孤高の君。
この出会いは、私が成人してからの話。
彼と初めて出会ったのは、まずはネット上だったと思う。
私も原始人ではないので、SNSに手を出している。
本名や個人情報は一切出さないアカウントでの、趣味だけのやり取り。
そんなアカウントで、飛び切り憧れの強いとある人に出会った。
呟かれる内容は毎回簡潔に、シンプルイズベスト。
余計な顔文字も表現も無くて、淡々と思った事やあった事を流していた。
洋楽が好きな人らしく、自分自身も作曲に造詣の深い人。
話す内容や垣間見える立ち振る舞いから、私は年上の男性だと推理した。
実際男性なのは確定。メンズの洋服の購入報告などが目立ったから。
私は勝手に、その人に想いを寄せていた。
ああ、きっとダンディな紳士なんだろうな。と。
ある日。
一方的にフォローしていただけの私だったけれど、ちょっとした縁があって、ようやくメッセージを送り合えるようになった。
私はもう有頂天で、丁寧にメッセージをしたためる。
(そうだ、何歳くらいか聞きたいな。自然に自然に……)
私はメッセージの中に、相手の年齢を聞き出す為の言葉をそっと置いた。
『そうそう、私は今年で20歳です。失礼ですが、お歳はいくつでしょう?』
送信。
私はドキドキしながら、その返事を待ち続けた。
返事は30分と経過しないうちに返ってきた。
嬉しくてたまらなくて、私はそっとメッセージを開封する。
と、同時に。
完全に硬直した。
『俺ですか? 今年で15です』
15歳。じゅうご、さい。15歳!?
そう彼は…あの子は、当時15歳の少年だった。5つも年下だったなんて。
私は驚愕し、狼狽し、自分の想い込みのと羞恥の強さに絶望した。
顔全体どころか耳まで赤くして、頭を抱えて俯いた。
「……やだ、私……子供に恋したの……?」
これが、私の恋の中でも飛びっきりの大罪。
年端もいかぬ子供に、恋をしたお話の、最初の話。
宝石箱に散らばった数々の恋 朝比奈凛子 @adamska_
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