第4話 ポプラに勇気を

お嬢さんはゆっくりと地面から

"ふわふわ"を拾って


「来年またあなたがお花を咲かせたら、その時はもらってもいい?? お母さんに世界にたったひとつのプレゼントをしたいの。」


お嬢さんは微笑んで"ふわふわ"を空に放ちました。


あの時僕は考えました。


僕の花を押し花に。

でも本当は知っています。


僕の花は、お母さんの無くなって

しまった押し花に代わるほど

綺麗な花ではありません。


それでもうつむき泣いてしまいそうな

少女の力になりたくて


僕は枝を揺らしていました。



お嬢さんの放った"ふわふわ"が遠く空に消える時、僕は一度だけ赤いリボンを揺らしました。


するとお嬢さんは少し大きく目を見開いて


「今、いいよって、言ってくれたの?」


気恥ずかしいです。

バサバサ!バサバサ!バサバサ!

「だからだめよ!」



その時、一斉に"ふわふわ"が風に乗って飛んでいきました。


新記録です、どこまでいくのでしょう。


おばあさんの言う通りでした。


僕は自分とおばあさんの言葉が

とても誇らしくなりました。


会いたい。


"ふわふわ"といっしょに届くといいな。

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ポプラに勇気を 藤高悠清 @yf2017d

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