第二夜/ゲーム語り/『禁断の島』
1.ゲーム概要
デザイナー:マット・リーコック
ゲーム種別:ボードゲーム(タイルによる)
プレイ時間:30分(筆者実測:40分)
プレイ人数:2~4人(筆者推奨:3~4人)
定 価:不明(3,000円前後)
その島は古代文明の秘境でした。
伝説によれば、古代の人々は世界の四大元素を制御する4 つの秘宝「炎のクリスタル」「風の彫像」「海の聖杯」「大地の石」を持っていたといいます。
古代の人々はその力が敵の手に渡ることがないよう、島のどこかに秘宝を隠し、もし何者かが侵した場合、島体が沈む仕掛けを作り秘宝を守り続けたのです……。
やがて古代文明は滅び、長い年月が過ぎ去りました。
みなさんは探検隊として、島へと足を踏み入れます。
みなさんの目的は一緒です。誰かと競ったり、出し抜いたりするのではありません。
四つの宝物を手に入れて、全員で生還すること――それが、みなさんに与えられたミッションなのです。
2.感想
Very Good!~さぁ今すぐみんなで探検に出かけよう~
コンピューターゲームには、格闘ゲームのように一定のルールの中でプレイヤー同士が勝敗を競うゲームと、ロールプレイングゲームのようにプレイヤーがゲームから与えられたミッションをクリアしていくゲームとが(たくさん)あります
一方ボードゲームのようなアナログなゲームは、テーブルトークRPGを除くのであれば、その多くが人と対戦して勝敗を決めるタイプのゲームになろうかと思います。
もちろんプレイヤーがゲームから与えられたミッションをクリアしていくタイプのゲームもないわけではありません。そのひとつが本作『禁断の島』です。
『禁断の島』はプレイヤー全員が共通の目的を達成することを目指すゲームです。勝つときは全員が勝ち、負ける時は全員が負ける――プレイヤーたちが協力して遊ぶことから『協力ゲーム』と呼ばれる作品群のひとつです。
ともあれゲームの内容について簡単にふれていきましょう。
まずは準備から。ルールブックに則ってテーブルの中央に正方形のタイルを並べていきます。これがゲームの部隊となる"島”です。
その他にも色々準備はありますが一部割愛。
プレイヤーはそれぞれ自分の分身となる冒険者を決め、対応したスタート地点にコマを置きます。
※ルールブックにはランダムで決めるとありますが、初めはみんなで相談しても良いと思います
最後にトレジャーカード(手札)の山から2枚ずつを配ったら準備完了。ちなみに手札は隠し持つ必要はありません。むしろみんなで情報を共有して一緒に考えていくゲームです。なので、自分の手元に表向きにして並べてしまいましょう。
トレジャーカードの山は秘宝カード(4種類の秘宝に対応)と、2種類の特殊カード、それに水位上昇カードで構成されます。
秘宝カードはいわば宝のありかを示す手がかりのようなもので、あるプレイヤーが1種類のカード4枚を持って対応した場所に行くことで、その宝を獲得することができます。
さて、ここからは実際のゲームの流れに沿って説明をしていきましょう。
『禁断の島』は最初のプレイヤーから時計回りに自分の番の行動を決めていくのですが、自分の番でできることは基本的に以下の4つです。
1.島内を移動する(隣のタイルに移動)
2.同じタイルに居る仲間にカードを1枚渡す(もらうことはできない!)
3.所定のタイル上で、手札から1種類の秘宝カード4枚を捨てて秘宝を獲得する
4.島の沈没を食い止める
この中から好きな順番で3回行動します(1回の番で同じ行動を複数回してもOK)。島内を移動し(1)、誰かに宝の手がかりを集めて(2)、宝のあるマスに移動して秘宝ゲット(3)という流れを作っていくというのが基本です。
さてしかし、手番終了時にプレイヤーはまず手札を2枚補充します(手札は常に5枚までしか持つことができませんので、5枚を越えたら即座に5枚になるまでカードを捨て札にしなければなりません)。そしてまた、浸水カードを所定の枚数引きます。
浸水! そう。この島は古代文明の技術によって沈むのです。
島の浸水状況は、通常(タイル表面)⇒半ば水没(タイル裏面)⇒完全に水没と、三つの段階にわかれており、浸水カードが1枚引かれる度、対応するタイルの浸水状況は1段悪化します。完全に水没した島タイルは対応する水没カードともにゲームから除外され、一部のキャラクターを除き侵入不可能になります。
このように行動⇒手札補充⇒浸水をいう手順をプレイヤーごと繰り返していき、全ての秘宝を揃えてヘリポートにひとりの欠けもなく集合し、ヘリコプターカード(特殊カードのひとつ)を使用して脱出するというのがこのゲームの勝利条件です。
ヘリポートが水没した場合や、どれか1つでも秘宝を入手できなくなった場合、プレイヤーがいる島タイルが沈み、逃げる場所がない場合は直ちに敗北します。
ところでトレジャーカードの山には「水位上昇」というカードが入っています。手札を補充する際にこのカードが出てきた場合は、一旦ゲームを中断し、水位メーターをひとつあげます。「浸水」の際に引くカードの枚数はこの水位メーターによって決まります(水位が上昇することでどんどんカードを引く枚数が増えていく!)。
くわえて、ここがこのゲームのシステム上の白眉なのですが、一度引かれて捨て札になっていた浸水カードをよくシャッフルし、浸水カードの山札の上に置き直すのです。
捨て札置き場にある浸水カードは既に引かれたカード。つまり対応するタイルはプレイヤーが沈没を食い止めるアクション(4)等で対応していなければ、半ば水没状態になっているわけです。したがって水位上昇の直後は、島タイルが完全に水没してしまう可能性が高いのです。
完全に水没した島タイルを復旧することは不可能であり、しかも対応する浸水カードがゲームから取り除かれるため、どんどん浸水カードの回りがよくなってしまうという副作用もあります。このことによって、序盤は割と楽観的に遊べる一方で、終盤になるにつれてどんどん危機感が高まっていくスリリングな展開をゲームシステムの中に組み込んでいるわけです。
刻一刻と減っていく陸地。間に合うか間に合わないか――間に合え!
みんなで協力して同じ目的のために頑張るというのは何というか実に熱い楽しさがあります。
プレイ時間は筆者の実測で40分ほど。初回プレイ・ルール説明込みでも1時間ちょっとくらいでしょう。何より豪華なコンポーネントの割に安価というメリットもあります。まだアナログゲームを初めて間もないフレンズたちで、カードだけのゲームよりも質量ともにもう少し重たいゲームにチャレンジしてみようと思ったなら、是非手に取ってみる価値があるゲームだと思います。
3.パンデミックとの比較
Matt Leacock氏はこのゲームを作る前に『パンデミック』という世界的なウイルス感染の阻止をテーマにした協力ゲームを作っています。世界的にも高く評価されており国内でもロングセラーとなっている『パンデミック』ですが、システム的には『禁断の島』と共通する部分がかなり多いです。細かい比較は述べませんが、端的に言って『禁断の島』の方が全体的にシンプルな作りで、その分ゲーム展開のランダム性が高く、極端に難易度が下がったり上がったりすることもあります。そのため、パンデミックファンからはしばしば厳しい評価を受けることもある禁断の島ですが、一方でルールやメカニクスがシンプルであり、対象年齢が広く、また、まだボードゲーム経験が浅いもの同士でも気軽に遊べるという良さがあります。もちろん多少複雑でもオーケー! ということならいきなりパンデミックでも楽しめると思いますよ。
4.補足
・水位上昇カードがひかれると浸水カードの捨札が山の上に戻るのは重要なルールなのでしっかり共有しましょう
・協力ゲームは勝つことも大事ですが仲間を尊重することがより大事です。アドバイスすることは大事ですが手番プレイヤーの意思と無視してはいけません(手番プレイヤーの行動は手番プレイヤー自身が決める、手番プレイヤーの質問を受けてアドバイスするようにする、などのルールを設けても良いかもしれません)。
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