実を結ぶもの
碕宮 :あ……!硯!
ナレ :眠っていたために一瞬忘れ掛けていた、大怪我をさせてしまった侍従を振り返ったのでございます。
桜姫 :……大丈夫じゃ。手当てはしておいた。
……にしても、勇敢な娘じゃの。関心じゃ。
主人が良いのじゃな。
碕宮 :あ、ありがとうございます!
硯を助けて頂いて……。
桜姫 :ほほほ……。何を言うておる。
……十余年の悪夢から救ってくれたのはそなたたちじゃ。
これくらい礼にもならぬ。
ナレ :二人がやり取りしている間に篝様が目を覚ましました。
篝 :う……ここは……。
! 硯! ……手当てして、ある?
桜姫 :目が覚めたようじゃの。
そなたは少し衰弱しておるだけじゃったから睡眠さえ取れれば大丈夫じゃな。
篝 :桜屋敷の姫……君?
桜姫 :うむ。
そなたたちの雄志のお陰で妾は人間に戻ることが出来た。
……いくら感謝しても足りぬ。
ナレ :桜姫の目から一滴(ひとしずく)、涙が流れ落ちました。
碕宮 :桜姫……。
硯 :……う……あ……。
篝 :硯?! 大丈夫か?!
硯 :はい……。
?! か、篝様?!
ナレ :慌てて離れようとしますが、篝が引き止めました。
篝 :……動くなよ。傷口が広がるぜ?
……俺何かの為にわりぃ。
硯 :な! だから奏の……。
?! か、篝……様。
ナレ :篝様は何も言わずに硯を抱き締めました。
碕宮 :……本当に手が妬けるな。
素直になれよ、硯。
硯 :な! 若?! わたくしは……!
桜姫 :似合いじゃぞ?
恋愛に貴族も平民もない。ほほほ……。
篝 :……こんなだらしない俺に真っ正面から接してくれるのは碕宮と奏。
そして、硯……おまえだけだよ。
硯 :……何を仰せです?
篝様らしくございませんよ。
お馬鹿様はお馬鹿様でらしてくださいませ。
篝 :はは……変わんねぇなぁ。
それがおまえらしいや。
ナレ :いつも無表情な硯が微笑んでおりました。
碕宮 :……さぁ、帰るぞ!
桜姫は……どうされますか?
桜姫 :うむ、そうじゃのう。ここにはもう居られぬな。
……そなたの元に行って良いかの?
碕宮 :え……? はい!
ナレ :桜姫様は碕宮様を見つめ、再度口を開かれました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます