第3話 そして少女は

それから何日か経ったある日。

最近思いついた「枝を揺らし風に調子を上手く合わせどこまで綿付種子を飛ばせるか」という面白い遊びをしていた時です。


「ポプラさん、ポプラさん。」

おや、あのお嬢さんですね。


「お願いがあるの。」


何でしょう。

やはりお母さんは許してくれなかった

のでしょうか。

お嬢さんの表情からは読み取れません。

すると少し遠くからお嬢さんを呼ぶ声が

しました。


「待って、お母さんそんなに速くは走れないわ。」


その方はお嬢さんのお母さんでした。


「お母さん遅いわ、日が暮れてしまう

かと思ったもの。」

そう言いながらお嬢さんはお母さんに

飛びつきます。


よかった。

仲直り出来たのですね。


僕は嬉しくなりましたが、ふと先ほどの

言葉が気になりました。

お願いとは何のことでしょうか。


お母さんはお嬢さんの頭を撫でると

「ほら、まずは」

そう言ってお嬢さんの体を僕に

向けます。

お母さんが微笑むとお嬢さんもそれに

習い


「ありがとうポプラさん、私勇気を出して本当に良かった。」

そしてポケットから赤いリボンを取り出します。


お嬢さんは僕の一番低い枝に、その赤いリボンを巻き付けます。

「雨風で無くしてしまったら大変だもの。」

さらに力が入ります。


「これでいいわ、かわいいでしょ?」


僕は枝をユサユサ揺らします、するとリボンもそれに合わせてヒラヒラ揺れます。


その様子を見てお嬢さんがにこにこ

笑います。

僕も嬉しくなってさらに枝を揺らします。


バサバサ!バサバサ!バサバサ!

「そんなに揺らしちゃだめよ。」

少しだけ怒られてしまいました。


「お願いっていうのはね。」

そうでした、何でしょう。

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