オペレーション"Z" 始動
はい、十三日になりました。
えーっと、はい。なにもしてません! ノープランです! さすがクズを具現化した男、俺!
……織原、後は頼んだ。
そんなこんなで放課後、直接日時を指定されたこともあり生徒会室には役員全員が集まっていた。
実は昨日も織原たちは集まっていたらしいのだが、やる気がさらさらない俺は参加していなかった。 だってダルいんだもん!
……副会長としての自覚だとか責任感だとかはそもそも持ち合わせてないんです。こんなんですいません。
「よし、織原! データの用意はいいか?」
「バッチリです。これ、投票でも使い回していいですか?」
「許可する。今更新しいのを出すのも面倒だろう。本当によくやってくれた」
「ありがとうございます。でも、今は目先の事態を解決するのが先決ですね」
「その通りだ。それじゃあ、オペレーション"Z"を開始する!」
「了解!」
「了解です」
「りょうかーい」
……織原さんといい透子といいやる気に満ち溢れすぎでは? もうなんかやる気ないこっちが恥ずかしいよ。もう。
というか、オペレーション"Z"ってなんだ? アルファベット二十六文字の最後の文字って今までどれだけ実行してきたんだよ……それを踏まえた究極のプランかよ……
そんなことを考えているとも知らず、どんどんと話が進んでいく。
「織原は資料と"アレ"の用意を」
「はい!」
「園田はその手伝いを」
「分かりました」
「涼真は――居てくれるだけで良い」
「なんか俺だけ要らない子みたいじゃないか?」
役割のない要らない子ですよ、ええ。
「それじゃ、襲来に備えろ!」
……ってスルーかよ! さすが透子だ。俺の心は砂の城のように崩れ去ったぜ。
十分経っても、二十分経ってもヤツは来ない。
ずっと気を張るのも疲れたように見えたので、茶を淹れる。こういうのって副会長の仕事じゃない気もするんだけど。
「ほい、透子。ダージリンだ」
「すまんな。どうも気を張りすぎて、な」
「織原は日本茶でいいか?」
「はい、お願いします」
「園田は――自分で淹れろ」
「先輩ひどくないっすか? ブラックで」
お前らなんで好みバラバラなんだよ! いちいち面倒くさいんだよこっちは!
……そんな僕はカモミールティー。
そんなことをしていると――
ドアが、叩かれた。
「失礼します」
「失礼するなら帰ってくれ」
「その非常識さは程々にしたらどうですか? 会長の透子さん」
……訳わからんことで争わんでくれ。面倒くさい。
そんな俺の想いもむなしく、二人は戦争へと突っ走るのだった。
*
「だーかーらー! データはあるでしょ? これが客観的な事実よ!」
「それが信憑性のないデータだと何度も説明しているじゃありませんか! 納得できません!」
二人ですごい白熱してるなぁ……俺の出番はないなぁ……
「はいはい、ちょっと議論がループしてますし埒があかないのでお茶でもどうですか?」
「すまんな」
「そ、その……お気遣い感謝します」
「春日さんは日本茶でいいの?」
「そうですね……ココアがあればそれが良いですね」
乙女かよ! っていうかお前ら本当にバラバラにすんのやめろよ!
「先輩、私も欲しいです」
「僕はまだ諦めませんからね」
本当、副会長ってただの雑務じゃねーか。OLかよ……
しかし、この時の俺はまだ気がついていなかった。織原と透子の目の色が変わったことに――
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