第3話 『偉大な背中』
仄かに酔いがまわったところで、レオは酒屋を後にし退路に立つ。
空を仰ぐと、もう既に紫色に変色していて、点々と星々が見えた。
そして――。
赤色で塗装された逆円錐の屋根は所狭しと犇めき、立派な壁は十中八九が白亜を基調としている。
時刻が丁度賑わいを見せる有頂天ということもあり、道々は猥雑として数多くの人々が行き交う。
リリーナ王国王都セア。
大勢の人々が行き交うその光景を目にして、一気に辟易したレオは人混みを掻き分けながら、帰るべき宿屋をひた目指す。
幾度と街角を曲がって、もう少しで宿屋に到着すると安堵したまさにその時。
「――ッ!!」
ドン! と大きな衝撃。
目眩すらした。
頭痛で頭を押さえ、レオは半眼で前を見た。
――フードを深くかぶった一人の人物がレオの視界に飛び込んで来た。
みすぼらしい漆黒のローブを身に纏う男は、顔面をも同色のスカーフで鼻まで隠している。
眼光炯々とした金色の双眸だけがギロリと覗いていた。
瞬間、レオの背筋に凄まじい悪寒が走り、全身総毛立つ。
……何だ……この感覚……?
しかし次の刹那、レオは自身のガクガクとリズミカルに震える両膝を凝視してその正体を理解した。
――恐怖だ。
今。目の前の見ず知らずの男が放つ病的なまでの殺気が、レオを翻弄するのだ、と。
咄嗟に――それは半ば本能的に――レオは左腰に吊るされる剣の柄に手を添え、
「……ククケ……」
不気味な男の嗤い声がレオの耳朶を打ち、その行為が全ての過ちだと悟るに至ったのは、凄まじい勢いで数十メートル吹き飛ばされてからの事だった。
吹き飛ばされた先は人気が全くない陰惨な路地裏。
元居た通りから通行人の上げた悲鳴がレオの耳を劈く。
痛みが、衝撃が腹部に走り嘔吐してしまいそうになる不快な衝動をどうにか堪える。
危うく意識が飛び掛けた。全身がヒリヒリと痛む。
――何だ? 何が起きた!!
痛みは痛切に感じ得る事は出来るのに、思考は白濁して理解にはてんで及ばない。
おもむろに顔を上げると同時に、コツコツと靴音が聞こえ、それは刻一刻と大きくなり鮮明にレオの耳まで届く。
「おい、お前」
嘲笑交じりのバリトン声が降って来た。
不覚にもレオはぶるりと身震いした。
「――お前今、俺の殺意を『感知』しただろ?」
それは男の間延びした声。
「……何だ……テメェー……」
息を荒げたレオが、眼前で威風堂々と立ち尽くす男を鋭く睨んで恨めしく喘ぐ。
男は肩を竦め、レオの問いを軽くあしらった。
「クケケ……。何故なんだかな~、こんなガキが…………? 気に食わね~。――殺すか」
男がとんでもない事を口走り、レオは絶句した。
訳が分からない……何だ、こいつ……。
ニヤリ、と男が冷笑を浮かべ、右手を背に回す。――寸前。
それが抜き身を決める予備動作だと悟った時、レオは咄嗟に倒けつ転びつ駆けていた。
シャアア! という甲高い音を立てて男は颯爽と剣を抜き放った。と思うや真上から真下へ大振りに剣を振る。すると、斬撃が飛んだ。
まさに一瞬だった。その間、一秒もかかっていない。
先程まで自分がいた場所を視認したレオは、無意識の内に呻いていた。
額に冷たい大粒の汗が浮かび上がり、それは音もなく頬を伝る。
怖気を感じて、大きく後ろに飛んで男との距離を取った。
「クケケ、だよな、避けるよなそりゃ。一発でのびたら嘲笑すんぜッッ!!」
「……何だよ……お前は一体ッ!!」
言い、レオは右手を左腰に吊るされている愛剣の柄へ据える。
シュイイ、という甲高い音を隔てて颯爽と抜き身を決めると腰を低くして警戒態勢に入った。
「何だよお前ってんのは少し白々しいんじゃねーの? 先に斬ろうとしたのはお前だぜ?」
「それは――」
「――なら殺してもいいんだよな、なあァ! 俺に刃を向けたんだからさ、それなりの代償を払ってもらわねーとこちらとしても釈然としないわな~」
男は鷹揚と両手を広げて言った。
その言葉にレオは僅かに俯いて、
「……すまなかった」
と謝罪する。
一瞬、それを聞いていた男が気遅れしたかの様に呆然とした形相を作ったが、束の間、突然腹を抱えて高笑いする。
「ヒャッハハハハハアアアアア……。何だそれェェ??」
「言葉通りの意味だが?」
「ンン~~~バアァッッ~~カか、お前」
嘲弄めいたその言葉を耳にして、無意識にレオは顔をしかめていた。
男はなおもせせら笑いながら続ける。
「綺麗事はいらねーんだよ。俺は欲するのは『死』だ。死して償えッ!」
レオは愕然とした。
――馬鹿か、こいつ……。とさえ思った。
眼前に立つ狂人の冷酷な瞳はまるで修羅のそれ。
しかし彼が起こした次のアクションで、少なくともこの狂人にとってはそれは正気の他ならない事を鵜呑みにする。
勢いよく地を蹴り、男が疾風の如く迫って来る。
「――ッ!」
来る、来る!
避けるか? それとも迎え撃つか?
どうす――……ッッ!?!?
刹那、男が左拳を空振りする。
何もない空間で。
一秒後。
内部からブン殴られたかの如く強烈な衝撃がレオの腹部を打ち、遅れて凄まじい痛みが到来する。
――それだけに止まらず、レオは赤髪を靡かせて数メートル吹き飛んでいた。
「!?!?」
……何だよこれ……。
まるで分からない。
一体何が起きて、どうして俺は――。
まるで不可視な鉄槌に撃たれたかの如く。
この怪奇現象を明確に説明するには、もうこれしかないだろう。
「弱いな、お前」
不意に、男が小言を呟く。
しかし、男が発したレオに対する侮辱の言葉は、一直線に赤髪の少年の耳朶を打つ。
体の全身の痛み苦悶するレオ。
しかしそんな事は尻目と男は爬虫類めいた長い舌をダラリと垂れ流して嗤った。
「嗚呼、弱い弱い弱いッッ! この世において最も許されざる大罪とは何かッ? 略奪? ――違うッ! 欺瞞? ――違うッ! 抹殺? ――違うッ! 違う違う違う違う違う~~~~ッ!」
見下すその瞳は、まるで絶対零度の様に冷えていた。
「――そう『弱さ』。己の『弱さ』こそが、神が定めた自身の大罪ッ!」
口端を吊り上げ、不敵に笑う男を、レオは冷たい地面に頬を擦り付け痛みに耐えながら黙って見上げていた。
「お前の事だぞ。クソガキ、お前こそ、お前の『弱さ』こそが『悪』だアァ~~」
男は眦も裂けんばかりに目を見開いて続ける。
「そして俺のこの圧倒的なまでの力こそが正義ッ! なら必然、力があるものが正しいんだろうがよぉ~」
不意に男が嘲笑を深める。
「つまりよぉ~大切な事はいかに無情であれるかって事よ、お前も強くなりたいのなら一つ覚えとけ。――『強さ』とは『冷酷』だ」
男の囁きが、何故かこの時は鮮明に聞き取れた。
臓腑も煮え滾らんとする怒りに任せ、レオはドスの利いた声で呻く。
「……黙れ」
しかし、それは男の耳には届くことはない。
男は自分の失言に気づき、腹を両手で押さえて高笑いする。
「ヒッヤハハハハハハハハハアァァァ……ガッハハハハハハアアアアア……ッッ!! ――お前如きに強さの秘訣を教えても無駄ってもんだわなアァ~~」
存分にレオを嘲弄した男は、少しして、ピタリと嘲笑をやめて――。
「しッッかし本当に、何故なんだろうな~~。こんな三下に俺の殺意が『感知』されるなんて……」
「黙れッ!!」
空気をも震われる程の声量で、レオが怨嗟の声を上げ、今度はしっかりと男の耳に届く。
ビクリと一瞬男が肩を震わすのをレオは見ていた。
束の間、陰惨な路地裏に粛々とした沈黙が降り下りる。
レオの脳裏に、皆の顔が過った。皆、必死だった。
エルフ・ニコラス。
リナ・アーティンス。
セリカ・ワトソン。
傭兵として日も浅い、あまつさえ経験も皆無な奴らだが、それでも決然とした土気と盛大な覚悟を併して戦っている。
弱いけど、自分の弱さに抗っているのだ。
――だから『弱い』事を馬鹿にされたくない。
「弱いけど、俺は……まだ……――戦えるッ!」
猛然と雄たけびを上げ、再びレオは立ち上がった。
それを見ていた男が思わず忍び笑いを漏らす。
「その覚悟、悲壮を通り越してもはや滑稽だな」
「うあああああああぁぁぁっ……!」
裂帛の気合が轟く。
レオは全身を鼓舞して地面を力強く蹴り、前屈みになって走り出す。――と、同時に。
「――もう興醒めだ……」
言い、男が目にも止まらぬ速さで剣を一振り。
――そしてレオは確かに感じた。斬撃が飛んで来る……と。
燐光のような切っ先がキラリと一閃を走らせ、レオに浴びせかからんとする。
……え?
……死ぬのか?
……俺が?
……こんな暗い路地裏で?
……訳も分からず?
……こいつの身勝手で?
――生きたい。
それは刹那にして、盛大な祈り。
その祈りが、奇跡を呼んだのかもしれない。
「そんな物騒なモン振り回して、どうするつもりだったんじゃ? ――小僧」
良く響く男の声がした。
と、思うやレオの背後から突然抜き抜ける熱波が擦過。
熱く灼けた豪風がレオの頬を叩く。思わず目を細め、左手で庇を作り顔をしかめる。
そしてレオは見た。不死鳥の如く男に殺到する炎の孤、を。
コツコツ、と乾いた靴音が響く。 着々とその足音は大きくなり、同時に莫大な気圧が彼此の精神を摩耗する。
レオの目の前に立ち、今まさにその剣でレオを殺めようとしていた男が、食い入るようにカッと目を見開いた。
「……誰だ」
「邪道に名乗る筋はねーけぃの。ワシはただの陳腐な男よ」
現れたのは中年の男だった。
坊主とまではいかないが茶色の髪はかなり短めで切り揃えられている。亜麻色の瞳。
立派な顎鬚が様になっているエラの張った堅苦しい顔。
黒色のラフな長袖の服の上から、鼠色のロングコートを着込んでいて、茶色の少し長めのスカーフが首元に巻かれ、それが熱波に靡く。
――そして何よりも目立つのは右手に持つ剣だ。
剣身は、鮮血に染まった、もとい吸い取ったかの如く真紅。鍔は黄金で、柄も真紅。
「クハッ……! そんな奴が『神器』を持ってるはずがねーだろ。…………いいぜェ……面白れェ~~ッッ‼」
「大人しく今ここで退けば、ワシは手をこまねくだけでお前さんには何もせん事を約束するけぇ」
その言葉を耳にして、一瞬、呆然としていた男だったが間髪を容れずにかまびすしい哄笑を上げる。
「クッカカカカアアッッ――ッ! 今日はなんて最高な日だ、何という吉日ッッ! ――まさか『神器所有者』の首を捥ぎ取れるなんて夢にも見なかったぜェ~~」
男が睥睨し、それに中年の男がさぞ不憫だと言わんばかりに鼻を鳴らす。
「そうかぃ……。――なら、いと仕方ないのぅ。まぁ、貴様の様な輩を見逃せば由々しき事態が起こるのも火を見るよりも明らかじゃけぇ。これも運命の定め、堪忍せい」
「殺る前から勝った気になってんじゃねぇ~~~よッ! 恥かいてもしらねぇ~~ぜ」
口角泡を飛ばしながら男が左拳を空振る。一コンマ後、中年の男が真紅の剣を薙いだ。
――そしてレオの予想だにしなかった出来事が、当たり前の様に起こる。
何も無かった空中に現れたのは、先程レオの命を救った轟々たる炎だった。
光り輝くその火焔が、不死鳥の如く巨大な孤へと変形し、真っすぐに飛翔していく。
――程無くして衝撃音が轟いた。
やはり、そこには何かあった。
「まさか……貴様、『神技』まで……」
中年の男が驚嘆した。
それを耳にして、不意に漆黒のローブを着込んだ男が囁く。
「なあァ、お前、『神域』って知ってるか?」
その言葉を耳にした瞬間、中年の男は豹変して戸惑いを露わにした。
「――ッ!! 何じゃけぇ……お前さんまさか『神域』について――」
「クケケ……」
「何者ッッ! 貴様どこまで知っているッッ!!」
漆黒のローブに身を隠す男は、不敵に笑っただけだった。
中年の男が顰め面しい顔をして腹から声を上げた。
「――吠えろ、業火ッッ‼」
可及的速やかに中年の男が真紅の剣を逆手に持ち変えるのを、レオは静かに見ていた。
奔流と流れてくる熱波。そして時折頬に当たる熱い火の粉。
目の前から流れてくる空気がとてつもなく熱いのに、レオの背筋には悪寒が走っていた。
その光景はあたかも地獄の扉を開放したかの様に、真紅の剣の切っ先と冷たい地面の接触面には小さな虚空の闇が広がっていた。
キュウウウウ……、と野鳥が鳴くような甲高い音の残滓が反響し、不協和音めいた音色を奏でる。
「あぁ……?」
漆黒のコートを着込んだ男が唖然とした声を漏らした時には時すでに遅し。
神速に路地裏を駆けた轟々たる二柱の業火が、半瞬にして男を取り囲んでいた。
転瞬、それはメラメラと燃え盛る巨大な業火の渦と形質変化した。
飲み込まれた、業火に。
漆黒のローブを着込んだ男が。
そうとすぐにレオは理解出来なかった。
不意に業火の渦は刻々と圧縮していき、
「…………倒した……のか……?」
と、レオが拙く呟くと、案の定、空中分解の様に儚く霧散して後に残ったのは迸る火の粉だけ。
断末魔の悲鳴すら、漆黒のローブを着た男は上げなかった。
――それではまるで『死』を恐れていないようではないか。
レオがおもむろに眼前に立つ偉大な背中を見ると、それと全く同じタイミングで中年の男は振り返った。
堅苦しいその形相にはお世辞でも似合うとは言えない微笑を張り付け、中年の男はレオに言った。
「良く戦ったな、若くして強き少年よ」
「おっさんは……一体……」
呆然と半ば無意識に呟くレオに、中年の男はぎこちない微笑みを浮かべて左腰に吊るされている真紅の鞘に同色の剣を収めながら言った。
「安心せぃ、ワシはお前さんの味方じゃけぇの、せやからそれはしまってくれんかぃ?」
中年の男が指さす先は、レオの右手。より正確にはそこに握られている直剣だった。
呆気に取られ自分が剣を構えている事さえ忘れていたレオは、心底驚いた。
そそくさとレオは剣を鞘に収めると、改めて中年の男を見た。
「ワシはウルバス。ウルバス・カーツワイルじゃい。オルティア大傭兵団団長を担う者」
「何だってッッ!!」
裏返った声でレオは叫んだ。
「何じゃけい? 見当があるんかいのう?」
中年の男――改め、ウルバスが小首を傾げる。
当惑するレオはもごもごと独りごちる。
「いや……俺、その兵団に所属する新米の傭兵なんだけど……」
それを聞いたウルバスが、あっけらかんと笑う。
「フハハハッ! 何という奇遇ッ! そうかいそうかい」
ウルバスが調息し始めたのを見計らって、レオは心に蟠る疑問をぶつける事にした。
「……なあ、ウルバスさん。どうして俺の事を『強い』と称賛したんだ?」
ウルバスは間を置かずに答えた。
「それはお前さんが屈服してなかったからじゃい。――『悪』を前にして『善』を徹する限り、人は誇りを持てる、『誇り』こそが『強さ』じゃい」
「『強さ』……とは……『誇り』なのか?」
「そう、お前さんも傭兵である前に一人の男であるのなら、一つ心に刻みといいけぃのう。――『強さ』とは『誇り』じゃい」
その時、レオの脳裏で漆黒のローブを着込んだ男の囁きが過る。
『つまりよぉ~大切な事はいかに無情であれるかって事よ、お前も強くなりたいのなら一つ覚えとけ。――『強さ』とは『冷酷』だ』
しかし、ウルバスはこう言った。
『――『強さ』とは『誇り』じゃい』
そして、レオ・スペンサーは何を『強さ』と思う――――。
「ところでお前さん、名は?」
「え?」
「姓名くらいあるやろい?」
「あ……ああ」
我に返り、要領を得たレオがウルバスの問いに答える。
「レオ。レオ・スペンサーだ」
「レオ、か……。いい名じゃい」
ニヤリとウルバスが笑った。
「……なあ、ウルバスさん」
名前を呼ばれ、ウルバスははたと小首を傾げる。
レオは少し躊躇う素振りを見せた後、意を決して口を開く。
「ウルバスさんとあいつが戦っている時、小耳に挟んだんだけどさ……『神器』とか『神技』とか――それに『神域』って何だ?」
「――ッッ!!」
ドクンッ、とウルバスの心臓が跳ねる音が聞こえた気がする。
――『神域』。その単語を口に出した瞬間、急にウルバスの表情が豹変して険しくなる。
ウルバスはカッと目を見開く。まんじりともせずレオを見詰めていた。
微風が路地裏に佇む二人を掻き分け拭き抜ける。
シン、と長い沈黙が降り下りた。
パンドラの箱を開けてしまったか……? と暗澹たる気持ちになるレオ。
『神域』について言及するべきではなかったか。レオは自分の好奇心を一瞬咎めた。
そんなこそばゆい沈黙をウルバスが破る。
「――知りたければ、ワシの弟子になれ、レオ」
「…………はああぁぁっ?? じょ……冗談だろッ!」
ウルバスが静かに、真剣な面持ちでかぶりを振った。
レオは愕然とする。
「弟子になるんなら、いつかその事について教えてやってもいいけぃのう?」
失笑を頬に張り付けてレオは苛烈に反発をする。
「俺は誰かの下に付くなんて、まっぴらごめんだッッ!」
「フハハハッ!!」
「笑うんじゃねー、馬鹿にしてんのかッ!」
歯噛みして鋭く睨むレオを尻目、ウルバスは哄笑を上げ続ける。
調息を漏らしながら、ウルバスは涙が溜まった目尻を拭い、しかしニヤケ面を破顔する事なく追憶の扉を開き、そこに広がる虚空に手を伸ばし、眼前の赤髪の青少年と重なり合った記憶をがっしりと掴み取る。
「馬鹿になどしとらん、ただ、ワシも昔レオと全く同じ台詞を吐いた覚えがあったからけぃ、笑えたんじゃい」
「……訳分かんねーし、んな事知らねぇーよ……。……ともかく、俺はウルバスさんの弟子になるのなんて願い下げだッ! ……もちろん、助けてもらった事には感謝してる、この借りはいつか返すよ……――け・どッ!」
レオは鼻息を鳴らした。
「それとこれとは別の話だろ?」
その言葉を聞き入れ、ウルバスは歯を出して豪快に微笑んだ。
「んなら、一つワシから提案があるんけい――」
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