第2話 嗚呼、素晴らしき暴走

「陰口はやめろ!」

本人の居ない所で本人を貶める事を言い合う事だ。人として恥ずべき行為。俺は至って意味の通る真っ当な指摘をしたはずである…のだが。

「陰口?誰の?」

男達はお互いを見合い首をかしげた。

「言ってただろ今!」

小馬鹿にされているようで腹が立った。

「俺が?言ったか?」

「いや…?何の話だ?」

だが糠に釘、暖簾に腕押し。全く打っても響かないやり取りが続く。


「その…彼方ちゃんって子をナントカ菌って!」


そう口にした瞬間一瞬静まり返り、その後男達はお互いを見合い「あー…」と納得するかのように頷いてから、


「ブハハハハハ」


一斉に笑い出した。

意に反するその反応に俺はただただ呆気にとられた。何故俺が笑われる?

「えっと…そうか解かんねぇよな」

「まあ乗らない人にはねぇ…フフ」

「どう説明するでありますかねぇ」

男達は全てを察したような素振りだった。

「会えばわかるかね?本人に。そうした方が間違いなく誤解だとわかるしな」

そう提案した男に他の男達が同意したように頷く。

「会う?誰に?」

「彼方ちゃんだよ、吉村彼方ちゃん。俺ら二輪サークルの姫だ」



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