恵と倫也は結局相性いいんですよね 後
色々あった宇治での観光を終えて俺たち二人は清水寺へと向かっていた。
「清水寺にしたのはいいんだけどさ」
「どうした恵?」
「今日って人混みを避けるために朝早くに宇治に行ったのに、私達、自分達の方から人混みに入っていってるな~って思って」
「そうだな。まあでも、俺としては、恵の行きたいところが混んでて回れないとか嫌だったから。清水寺に関して言えば、俺の目的が大きいだろ?俺も
「そうなんだ。うん、じゃあ行こうか」
「行こうかっていうか今向かってるんだけどな………あれ?何か電話かかってきた」
「いいよ、出て。私ちょっと向こうの自販機で飲み物でも買ってくるから」
「ごめんな………もしもし、安芸ですけど」
俺と恵は、この電話に出てしまった事を後悔することになる。……まあ出ても出なくても関係ないことではあったけど
「お~、倫也くんか」
「ん?その声は、朱音さん⁉」
「あ?そうだけど?」
「何で電話してきたんですか?」
「いや~、邪魔したかったとかそういうんじゃないんだけどさ、霞センセと柏木センセに倫也くん達が京都にいるってバレちゃってさ」
「何してくれちゃってんですか⁉」
「怒るなら私じゃなくてお苑を怒ってくれ。あいつが酒に酔った勢いでぺらぺらと話しだしたんだよ」
「町田さん……。で、電話してきたということは」
「ああ、お察しの通りだよ。しかもあいつらのすごいところは、ちゃんと進捗させて影響が出ないようにしてから行きやがったんだよ。さすがにやるべきこと終わらせてる奴は止められないからな」
「うわ~、何か想像つきます」
「でも徹夜で終わらせたみたいで、霞センセは大丈夫そうなんだけど、柏木センセが寝ちゃってるから、もうしばらくはこっちにいると思うから、今のうちに行くとこ行って逃げとけ」
「?逃げる、ですか?」
「ああ、ちょっとこの私ですら関われないほど霞センセは黒いオーラってやつが出てたしな。柏木センセなんか、無意識で私にツインテビンタかましてきたしな」
「や、ヤバイですね」
「まあ標的は倫也くんよりも
「抜け駆け、ですか?」
「は~、君は本当に鈍感とかいうレベルを越えているな。ある意味君と関わっている女子がみんなかわいそうに思えてくるよ」
「なに言ってんですか⁉」
「わからないならいいさ。ともかく、早いところ行くとこいって逃げとけ逃げとけ」
「わかりました。ひとまず教えていただいてありがとうございますということで」
「くれぐれも気をつけろよ~?」
「じゃあ恵が待ってるみたいなんで、そろそろ切らせてもらいますね」
「ああ、長話して悪かったな。ゲーム作りの方もしっかりしろよ?うちとやりあうんだったらな」
「もちろんです。それでは失礼します」
そう言って、電話を切って後ろを振り向くと、やはりと言うべきか恵が待っていた。
「誰からだったの?」
「朱音さんからだった。町田さんが口を滑らせたみたいで、詩羽先輩と英梨々がそろそろこっちに向かってくるらしい」
「………そうなんだ」
「あれ?驚かないのか?」
「遅かれ早かれ霞ヶ丘先輩と英梨々に気付かれるとは思ってたから」
「そうなの?」
「……私達3人はこういうのに関しての嗅覚は鋭いからね…」
「ん?どうかしたか?」
「は~、やっぱり倫也くんは鈍感とかいう次元を通り越してるね。わかりきってはいるけど」
「なんだよ⁉」
「ひとまずそこはいいとして、話の内容の割に時間が長かったみたいだけど何話してたの?」
「いや、ずっとこの話してたけど?というかさっき朱音さんにも恵と同じようなこと言われたけど俺何かしたかな?」
「わからないなら気にしなくていいよ」
「いや気になるから‼……おっと、ここで時間潰してる暇ないな。朱音さん曰くまだ大阪から出てはないらしいから、今のうちに地主神社行ってお参りして、別のところ行こう」
「うん、了解。でも別のところってどこがあるのかな?」
「う~ん、どこがあるだろ?俺は恵んとこが旅費とか出してくださってるおかげでまだ結構金銭的には余裕あるけどさ」
「だったらあえて大阪に行く?」
「おっ、大阪⁉何で?」
「う~ん、なんとなくだけど、ちょっと私の中では、どこかしらのタイミングでこうなることは覚悟してたけど、さすがに詩羽先輩と英梨々でも私達が大阪に、あの二人がいまいるところに行くとは思わないんじゃないかな?」
「な、なるほど…。というか、英梨々たちにバレること予想してたんだ…」
「そうだね。私と霞ヶ丘先輩と英梨々、後は氷堂さんはそういうことには敏感だから。まあ昨日氷堂さんと鉢合わせたのは完全なる偶然なんだけどね」
「そうなんだ。そういうのに敏感なんだ…」
「そうなんだよ?というわけで、大阪で決まりでいいかな?」
「うん、そうだな。じゃああの二人が来ないうちに地主神社でお参りしようか」
「そうだね」
こうして俺たち二人は清水寺へと歩みを進めた。
「倫也くん、ここが地主神社なんだね」
「そうだけど、やっぱり人多いな~」
「まあこの時期だから仕方ないんじゃないかな?」
「そうだよな~、……というかこれも当たり前だけどカップル多いよな」
「そうだね。…………私達もそういう風に見えてるのかな」
「ん?恵なんか言った?」
「ううん、倫也くんにこういうこと望んじゃダメだということがわかったから大丈夫」
「いや気になるし⁉」
「まあいいんだよ。それよりも、おみくじ引いてみようよ、恋みくじ」
「そうだな、ここで引くものといったらそうなるよな」
そうして俺と恵でくじを引いた。その結果に二人とも驚きを隠せなかった。……いや、運としては俺が中吉で、恵が小吉だったから、その点は普通なんだけど、恋愛のところが無駄に具体的だったんだ。
まず俺が、『いつも貴方の側にいてくれる方と結ばれるでしょう。ただし1度別れる可能性もあるので、その時は相手に寄り添うことです』
そして恵が『貴方の想い人も貴方のことを想っているでしょう。しかし、相手はとても鈍感です。ストレートに伝えましょう。そうすれば、後は固い絆で結ばれるはずです』
「おみくじってこんなに1つの項目だけ詳しく書いてあったっけ?」
「私もこんなおみくじ初めてだよ…」
「しかも、なんか自分に当てはまりすぎる感じがするんだよな」
「ふ~ん、そうなんだ」
「どうした?」
「ううん、なんでもな~い」
「そっか。それじゃあ、そろそろ移動しようか。これから京都駅に行くから、タクシーで…」
「それならさ、京阪で行こうよ。確か京阪の駅が近くにあったはずだから」
「そうなんだ。じゃあ京阪使って大阪に行こう」
こうして、急遽の大阪観光が始まろうとしていた。
「……………英梨々、ごめんね。私、抜け駆けと思われたとしても、少しでも多く倫也くんと一緒にいたいから……………」
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