15件目

 テレビをつけると、例の事件のニュースがやっていた。隣町で起きている、連続猟奇殺人事件のことだ。また新たな被害者が出たらしい。

 三ヵ月前――そう、だ。最初の被害者が出たのは。身体がバラバラになった死体が河原で見つかり、騒然となった。それから日を置かずして、次のバラバラ死体が出た。今日のニュースで何と15件目になる。異常事態である。犯人の手掛かりはまだないという。

 最初のうちは興味本位、面白半分でSNSなどにアップしようとして町を訪れた若者たちもいたが、その中の何人かは犯人の餌食となった。以来、彼らは町を訪れなくなった。

 もちろん警察官の巡回は強化されたが、彼らの中からも犠牲者が出てしまった。

 犯行は夕方から深夜にかけて行われているらしい。そこらへんの詳細は明らかにはなっていないが、これだけ大事になっていてもなお、犯人による凶行は続いている。そして未だに有力な目撃情報もない。


 スマホが鳴り、振動する。

『もしもーし、悠斗ゆうとー、起きてるー?』

「起きてるから取ったんだけど」

『どっか遊びに行こうー。夏休み暇で暇で』

「いや、そういう気分じゃ」

『そんじゃ11時に駅前ね』

 切れた。ため息を吐いてスマホを置く。彼女は彼女なりに気を遣って……くれているわけではないか。

 たまにはいいか。少しは体を動かさないと。彼――篠崎 悠斗しのざき ゆうとは顔を洗いに洗面台へと向かった。

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