第十三夜/ゲーム語り/『ティーフェンタールの酒場』
1.ゲーム概要
デザイナー:ヴォルフガング・ヴァルシュ
ゲーム種類:ボードゲーム
プレイ時間:60分(著者実測:60分)
プレイ人数:4人
定価:5,800円
「ようこそ深い谷の酒場に。とびっきりのビールと蒸留酒、それに曲芸でみなさんをもてなしましょう。え? あれは何かって? 金払いの悪――いえ、たちの悪い常連客がいるんで、火吹き男に追い払ってもらっているところです。まぁ、ショーの一環だと思っていただければ……」
2.感想
★★★Excellent!!~酒場経営はいつだってままならない!!
ティーフェンタールの小さな村は、薄明かりの灯る酒場通りが有名で、いつも地元の常連たちでごった返しています。プレイヤーは、それぞれが酒場の主人となり、酒場をうまく切り盛りしてお金持ちの常連客を増やすことを目指します。(アークライト紹介ページより)
というわけで『ティーフェンタールの酒場』は、小さな酒場のマスターとなって自分の店を繁盛させていくゲームなのですが、具体的に何をやるの? と言われると説明がなかなか難しかったりします。
とりあえずモジュール1(基本ルール)でのセットアップから書いていきましょう。
各プレイヤーにははめ込み式の個人ボードが配られます。テーブルとかカウンター席とか酒蔵とか洗い場とか色々あって、全部はめ込むとかなり酒場な感じになります。さらに個人の山札として10枚のカードが配られます。これは全員が同じカード構成になっています。
ゲームが始まるとまず、各プレイヤーは。個人の山札から一枚ずつカードを公開していきます。カードには皿洗い、酒商人、ウェイトレスなどのスタッフとテーブル、それに客が描いてあって、これらをボードの内外に並べていくことで、ある日の酒場の風景ができあがっていくのです。
個人の山札から引けるカードの枚数は何枚と決まっているわけではなく、個人ボードに描かれたテーブル(+追加で引いたテーブルのカード)が全て客カードで埋まるまで引き続けることができます。
結果、「今日はテーブルもビールの準備もバッチリだぜ!」となったり「テーブルもスタッフも全然集まってないのに客ばっかり来ちゃったよどうしよう!」となったり。ここまではまぁただのおみくじなんですが、どっこいおみくじは楽しいのです。
さてカードめくりが終わったら、今度は白いサイコロを4つまとめて振ります。このサイコロは後述するアクションフェーズで使うものですが、出た目をそのまま自分のものにするのではなく、ひとつだけをキープして残りを左隣のプレイヤーに残りを渡します。いわゆるダイスドラフトというやつですが、わざわざ専用のコースターがあるのが小粋です。
コースター上のサイコロがなくなるまでダイスドラフトを繰り返したら、いよいよアクションフェーズ。スタートプレイヤーから順番にアクションを実行していきます。
アクションフェーズでやれることは以下の6つです。
(1)ボードや客カードの上にサイコロを置いてお金を増やす
(2)ボードの上にサイコロを置いてビールを増やす
(3)ボードの上にサイコロを置いて修道院マーカーを進め、様々な恩恵を得る
(4)お金を消費してスタッフやテーブルのカードを買う
(5)お金を消費して個人ボードの改良を行う
(6)ビールを消費して場に出ている客カード1枚を獲得する
サイコロを置いてリソース(お金とビール)や恩恵を得て、スタッフやテーブルを増やし、店舗の改良を行いながら、新たなお客の獲得をしていくというのがアクションフェーズの基本的な流れです。
しかしながら、多くのアクションはそのアクションに対応した目を置く必要があります。例えばビール納入業者のアクションを行うためには1または6の目が必要ですし、修道士のアクションを行うためには5の目が必要になります。幸いにして個人ボードが賑わっていても、ダイスドラフトの結果によっては思ったような行動が取れないということが(頻繁に)起こるのです!
さて、カードには右上に数字が書いてあるものがあります。この数字はゲーム終了時にそのまま点数となります(モジュール1ではカードに書かれた点数以外に加点要素はありません)。
ちなみに貴族という特殊な客カードもあります。このカードは、
・大量のビールを払う
・個人ボードの改良を行う
・修道院マーカーを一定数進める
これらによって入手できるのですが、勝利点は破格の10点! いかにしてこの貴族カードを増やしていくかが、勝負の肝となります。
ゲームは8ラウンドにわたって行われ、8ラウンド終了後にもっとも多くの点数を得たプレイヤーが勝者となります。
ここまでの説明で「結構複雑そうだ」と感じた方もいるかも知れませんが、遊んでみれば結構気軽に楽しめるゲームなんじゃないかなと思います。この手のデッキ構築と呼ばれるジャンルのゲーム中では屈指の気軽さなのではないでしょか。
というのも、複雑なルールの大半は、各ラウンドにおける個人ボードのセットアップに関するもので、プレイヤーがやることはサイコロのドラフトとアクションフェーズの各アクションの二点に絞られているからです。
カードのおみくじとサイコロの出目に振り回されながら「なるようになるさ」の精神で、今やれることを考えていく――『ティーフェンタールの酒場』はそんなゲームだと思います。ルールも適度にゆるいですしね。
モジュール1(基本ルール)だけでも結構やり込めそうなんですが、他にも4つのモジュールがあるので、繰り返し遊ぶならどんどんモジュールを追加していくと良いでしょう(個人的には全てのモジュールを使うルールが一番好きです)。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます