狂い咲き桜の屋敷の女主
奏 :あ、あの!
硯 :奏、あなたはここにいてください!
わたくしと若様はその屋敷に向かいます。
奏 :?!待って下さいませ!
私も……!
碕宮:奏、この屋敷に誰か事情を知る者がいないと困る。
……頼めるか?
奏 :……!はい、心得ました……。
ナレ:頬を染める奏。
碕宮様に見つめられ、了解せずにはいられなかったのでございます。
硯 :若、牛車の用意が調いましてございます。
碕宮:分かった。奏、頼んだよ。
ナレ:碕宮様と硯は牛車にて町に向かい、町人に話を聞いて回ります。
場所を知った二人は真っ直ぐにその屋敷に向かったのでございます。
硯 :……本当に桜が怖いほどに、綺麗でございますね。
碕宮:ああ、そうだな……。入るぞ、硯。
硯 :……御意。
ナレ:中に入ると桜が風もないのに静かに舞っておりました。
その中でも一際大きな桜の前に十二単の女性が佇んでおりました。
碕宮:……ああ、あの時と同じ光景だ。
ナレ:女性は気がついたようで、こちらに歩み寄って来たのでございます。
桜姫:ほう、人の子か。
ん?そなた……10年前のあの童かえ?
見違えたのう……。
……しかし、何故にまた来たのじゃ?
碕宮:やはり、あの時の……。
またお会いしたく、思っておりました。
いや、しかし今回は別の件で参ったのです。
硯 :……昨晩、この若君と同じくらいの青年がこちらにお邪魔しませんでしたでしょうか?
ナレ:硯は淡々とした口調で、短刀直入に聞いたのでございます。
桜姫:……ほう、あの男。
そなたたちの友人かえ?
ナレ:隠しもせずに答えたのでございます。
碕宮:やっぱり……!友人……です……。
桜姫:そういえば、そなたに名を申して無かったのう……。
妾は、『桜』じゃ。
そなたたちの名を聞こうぞ。
なぁに、ただ呼ぶのに困るからじゃて。
警戒するでない。
ナレ:優しく微笑む桜姫。
碕宮:(そう……この笑った姿が素敵で……。)
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