第3話

母は俺の才能に酷く怒りを覚えた。



「こんなことに才能が出ても意味がないじゃない…」



ずっと頭を抱えて、指を机にコツコツとあてていた。


「ほら、そんな悩むな。芸術だって素晴らしい才能だ、損ではないぞ」


父がどこか誇らしげにそう言うから、母は立ち直り

また俺に色鉛筆を握らせてくれた。






そんなある日の話だ。


「花を花を、花を」



俺はあの笑顔を思い出すだけじゃあ満足できなくなってしまった。


仕方なく外に出て、花壇を眺める。

それでも足りなくて、子供には少し遠い森へ走った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る