第28話 姪、小児科へ行く

 子によって成長は様々であるが、姪は話し出すのが早かったと思う。


 数ヶ月前のことを振り返る。


 ある日、姉が小児科に子と検診に行った時のこと。

 姪は一歳に満たない時から子ども好き、赤ちゃん好きだった。

 小児科に行くと勿論、子どもや赤ちゃんはいるから姪はハイテンションになる。

 遊び場で遊ぶ子たちの一人に忍び寄っては顔面を近づけニコニコする姪。

 声は掛ける訳でも、一緒に遊ぶわけでもない。ただ唇が触れそうな距離でニコニコ、ニコニコ。

 一人、二人、三人と人が代われど、することは同じ。ニコニコ、ニコニコ。

 相手に何か害を与えている訳でも泣かせている訳でもないのでお母さんたちも皆、様子を見て遊ばせていたそうだ。


 ずっとこれをするのかと思えば今度は室内に飾っているキャラクターを指さして……


 「ぱんまん」


 「てんまん」


 舌足らずな言葉で言っていくのを姉は「そうね~」といいつつ、キャラ名と指差したのを確認しながら聞いていたそうだ。

 すると、突然ベビーカーに乗っていた赤ちゃんが泣きだした。

 それを指さして姪は……


 「あかちゃん」


 先程までのたどたどしい言葉が嘘のようなしっかりとした発音で言い切った。

 相手の母親とも目があった姉は慌ててその親子の上をさして……


 「そうね~。あかちゃ○マンだね~」


 機転を利かせた咄嗟の言葉でその場を誤魔化しつつ、瞳は必死に飾られたキャラクターを確認した。

 三度見直しても該当するものはいなかったそうだ。

 後で知ったのが、泣いていた子が同じ1歳2ヶ月だということだったと小児科から帰ってきた姉はその時の対応を褒めてといわんばかりに報告してきた。

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