第6話 弟の学生時代
弟はモテた。
赤子の頃、母はよく「旦那さん外国の方?」と聞かれた。それは、生まれて間もないにも関わらず彫りが深く、整った顔をしていた為である。……と、後に母は語っていた。
そんな弟はスポーツが得意だった。サッカー、バスケット、卓球、バドミントン、テニスとスポーツクラブに入ったり、部活をしたりした。その効果もあってかバレンタインにチョコレートを持ってくる子やラブレターを渡す子もいた。ただ、一緒に育った姉と私からすれば「弟格好いいね!」といわれてもピンとはこなかった。
中学生の頃、テニス部に入っていた弟は学校外の試合があった後から体調を崩した。熱があるわけではないが食欲がなく体が怠い日が続いた。思い返せば試合の後からであり、あった場所はお城の跡地である。
もしかしと思い私たち一家はお祓いをしてもらうことにした。
霊を信じていない人にとっては怪しい展開になってきたと思うだろう。書いている私も胡散臭くなってきたと内心思っているが、正直に書いているのだから仕方のない。
さて、お祓いなんてどこに頼むのかと疑問を持つのではないだろうか。調べると所によっては神社でも受け付けてくれるらしい。しかし、何処にしろ最初に金額を確認しておかないと後で痛い目を見る可能性があることは言っておこう。
我が家は以前からお世話になっている方がいた為にそこにお願いした。
見てもらうと………着物を着た女の人が頼りにしてついて来ているという。嘘のような話であるが、その日から弟の具合はよくなった。そして、純粋な為に頼りにされ、憑きやすいため嫌な感じがする所や行きたくないと思う所には近づくなと警告された。
それ以来、弟は数珠を腕につけるようになった。一応言っておくと、お祓いをして貰った所で品物の販売は一切していない。京都のお坊さんが祓い清めたという品だ。
それから数年後。
弟は大学生になり寮に入った。少し上の先輩が亡くなったという新たな住まいでは以前のように体調を崩すことはなかった。それが数珠の効果だったのかはわからない。だが、その人が住んでいたフロアに行くと例え新品でも数珠が切れるということが数回あった。以来近寄らないようにし、無事に卒業した。
余談ではあるがお祓いに行くからついでについて来いといわれた時、私は行きたくなかった。別に今まで行ったことがないという訳ではなかったが、何故か行きたくないという思いが凄く強かったのだ。それは目的地についても変わらず、玄関からしばらく動かずに座り込んでいたほどである。
弟は念入りにして貰い家族全員お祓いをして貰った後は、なんとなく清々しい気持ちがした。私自身霊を信じているかと問われれば、そこまで深く信じてはいない。
ただ気になったのが、悪霊に憑かれると祓われると察してここに来たがらないし別人のように口調が変わり暴言を吐くといわれた。これを聞いて、気にあてられたんだろうと私の中で結つけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます