最終話

9月末、俺は再び総理大臣となった。総理大臣に就任する当日の朝、俺は、


「清原幸一、今日3年ぶりにこの総理大臣官邸に帰ってきました!」


と官邸の職員にこう挨拶し、そのまま官邸に入った。




そして11月、俺は国会を解散することにした。来年5月の任期満了で選挙をするのは不可能と判断したからだ。そして、12月中旬、選挙が行われることになった。


現職である俺・香澄・茜はもちろん、優奈さん・有紗さん・綾乃ちゃん・和恵ちゃん・カレンちゃんも選挙に出ることになった。権力の私物化と一部から叩かれていたが、そんなものは妬みか逆恨みしかない。


俺は民自党代表として全国を遊説した。3年前と違って、野党になりうる政党、そして対立候補がいる。どれくらいの規模なのかはわからないけど、油断できない。


最終的に、民自党はまたしても200人全員が当選し、定数の全議席を獲得することができた。しかし、無投票当選は10選挙区しかなかった。結局は、泡沫政党や泡沫候補しかいなかったのが救いだった。




12月末、この選挙で初当選した、優奈さん・有紗さん・綾乃ちゃん・和恵ちゃん・カレンちゃんはそれぞれ国会に登院し、俺は国会で総理大臣に指名された。これからの4年間、解散はせず任期満了までいくつもりだ。


そして年が明けて、通常国会に突入した。通常国会は6月末まで開かれる予定だ。優奈さん・有紗さん・綾乃ちゃん・和恵ちゃん・カレンちゃんも国会議員としての仕事がちゃんとある。俺は通常国会が始まる前、5人に政治家としてのイロハを教えた。




そして6月末、通常国会は終了。それでも政治家は地元回りをしなければならず余計に忙しくなる。そして、8月には俺が夏休みを迎える。みんなもこの時期が夏休みになるだろう。それまでの辛抱だ。




8月半ば、俺は5日間の夏休みを貰った。この5日間は自宅で家族とゆっくり過ごすつもりだ。7人もこの時期に夏休みを取り、子供の世話をした。普段は議員会館内にある保育所を使っているから子供の世話は久しぶりだという。俺も子供の世話を手伝わされた。この5日間、5歳から1歳までの子供14人の世話をするのはとても大変だった。




夏休みを終えた俺は公務を再開した。新政府が成立して4年、日本は諸外国からの援助もあり、かつての勢いを取り戻した。国会も官邸も議員会館も新しくなり、日本は国家として再び機能し始めた。


俺が新政府成立時に唱えた、「国家再生30年プロジェクト」は順調に進んでいる。あとは人口が増えて、その時生まれた世代が無事成長するだけだ。幸いなことに、新政府成立後、日本の人口は急激に増えている。




2044年6月20日。夕方、国会から官邸に向かった俺は官邸に着くといきなり、閣僚と官邸のスタッフから誕生日を祝われ、ケーキが差し出された。もう26歳か。年々時の流れが早く感じる。そして、ケーキを食べ終え、官邸から自宅に戻ると家族から、




「ダーリン、ハッピーバースデー!!!」


「パパ、お誕生日おめでとう!」




と言われた。もう知り合って7年か。時の流れは早い。そして密度も濃すぎた。自分が総理大臣になるなんて7年前には誰が想像していただろうか。


俺は、7人がちょうど子供の世話をしている最中、特注のバースデーケーキをもう一度食べながらそう思った。

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