第36話 私流『子守り術』

 『小さい子が泣く姿』といえばどんな顔を想像するだろう?

 大多数の人は口を大きく開けている幼子が頭を過るのではないだろうか。

 あれがしたい、欲しい、甘えたい。様々な理由で子どもは泣くものだ。


 一切遠慮のない大声は偏頭痛持ちの母や私からすればその事態はなるべく避けたいことである。

 故に私は行動する。


 口を大きく開けて泣きそうな姪を見かけたら、私は急ぎ席を立つ。

 何気なく近寄り叫びそうになった瞬間を見計らってその穴に食べ物を突っ込む。

 タイミングも大事だが、バナナやイチゴならなお良し。

 大体は泣き声が止む。


 この方法の成功率は九割にも達する。

 残りの一割は本当に嫌な時である。幼くても嫌なら自分から拒否するものだ。


 これが嫌なら『子守り』を任せるなというのが私の言い分である。

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