閑話

 それは、時の流れに置き去りにされたもの。 忘れ去られた過去。

 本来であれば現在との接点はないもの。しかし、時の気まぐれで現世に現れる。

 巻き込まれた人間は数知れないだろう。そして、そのまま忘れ去られた過去に取り込まれる。

 しかし、希にだが、時に気に入られた者は、過去の置き土産を持ってあるべき時へと戻される。それがなんのためなのか、誰も分からない。時は気まぐれである……。


「な~んてね。あの二人、いや一匹と一人か。面白いなぁ。またどこかでイタズラしてみよう」

 「僕」は色々考えている。今の外見は人間の男の子だ。特にあの猫。どんな事をしても冷静。どうしても驚く顔が見たい。その事しか考えていないけど、難しいなぁ。神経太そうだし。とっておきの難破船でも、ビビるどころかどっか楽しんでいたし。うーん、どうしよう……。

 まあ、少なくても普通の猫じゃない。だからこそ、僕もやり甲斐があるってものだ。

「次は……うーん。アレかなぁ」

 僕は行動の誘導までは出来ない。ただ仕掛けるタイミングを見て、ネタをポンと落とすだけだ。それだから楽しい。そう、僕はイタズラが好き。うろたえるのが好き。

「ホント、僕も性格悪いよね。うふふ」

 おっ、今は船に乗っているのか……。いいや、これ以上はインパクトがないから少し間を開けよう。色々考えたいしね。それにしても、あの猫に付いている人間。ただの人間だと思うけど、時々妙な空気を感じるんだよね。まあ、ポンコツだからどうでもいいけど。

 さてと、策を練りますか……。


 時の神、その悪癖はイタズラだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る