第4話 超流動体

ep.1-4 April / 24~27 / 2016



 あの後ずっと話しをした。

 まず初めに、お互いに自分を説明するところから始めようと決めた。


 自己紹介からだ。



 ◆俺◆ 斎藤 翔太 

 年齢:21歳

 性別:男性

 職業:会社員(ホテルのレストランのウェイター) 未婚。

 身長:171cm 体重65kg

 血液型:A型rh+


 頭髪:黒 

 眼の色:黒


 誕生日:6/21 蟹座


 出身地:地球 日本 東京。

 趣味:登山とハイキング。

 最終学歴:専門学校

 得意科目:英語

 年収:250万円くらい。

 信仰:あえて言うなら仏教。仕事の関係上、他者の宗教を尊重。


 経緯:仕事の帰りにUFOに拉致されて、気が付いたら自称・宇宙人に軟禁されてる。





 ◇彼女◇ ウウク

 年齢:生まれて結構経ったらしい。外見年齢同じくらい。

 性別:女性

 職業:普段は狩りと家事手伝い。未婚。

 身長:俺より10cmくらいは高い。

 血液型:血は赤い。


 頭髪:ブロンドと言うより、ほぼ黄色に近い。

 眼の色:緑色。


 誕生日:雨の日の夜。夜空の星を見るのは好き。


 出身地:北のホルトス。山の谷間のバルスが父親の、バルス族の人。

 趣味:花を集めたり、風に乗ること。

 最終学歴:文字は知らない。お絵かきは好き。数字の意味は通じる。

 特技:狩りと、3回前の冬から教わった食器作り。


 年収:お金は知らないが、近くの部族と最近木の実を交換した。

 信仰:星々の神々がエーテルを紡ぎ、それを糧に生きて、死んでいく。


 経緯:空を飛んでたら空が光った。 寒いと感じ、気が付いたら目の前に俺が居た。



 追記:(おっぱいはとっても大きいとすごく感じました。)





 はい。

 以上が自己紹介でした。

 何か理解できない説明がいくつかありましたが、多分この人も自称・宇宙人です。


 信じられないし、信じたくない。


 でも聞いてください。彼女の話を聞いている時に、ふとベッドルームの窓の外を見ると地球が無かったんです。星も見えません。


 ブラジルやオーストラリアが見えたはずなのに、窓の外には白い可視光線が見えるだけなんです。

 多分、スター・ウォーズに出てくるワープとか、ハイパードライブみたいな感じだと思います。


 勘弁してくれ。やっと昇給したのに…。



 「ねぇ、ショウタはチキュウという星に居たというけど、夜空の星々のどれかなの?」


 「え? あぁ、多分それで良いと思うけど、俺の知識だと地球の近くには人間の住んでる惑星は無いから、別の銀河とかかな?」


 「別のギンガってなに?」


 「星が沢山集まって渦を巻いてるのが銀河で、その銀河は沢山あって、沢山の銀河がいる空間が宇宙。 のはずです…」


 「ギンガは神様達なの?」


 「え? うーん、信仰や宗教やよってはそう考えても良いかもしれないけど、俺はそう考えたことはないな」



 っと、そんな事を身振り手振りでひたすら話し続けた。

 この状況は絶望的で残念だが、彼女が頷いたり反応する度に、おっぱいがプルンプルン揺れるのでそこだけが救いだ。

 巨乳は見てるだけで幸せにしてくれるから偉い。


 ウウクは食事を取るときに電子レンジや冷蔵庫と水道にとても驚き、温めたミールを頬張った時の彼女の背後には幸せオーラが出ていた。


 よほど美味しかったのだろう。俺には出来合いの化学調味料と大雑把な味付けが気に入らなかった。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





 3日くらい? 経った。

 ただ、3回くらい寝たというだけなのだが。


 彼女はベッドで、俺は床で寝た。


 その間に凄いことが起きた。



 1.彼女は雷や炎が出せるらしい。 → 壁を壊そうとしたができなかった。出せなかった。


 2.変身出来るらしい。 → 時間がかかり無防備になる。今は出来ない。


 3.それらには超流動体エーテルが必要らしい → この部屋にもあるが、あまりにも密度が薄すぎるらしい。


 4.イソギンチャク男が入ってきた。 → いつの間にか、ブラックホールを抜けたらしい。


 5.今は別の宇宙に居るらしい。  → 外を見てもよく分からない。


 6.彼女は哺乳類・霊長類ではないらしい。 → 人間そっくりだが、別の生き物らしい。



 っで、今言われたのが。



 「君は彼女と交尾をしないのか?」


    …は?


 「君とその女は繁殖能力は無いはずだが、性行為は問題なく出来るはずだ。欲求はあるだろ?」


 「いや、あの、そういう問題ではなく、モラルの問題として…。 俺は強姦魔じゃないですし」


 彼女はイソギンチャク男が入ってくるとすぐにベッドルームの影に隠れてしまった。

 俺とイソギンチャク男はその彼女をチラリと見る。


 「人間は閉鎖的な環境や、危機的状況・特別な境遇になると恋愛関係や主従関係などから性行為に発展すると考えていたんだがな。

 まぁ良い。先は長い。ゆっくり調査しよう。被験体は他にも居る。安心しなさい」



 え? 他にも居る?



 「あの、他にも居るというのは?どういう意味で?」


 上ずった声で聞き返すと、イソギンチャク男はこちらを向いた。


 すると、太い触手の腕に付いた端末を操作する。

 途端に顔を覆っている金魚鉢ヘルメットの黒いスモークがなくなり、そこにはグチュグチュの脳みそのような物が姿を現した。


 グロすぎる…。俺はもう白子が食えないと思う。



 「見てわかると思うが、私は君たちと全く違う知的生命体だ。そして、私は繁殖活動をしない。

 超流動体エーテルとカロリーの摂取さえできれば体細胞の劣化による老化はしない。

ただし、液体の中で生命維持をしている。私のようなモデルの生命体はとても一般的だ。しかし、君たちのような知的生命体はとても珍しい。

 なぜなら超流動体(エーテル)を生命維持活動にほとんど利用せずに繁殖活動を行い、知性も高い。この宇宙では一般的に超流動体エーテルの利用に伴って脳が進化して、知的生命体となる。

 だが、地球人は大気中や空間の超流動体エーテルを活用しておらず、存在にも気づいていない。あの女の種族も、利用はしているが、依存していない。その上、お前たち地球人と変態後の姿と、生殖活動がそっくりだ。

 さらに、今向かっている銀河のある惑星にも地球人そっくりなのがいる。同じように超流動体エーテルを活用していないらしい。

 これらの共通点や類似点を調べることで、この宇宙の謎に私は近づけると考えたのだよ」



 ……えーと、つまり、珍しい動物がいたから捕まえて、調べたいと?


 チンパンジーとオランウータンと、ゴリラを捕まえて、調べるぞ。と?



 「それと被験体は君だけじゃない。君と同じ地球人は後199体も居る。世界中から集めてきたから寂しくなんか無いよ。もちろん、彼女の仲間も同様だ。 君たちは捕獲したタイミングと、形態の変態が完了するタイミングが近いから選んだだけだ」

 


 つまり、このUFOには400人くらいの人々が拉致られていると?


 そのまま、別の宇宙の、違う銀河の、知らない惑星に行くと?



 「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇl!?」









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