、水浴びで見たりした時はこんな形じゃなかったはず…」


 「そうなんだ。…あんまりジロジロ見られると恥ずいよ」 

 

 「ねぇ、ショウタは初めて?」


 「いや、まぁ、少しだけ」


 「そうなんだ。私、見たことはあるけど、するのは初めてだから、よろしくね」



 ウウクははにかみながら俺に笑顔を向ける。



 「見たことって、…ご両親とか?」


 「うん。あと、近所の人やお友達とか。変身前の姿ばっかりだけど」



 …変身前のドラゴンの姿での行為では、あまり参考にならない気もするが…。



 「ねぇ、少し触ってみても良い?」


 「俺もまた、もらっても良い?」


 「もちろん♪」



 するとウウクはサバイバルシートの上に女の子座りをして、俺に膝枕を促した。


 俺は遠慮すること無くウウクの膝に頭を乗せると、ウウクは俺に胸を近づけてくれる。


 膨らんだ乳輪のつぼみの中に隠れた木苺を求めて口をつける。


 ウウクもまた、俺の体に触れる。

 手でなぞり、その正体を確かめるように好奇心いっぱいに固くなったそれに触れてくる。


 俺は触れられる部分のくすぐったさに悶えた。


 くすぐったさに逃げようとお互いの体の触れる部分を次第に変えていき、ゆっくりと体勢も変えていく。


 抱きしめて彼女の首筋にキスを繰り返し、脇腹にも触れる。


 ウウクが逃げるように動くと、彼女の腰に腕を絡めて逃さないようにする。


 そして、お腹や脇腹にも舌と唇を這わせてその腰を抱きしめる。


 そして舌と唇の動きをゆっくりと下へと向かわせる。


 その動きに動揺したウウクは、俺の頭を抱きかかえてきた。


 心配無いと伝えるようにそのままキスを繰り返す。


 愛し合う好意をお互いの望みに繋げていく。

 

 もっと深い愛へ。


 その好意を表す行為へ。


 外では焚き火の揺らめく炎の影が、テントにプロジェクターのように映っていた。


 そのわずかな炎の灯火の中で愛し合った。





 ウウクの表情で分かってはいた。


 だが止められなかった。


 止めると彼女も嫌がった。


 続けろという。


 涙をキスで拭った。


 抱きしめて。とせがまれると強く抱いた。


 外では焚き火が燃え尽きていた。


 もう揺らめく炎の影はテントに映っていない。


 真っ暗闇の中で好きだと告げた。


 荒い息遣いで。


 ウウクからも大好きだと言ってきてくれた。


 泣きそうな声で。


 むせるような体臭の香り。


 口の中はカラカラだ。





 そしてウウクの中で果てた。






 まだ収まらなかったが、ウウクは足を震わせながら眠りについた。





 男はやせ我慢だ。







 

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