第3話 カレー店へ

「すみませ~ん」


私達はまず全国にチェーン展開しているカレー店に行ってみることにした。リーズナブルで、トッピングのバリエーションに富んだメニューが人気の店とあって、夕飯にはやや早い時間ながら、すでにお客さんで賑わっている。


「はい、何でしょうか?」

私の呼び掛けに、テーブル席へ料理を運び終わった女性店員が、こちらに向かってきた。


「今日、この写真の女の子がお店に来ませんでしたか?」

本宮君の言葉に、奈々子ちゃんのお母さんがスマホの待ち受け画面を店員に見せる。店員はスマホを手に取り、少しの間じっと見つめた後、首を傾げた。


「ちょっと、見覚えがないですねぇ。何組か、ご家族連れは見えましたが、こちらのお子さんは記憶がないです」

「そうですか……」

念のため、その時出勤していた他の店員さん達にも聞いたけど、奈々子ちゃんに見覚えのある人はいなかった。


「ここの卵を乗せたカレーが奈々子は好きで、よく来てるんですが……」

「他に、もう一軒あるんですよね?」

本宮君の言葉に、お母さんは頷く。


「はい!もう一軒はインドカレーのお店です」

「今度は、そこに行ってみましょう」


全国チェーンのお店を離れ、15分程行ったところの小さなインドカレー店『ナマステ』へ移動した。店の外には、インド象の置物と、名前は分からないけどインドの神様の置物が置いてある。


「すみませ~ん」

ドアを開けて、店内に足を踏み入れると。


「ハイハイ、イラッシャイマセ~!」

陽気な声が響いてきて、奥からインド人男性の店員が現れた。


「今日ノオススメメニューハ、チキンバターマサラネ!」

「すみません、カレーを食べに来たわけじゃないんです」

私が言うと、インド人男性店員は、大きな黒目をさらに、クワッと開けて叫ぶ。


「カレー屋来テ、カレー食ベナイテ!?ナニ食ベルノ!?スシ食ベル!?」


……もう、日本人はイコール寿司っていう固定観念なんだからっ。いやいや、そうじゃなくてっ。


「人を探してるんです!」

奈々子ちゃんのお母さんが、必死な表情で言った。


「ナニ?ヒト探シテル??」

「女の子を探してるんです」

本宮君が、そう言うと、インド人店員はあっさりと答える。


「女ノ子ナラ、今ココイルヨ」

「えっ……!?」


見つかった!?

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