第5話 姉の仕打ち
以前も書いているが、姉の部屋は物で溢れている。しかし実際は、それだけでは飽きたらずリビングや客間の一角にも姉の品が山積みされたスペースが存在する。
何がそんなに多いのかといえば服だろう。アニメのコスプレの服は勿論のこと、それを作るための大量の布。それは、小さな手芸屋さんができるのではないかと思う程の量である。
そんな中で私が一番驚いたのはウェディングドレスだった。独身貴族として生きていくと言っていた高校生時代に所持していたのだから何故持っているのか聞きたくもなるだろう。当時、劇で使用するために持っていると言っていたが嘘か本当か不明である。
コスプレが趣味な人なら分かるだろうが、衣装があれば完璧という訳ではない。小道具が当然必要である。そして、物は増えていく。
そんな姉が次にハマったのがドールである。
とあるメーカーの品は一体二万円くらいしたと思うが、限定版だと更に高かった。欲しがる品は会員限定や数量限定ネット販売の物ばかりである。可愛い分、入手は困難。もしくはプレミア価格がついている。
そんなドールを一種類につき二、三体購入するのだが、何故数体買うのか疑問に思うだろう。少なくともその時の私は『同じ品を買う必要ある?』と思っていた。
姉いわく、自分好みに肌を茶色く染めたり口をアヒル口に削ったりとカスタムするために気に入ったのは数体いるということだった。
自分のお金で買っていたので文句はない。ただ、グロかった。
カスタムということはドールの頭を分解する。顔をヤスリで削ったり、機械で穴を開けたりといった作業はまだいい。問題は目玉だ。
片付けができない姉である。当然そこら辺に置かれていた。夜中に転がる目玉……心臓に悪い。
さて、話が逸れてしまったが私が言いたかったのはどれだけ大量の品があるのかということだ。
ある日、私は片付けの手伝いをした。
大変だったのは言うまでもない。引っ越し用の大きい段ボール三箱と小さい段ボール五箱が畳まれていない形で出てきた時は十代の乙女の部屋としてどうかと内心思った。ちなみに引っ越したのは五年以上前で、その時使用していた段ボールである。
片付けは無事に済み、それから1ヶ月ほどして姉がいった。
「クローゼットの奥にドールが隠してあったの‼」
心外である。
片付け時に数体のドールは棚に飾った。それとは別に発送用の箱さえも開けていないドールが十体ほどいたので、クローゼットの奥に種類別に直しておくと伝えた。
一生懸命手伝ったにも関わらず、まさかの一言である。故に私はもう一度、言いたい。
心外である。
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