盤上の夜話

mikio@暗黒青春ミステリー書く人

第一夜/ゲーム語り/『犯人は踊る』

1.ゲーム概要

デザイナー:鍋野企画


ゲーム種別:カードゲーム

プレイ時間:10分(筆者実測:10分)

プレイ人数:3~8人(筆者推奨:4~7人)

定   価:1,200円(税抜)※第3版


 みなさんはとある事件の探偵となって、犯人を推理していきます。

 犯人はみなさんの中にいます。

 しかしご注意ください。この事件の犯人は踊るのです。


2.感想

Very Good!~パーティーゲームの新たな定番


「ちょっとトランプでもやろうか」という気分の時に遊ぶのにちょうど良い気軽なゲームです。わたしに関して言えば「ボードゲーム遊んでみたことないけど興味はあるよ」という方と遊ぶときに「とりあえずじゃあこれで」と取り出すことが多いようです。


ともあれゲームの内容について簡単にふれていきましょう。


初め各プレイヤーには4枚ずつ手札が配られます。

自分の手番が来る度に手札から1枚選んで出し、そのカードの記載に従う。

その後、時計回りに隣のプレイヤーに手番が移る。以下、繰り返し。

カードの補充はないため、一人あたり多くとも4回しか手番がまわってきません。


カードは色々ありますが、特に重要なのはゲームの勝敗に直結する「探偵」と「犯人」カードです。


「探偵」は「某さんが犯人です」と容疑者を指名できるカードで、指名されたプレイヤーが「犯人」を持っていたら、ゲームに勝利することができます。

※指名されたプレイヤーは原則正直に申告しなければなりませんが、「アリバイ」を持っている場合のみ「犯人」を持っていても容疑を否認します。


「犯人」は他のカードとは違い、手札が1枚になるまで出すことができません。その代わり、出すことができれば直ちにゲームに勝利することができます。

※もっとも、やってみればすぐわかることですが、このゲームは「犯人」を出して勝つということがかなり難しくできています。ババ抜きにおけるジョーカーに近い性質のカードだと思った方がよいかもしれません。


このゲームのユニークなところは「犯人」カードがそれこそババ抜きのジョーカーのように流動するということです。カードの中には「うわさ話」や「情報交換」といった手札を交換する効果を持つものが何枚もあり、この効果によって意図的に(あるいは意図せず)「犯人」が移動してしまうのです。しかも多くの場合犯人カードは時計回りに流動するため、犯人カードがどこまで回ったかがある程度推理できるように作られています。


結果、「手札の中の犯人を誰かに押し付けたい/犯人を押しつけられた!」「いっそこのまま犯人を抱え込むか/やっぱり誰かに押しつけよう」「とりあえずアリバイを抱えておこう/むしろアリバイを早めに捨てることで容疑を免れるべきか」といったプレイヤーの思惑が入り乱れて、気軽に推理ゲームの楽しさを味わうことができる。そんなゲームです。


プレイ人数が幅広いのも良いところ。3人だとちょっと人が少なく、8人だとカードを全て使うためちょっと気軽さが減ってしまうかと思うのでお勧めは4人から7人ですかね。緩いアートワークを気に入るかどうかは人それぞれだが、わたしは好きです。強いて言うなら(ゲームのボリュームに対して)セットアップが面倒に感じられる点が欠点だが、これくらいなら、とも。


パーティーゲームの新たな定番になるポテンシャルを秘めたすばらしいカードゲームです。是非一度遊んでみてください。


3.補足

・犯人でないプレイヤーが「みんなで勝利を目指すゲームではない」ということは、ルール説明の際に強調しておいた方が良いと思います。人狼のようなチーム戦ではなく、あくまで個々のプレイヤーが単独で勝利を目指すゲームです。


・平静29年5月現在第三版まで出ていますが、版によってカードの内容や構成が異なります。ルールを知っている人も誰かの持ち物を借りて遊ぶときは事前にカード構成を確認しておいた方が良いでしょう。


・みんなでワイワイ楽しみたいのであれば多少恥ずかしくても「第一発見者」のカードを出すときに、ルール通り「どんな事件が起きたのか」を話してみると良いでしょう。カクヨムで物騒は話ばかり書いているわたしが言うのもなんですが、別に殺人事件である必要はないのです。ちなみに以前わたしが遊んだときは「お風呂の浴槽異臭事件」「さらに洗濯物からも異臭事件」の二本立てでした。なお「お風呂の浴槽異臭事件」では二人の共犯者(第二版以降で出てくる「たくらみ」カードを出したプレイヤー)がいました。どういうことなの。

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