第29話 俺様はSだ!?

 弟をSだと確信するのは血の繋がった姉としては複雑な心境である。

 しかし、友人との会話を不可抗力で聞いていたりするとそう断言してしまうのは仕方がないことだろう。


 ある日、弟が電話をしていた。


 「○時○分。○○集合。……は?来れない?いや、来いて!じゃな」


 え?拒否権なし!なんて理不尽な電話!!それに口、悪っ!!!

 そう思う私は普通だと思う。

 とりあえず電話を終えた弟にそれで相手が来るのかと尋ねると……


 「ハッ、来ない以外の選択肢なんてない。今まで来なかった奴なんてない」


 言い切られたセリフに弟の友人たちに向かって心の中で合掌した。

 拒否権の無い友人からの電話なんて私なら出たくないし口が悪いな~と思いこの話を母にすれば……


 「あの子は友人多いし、人徳があるから」


 で、片付けられた。


 なるほど……。納得できないけど、したくないけど『なるほど』と思っていた方が平和なこともあると考えたそんな一日だった。


 ちなみに話していて説明しても理解しないと『この人とは話が合わない』という結論に至りスルーするそうだ。

 内心いつかその対象者に私が含まれる可能性にビクビクしているが、姉として最も避けたいと思っている。

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