第13話
10月1日、俺は正式に総理大臣となった。しばらくは暫定政府だが、新憲法を制定し、公布・施行されたら正式に新政府となるという。正式に新政府になるまでおそらく1年半はかかるらしい。
俺は、その間総理大臣として新憲法の構想を練っていた。俺は憲法に関する知識を学び、自分の憲法に対する考え方のままに憲法草案を作った。そして、自分の憲法草案を旧憲法や有識者の憲法草案と比較。修正を経て、総理就任から半年後、新憲法の政府草案を正式に発表した。
その間、俺は平行して子作りに励んでいた。優奈さんと有紗さんは妊娠し、それぞれ8月に出産を控える。
政府の憲法草案を発表してからは、新憲法の制定および新政府の成立に関する法案を作成。法案の作成は山ほどあったが、ほとんどが旧憲法下で作られた法案の修正だけで済んだので意外と楽だった。それでも選挙権ならびに被選挙権の撤廃や、結婚ができる年齢の引き下げ、そして重婚の合法化など、旧憲法下ではなかった法案も作成された。
そしてその間に作られた法案で10月1日に新憲法が公布され、来年(2039年)4月1日に新憲法が施行。正式に新政府が成立されることが決まった。
2038年8月20日、優奈さんは元気な男の子を産んだ。俺は息子に、「
そして4月、正式に新憲法が施行され、新政府が成立された。来月には国政選挙も控えている。俺は選挙のために作った与党の代表となり、茜は大臣を退任し幹事長となった。とはいえ、大きな野党が存在しないので選挙をする意味がほとんどないのだが。
事実、与党「民主自由党」は全員が当選し、全議席を獲得することができた。定数200の小選挙区制。うち150選挙区は無投票当選だった。それに民自党は全選挙区、定数ピッタリの200人を擁立することができたのも大きかった。
選挙が終わると、茜は幹事長を退き、同時に香澄も官房長官を退いた。なぜなら2人とも現在妊娠中で、9月に出産を控えているからだ。
2039年9月13日、茜は元気な女の子を産んだ。俺は娘に、「
1ヶ月後、俺は総理就任から2年が経った。そして、俺の総理就任2周年を祝うパーティーが行われた。会場には多くの関係者が集まった。そしてパーティーが終わる前、俺は壇上に上がり、こう言った。
「突然の話になりますが、私は国会閉幕後の12月に、総理大臣という職を退きたいと思っています。なぜなら私は政治について右も左もわからぬ若造で、2年間も自分が総理をやっているのが不思議に思えたからです。私が総理を退きたいと考え始めたのは5月の選挙後からです。私自身、選挙が終わり一区切りがついたと判断しました。そして、年内には総理を退任したいと考え始めました。最終的には、国会閉幕後の12月に、総理大臣を退任する決意に至りました。なお、次の総理に誰を指名するかはまだ決めていません。議員内で代表選挙をやって決めていただこうかと思っています」
こうして12月某日、俺は正式に総理大臣を退任した。次の総理大臣は3人が名乗りを挙げたが、議員内による代表選挙の結果、森さんが代表に選出され、そのまま総理大臣に就任した。
そして総理大臣最後の日、俺は、
「みんな、2年間支えてくれてありがとう」
と官邸の職員に向かって言い、官邸を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます