第2話 弟

 大半の家庭は一番下の子といえば特に可愛がられるものではないだろうか。

 それは家も例外ではなかった。特に祖母、祖父母からすれば念願の跡継ぎであり長男である。目に入れても痛くないぐらいに可愛いだろう。ただ、二人にとってはそれ以上の想いだったのではないかと思う。

 母が弟を出産する数日前に祖父は病気で亡くなった。最愛の夫を亡くした祖母に愛しい我が子を亡くした曾祖母。

 その光景を弟は上から見ていたといい、亡くなった祖父本人しか知らない品物の場所も知っていた。故に祖父の生まれ変わりと家では冗談めいていっている。

 嘘か本当かわからないことではある。しかし、その影響もあってか祖母は孫の中で一番弟に甘かった。欲しがる物があればすぐに買い与え、おこずかいを乞えば即手渡していた。

 そんな弟に「また買って貰って‼」と軽く怒れば「俺様だからな」とドヤ顔で返ってくる。最近では「長男の特権」「長女と長男の差」など言い方を変えているが表情は同じである。

 幼少期からずっとこのような状況のため小さい頃から姉と私の間では一人だけズルいという感情はなく仕方ないことだと既に諦めている。 

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