第8話 知らない姉

 私にとって姉は長女である。

 どういう意味かというとしっかり者、責任感が強い、真面目といった長女のイメージぴったりの人ということだ。まぁ、スイカやミカンの問題は置いておいて……。

 しかし、そんな姉が天然であることを私は一緒に暮らしていながら二十年以上経ってから知った。それを友人にいうと『天然が天然を気付くはずない』といわれるのは心外である。

 さて、逸れてしまったが他県に住む姉の友人に聞いた話である。

 ある時、こちらに遊びに来るというとこでホテルの予約を姉に頼んだそうだ。

 当日、行ってみると予約を承っていないという。

 そんなことはない確かにしたはずだと言い切る姉。

 確信してみると近くにあるホテルと間違っていたそうだ。ちなみに名前が似ていたという訳でもなく、全くかすりもしていなかったという。

 姉の友人もホテルを間違える人は初めてだと驚き、さすが天然と思ったそうだ。

 私がこの出来事を笑い話として母に言うと『名前を確認しないなんて……』と少し呆れるものの『お姉ちゃんだからねぇ』と納得していた。理由を聞くと姉は中学生の頃一部の女子生徒からイジメを受けていたそうだ。それは他の子が『大丈夫?』と聞いてくる程だったというが本人は『ん?何が?』とイジメ自体に気付いていなかったらしい。それ以上酷くならずに解決したということでよかったと思うが、私の中の姉のイメージに天然がプラスされた。

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