第3話
独占欲の強さは昔から。
覚えている初めは、妹が生まれた時。
私だけの父と母。
大好きな祖母。
私だけの家族はもういない。
愛されてないわけじゃない。
でもこれからは、姉妹の家族。
とても寂しくて、腹立たしかった。
妹が憎かった。
幼稚園の先生が好きだった。
引っ込み思案で、人見知りする私は、多勢の中へ入っていくのが苦手で、仲良しの友達がいない時は一人で遊んでいた。
先生は優しいお姉さんで、よく私と遊んでくれた。だから先生が大好きだった。
でも私は知ってしまった。
先生は私だけの先生には成り得ない。
あとでまた遊ぼうねって言った先生は、次の自由時間に他の子たちに連れられておままごとの輪の中に入っていった。
私達の先生でしかなかったんだね。
それからも何度かあった。
とても仲良しの友達が二人いた。
いつも私達は三人で遊んでいた。
私は当時、お弁当を食べるのが遅くて、昼休みになっても一人で残っていた。友達二人は先に食べ終わっていて、早く行かないと待たせてしまう、と思いながら食べ終えた。
二人は私がいなくても楽しそうだった。
私がいないからといって、何も変わらない。
私は今、恋している。
けれど、きっとその人にとっての私は数いる友達の一人で、また私は誰かの唯一無二の存在には成り得ないのだ。
知ってた。
誰にもそれぞれの人間関係があって、私はそれを構成する一部でしかない。
大好きな人はみんな、私だけのものにはなってくれない。
私の周りにいる人から見て、私は周りにいる人間の一人でしかない。
私だけの友達。
私だけの家族。
私だけのあなた。
そんなの存在するわけがない。
私は大好きなんだ。
家族も、友達も、あの人も。
独り占めしたいほどに。
おもいおもい 海野夏 @penguin_blue
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