2-6.一方そのころザイナーズ


 飛ばした映像ビジョンを打ち払われたユカグラの意識は、ザイナーズ本土の自室に戻ってくる。

 陽の差さない暗い部屋の中、空中に投影された魔導スクリーンのわずかな光がユカグラの顔を照らした。


「降伏勧告は受諾されませんでした。……ルーコントからの返信は?」

『まだ何も。決断しかねているらしいな』

「結構。ちょうどいい機会と考えましょう」暗闇の中、ユカグラは薄く笑う。

「この戦争を終わらせる前に。ハイランドとザイナーズ、どちらが上で、どちらが下なのか。ハッキリさせる機会を持てたと」

『出るのか?』スクリーン越しのザイナーズ首脳陣に対しても、尊大な態度を崩さずに。

「……今までがそもそもおかしかったのですよ。国と国の戦争が、世界の行く末が……カードゲームなどというお遊びで決まるなど」


 そこで一瞬言葉を切って、ユカグラはそっと目を閉じる。


「でも、そんな狂った時代ももうすぐ終わる。一人の英雄の手によって、ね」


 言い終わると同時にスクリーンは掻き消え、部屋は完全な闇に閉ざされた。

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