第7話 私
ここまで姉と弟について語ったが、何か言われそうなので私のことも話しておこう。
私は未熟児で帝王切開で生まれた。他の子より一回りも二回りも小さかった私はすぐ保育器に入れられたそうだ。
通常以下のサイズの為か必要以上に看護士さんたちは代わる代わる私を抱っこしに来た。その光景を母は『私の子なのに~』と窓越しで見ていたという。
低身長な私は生まれてから高校二年生頃まで病院に通い続け、自宅で毎日成長を促す注射を打った。
辛いねと他人に言われても、苦に思うことはなかったしその言葉に疑問しか浮かばなかった。生まれてからそれが当たり前なのだ。何が苦なのか理解できないのは当たり前ではないだろうか。
そんな私はA型である。
『A型でしょ?それっぽい』と知り合ったばかりの人たちはよく言う。
しかし、仲良くなっていくにつれて友人たちは『B型でしょ』と最初の答えが変化していくことが多々ある。 B型の特徴的な性格に当てはまらないと思っているため何故そう思われるのか不思議でならない。
高校生の時、担任に用があり友人と一緒に職員室に行った。
用件はすぐに終わったが流れで三人で雑談をしていた。
「最近、授業中寝ないでしっかり受けてますよ」
友人が自慢げに言うと担任は頷いた。
「うん、ちゃんと受けてる」
私もついでにと思って答えた。
「私はいつもちゃんと授業受けてますよ」
すると担任は渋い顔をした。
「え?いつも前向いて黒板に書かれていることもちゃんとノートに取ってるじゃないですか!?」
「いや、ちゃんと前向いて授業受けているけど違うのよ。……あなたは黒板の遥か向こうを見ているのよ」
返ってきた言葉が予想外すぎて私は何も言えなかった。
『黒板の遥か向こうって何ですか!?』『私、透視してるんですか!?』と、突っ込みたいことは色々あったが、変わった先生だなぁと内心思うだけにした。それは今でも思っている。
その担任が文化祭のクラスの出し物で劇をしたいといいだした。
脚本は自分が書いて、舞台に立つ人に合った役を用意するという。
係り決めをする日、私は病院に検診に行かなくてはならず休むことになった。
翌日、学校に行くと友人から舞台に立つ役に決まったと言われた。驚きはしたが何人か仲のいい子もいたので文句は言わなかった。
問題は役である。
舞台内容は学校だった為、先生役と生徒役の子が勿論いる。友達は全員生徒役だった。その中で私だけが違った。
宇宙人役である。
もう一度言おう。宇宙人役である。
見間違いでも、打ち間違いでもない。
生徒役大勢、先生役一人、宇宙人役一人。
私に合った役=宇宙人。
うん。おかしいと思う。
変わった先生だとは思っていたが、私の中でそのレベルがアップした出来事だった。
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