第八夜/ゲーム語り/『キャッチ・ザ・ムーン』
1.ゲーム概要
デザイナー:ファビアン・リフォー、ジャン・ロドリゲス
ゲーム種別:ボードゲーム
プレイ時間:10分(筆者実測:10分)
プレイ人数:2~6人(筆者推奨:2~4人)
定 価:4,500円
(公式ページより引用)
雲を突き抜け空へと登って月を捕まえる……なんて素敵な夢でしょう! 必要な物は、ハシゴをかける少々の腕と、絶妙なバランス感覚と、ほんのちょっとの想像力だけ。月は辛抱強く待っています。でも、彼女は傷つきやすいのです。あなたがうっかり足を踏み外すだけで、涙を流してしまうでしょう。危険は承知の上で、でも頭を使って、一番身軽な夢見る人を目指しましょう。
2.感想
★★Veru Good!~月が綺麗ですね。
おそらく人類がかなり昔から遊んでいたであろうゲームのひとつにバランスゲームというものがあります。何らかのオブジェクトを積んでいき(あるいは取り除いていき)崩してしまったら負けというアレ。
積木だろうが将棋のコマだろうがその辺の小石だろうが遊べてしまうのに、わざわざお金を出して買う必要があるのかと思う向きもあるかも知れませんが、ある遊び方のアイディアにデザインという肉付けをして世に出すというのも商品としてのボードゲームの役割なのだとわたしは思います。
さて、キャッチ・ザ・ムーンの話。
箱を開けて説明書をよけると、ミニチュアの梯子がどっさり入っていることに気が付きます。そう。キャッチ・ザ・ムーンはこれらの梯子を雲の土台の上に積みあげていくゲームなのです。
はじめにまっすぐな梯子をいくつか設置しゲーム開始。
自分の番が来たらまずサイコロを振ります。
このサイコロの目が、新たな梯子を設置する上での制約となります。
具体的には「1つの梯子にひっかける」「2つの梯子にひっかける」「1~2の梯子にひっかける。かつ梯子の一部がこれまでよりも高い位置にあるようにする」など。結構難しそうにみえますが梯子の格子を利用すると案外うまくいきます(ルールブックに掲載されている小技集がかなり使えます)。
梯子を置く過程でバランスを崩してしまったら涙トークンを受け取り、涙トークンがなくなるか梯子を置ききるかした時に涙トークンの数が少ない人が勝ちとまぁ、そんな感じ。
キャッチ・ザ・ムーンは誰でも遊べる簡単なゲームである反面、キレのあるゲームではまったくありません。コンポーネントこそユニークなもののルールにはまったく目新しさはなく、人によっては手番ごとにサイコロを振らなければならないことについて、テンポが悪いと感じることもあるでしょう。
しかし、わたしはこのキレのなさこそが、キャッチ・ザ・ムーンの最たる魅力なのだと思うのです。手番ごとににサイコロを振ることでテンポは悪くなる。それはそうでしょう。しかし、そのワンクッションのおかげでバランスゲームをプレイする際に生じがちな『せかされ感』が緩和されるということもあるのです。
バランスゲームでありながらどこかゆったりと遊ぶことができる――それがキャッチ・ザ・ムーンというゲームのデザインの本質であり、また、魅力でもあると思うのです。
空に月の見えないちょっと退屈な夜に、親しい人と遊んでみるというのはいかがでしょうか?
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