なんでそうなる

「で、だ。この改正に異論のある者は?」


 ……おい、俺含めてお前以外の全員は異論しか持ってねーよ。


「なんでスカート丈なのか、そして校則改定までさせるのか。それについての説明をお願いします」


 園田くん、優秀。でも、そんな正論、この姿形がかわいいだけの脳天グルグルパーの女には通じないぞ。


「そんなの趣味だ。短いフリフリのスカートを想像してみろ――いや、中身は想像するなよ? どうだ? かわいくないか?」


「えっと……ちょっとよく分からないですね……」



 …………お前は本当に男なのか? フリフリのスカートだぞ?


「しょうがない……じゃあ、実演するしかないな」


「はい?」


「みんなに反対されると思ってな、実は自分で色々試したんだよ――その、かわいく見える丈とかをな」

 ……お前、隣の家でそんなしょうもないことしてたのか。でも、ナイスだ。


「でだ、インターネットで調べてみると――膝上15センチが理想的だ、と書いてあった」

 ソース弱っ! 今時の女子高生ってメディアリテラシーとかどうなってるの?


「ということで、今の校則『膝上10センチまで』から3センチ短くして、『膝上15センチまで』にしようと思う。ここまでで何か異論は?」


「いや、よく分からないんですけど……その5センチでどれぐらい変わるんですか?」

 ……男の俺たちには分からんよな、うんうん。


「じゃあ、織原。スカート丈の実演に付き合え」


「ふぇ? な、な、なんで私なんですか?」


「かわいいから」


「うぅ……」


「決まりだな!」


 って半分脅しじゃねーか! まあ、でも、見れるものは見ておきたいのが男の性で……


「分かった。じゃあ俺たちは外に出るよ」


「何言ってんすか! 久世先輩! 織原さんが……」


「織原の『絶対領域』、見たくないのか――?」

 小声で耳打ち。


「分かりました。早くしてくださいね」

 ……チョロい。園田くんチョロいよ!


「じゃ、着替え終わったら呼んでくれ」


「承知した」




 そうして、園田を外へ連れ出す。


「どうして、分かったんですか?」


「何がだよ」


「その、僕が――織原さんのことが気になってる、ってことです」


「勘だよ勘。いつもなんとなーくだけど、織原を見る目が違ったからな」


「ええ……分かりやすかったですか?」


「分かりやすかったよ」

 良くも悪くも真面目なんだよ、園田は。


「でも、それは先輩もですよ」


「へ?」


「透子会長を見る目がちょっと優しいというか――好きなんですよね、会長のこと」

 ……参ったな。そんなつもりはないんだけど。


「まあ、お互い様。ということにしておこう」

 中から「もういいぞ」とお声がかかる。


「せいぜい、織原に優しくしろよ」


「先輩こそ。あのじゃじゃ馬、乗りこなしてくださいよ」


 そう笑い合うと、俺たちは生徒会室の扉を開けた――

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