第4話
あの日からもう何十日とたった日に悠君がまた会いに来てくれた。
「今回の作品で最後にしようと思っていたけど、失敗作になりそうだなぁ…」
どうしよう、と声がした。
確かに悠君は筆を持っていなかった。
「華依くん、君が綺麗過ぎるからいけないんだよ。」
壁が潰れるかと思うくらいの衝撃が走った。
僕側の世界が揺れる。
「僕は美しい花を描きたいだけなんだ、君はその花たちと一緒に写って花の愛らしさを際立たせれば良いんだよ!!!」
揺れる、揺れる。
僕の世界が、頭が。
「華依くんにはわからないよね…僕の気持ちなんて…、だって生きてないもんね。
僕がいくら気持ちを込めて描いても、誰にも伝わらないさ。
なんとなく綺麗だなーくらいでしょ…」
僕の髪の色に使ってくれていた青鈍色が、僕を襲う。
折角の可愛い花たちも巻き込んで降ってくる。
「僕は生きてるよ…」
震えだす声を振り絞る。
何震えてんだ、何に恐れているんだ!
青鈍色にまみれたこの僕の世界。
「気分的に、これを下地にしてホラー風の絵を描くのも良いかもしれないね…。
良い色だよ、ほんとね」
気付けば、この言葉が最後だったのかもしれない。
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