第32話 呼び名
出産前から母は姪(孫)に『おばあちゃん』と呼ばれたくないと言っていた。
決して名前呼びされたいという訳ではなく、日々年を取ったと実感させられるのが嫌だったらしい。
そこで、考えて考えて思いついた。
日本語で『おばあちゃん』と言われるのが嫌なら馴染みのない外国語で呼ばせればいいと。ーーーー結果、イタリア語で『ノンナ』と呼ばせることにした。
現在も姪はノンナと呼んでいる。
しかし、おんぶもしくは背中に乗る時だけ違う名を叫ぶようになった。
某ねずみランドの雪のお話。こちらが好きな幼児がいらっしゃるお宅はもしかしたら同じかもしれない。
そのお話に出てくるトナカイ。その名を呼ぶのだ。
「行けっ!◯◯◯◯!!」
まさか母もトナカイ扱いされる未来が待っていたとは思ってもいなかっただろう。
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ちなみに私は『ととちゃん(仮)』といつの間にか姪から呼ばれるようになっていた。
小さい子に説明する際、わかりやすくするというのは大切だ。故に私も姪に合わせて自身のことを『ととちゃん』と呼ぶことにした。これが失敗だった。
パパさん、ママさんなら問題はないだろう。
この呼び方に慣れてしまった自覚はある。
いつ人前で又は職場で失敗しないかハラハラ、ドキドキしてしまう。
社会人で独身者が自身を『ちゃん』呼びする。理由を知らない者からすれば引かないだろうか。
慌てて説明するも嘘っぽい。事実なのに悲しいことだ。
本当に両親以外の大人は自身を『ちゃん』呼びしないことを勧める。戻すのが大変である。
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