元・魔王の幹部の娘弟子05
前日譚05
元・魔王軍幹部の娘弟子
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そうしてアクセルの街に戻り。
滅菌ミルクなどを購入しに商店に入り。会計を済ませて店を後にする。
その店のある通りの一角で待っていた英雄家族の元へ向かうと。
「待たせたな…うん?」
なぜか、英雄夫婦の二人共がニヤニヤとした視線を我輩に向けていた。
「どうかしたのか?頭のおかしい爆裂娘に、そんな女を嫁にもらった、更に頭のおかしそうなクズな男よ。二人揃って気持ちの悪い表情を浮かべおって、本当に頭がおかしくなったのか?」
「おい、それ以上、頭がおかしいを連呼するのはやめてもらおうか。さもなくば、本当に爆裂魔法を再び打ち込むことになる。」
「おいこらやめろ、落ち着くのだ我が妻よ。…いやね、あのバニルがだよ?突然に柄でもない言葉を言っちゃってさ。どうしたことだと二人でさっきからコソコソ話し合ったんだけどな。そっかー、そういうことなのかー、と二人して同じ結論にたどり着いてだな。」
「柄でもない言葉とはなんのことだ?」
素直に疑問を口にする。
「おいおいとぼけんなよバニルさん。さっきお前は、アクアに感謝してるって、そういっただろうが。」
「汝らこそ何を勘違いしているのだ。我輩はな、確かに汝らのツレであるへっぽこ女神に感謝しているとは言ったがな。我輩が感謝しているとは一言たりとも言ってはいないはずだぞ。子育て店主が本当に感謝しているのだ。そこのところを勘違いしないでもらおうか。」
変な勘ぐりをしてきたので、すかさず反論をする。
「えっ、あれっ?いや、でも…うーん、そうだったっけ?なぁ、めぐみん、あいつなんて言ってたっけ?」
「確かにそう言っていましたが。アレですよ。ツンデレってやつですよ。紅魔族は知能が高いのです。それくらいは見破れますよ。」
未だに食いついてくるので、ため息をつきながら返事をする。
「なんなら、嘘をつくとチンチンなる魔道具の前で宣言してやってもいい。一応、アレは魔物にも通用するのだ。大抵の悪魔族にも有効だ。へっぽこ店主の居場所に帰る前に、警察署にでも寄っていくか?」
「…いや、いいよ。あんまりアクアに待ちぼうけを食らわせるのも悪いから。しかし、それでも妙なんだよな。なにか、気になると言うか…なんなんだろうな?」
我輩はいつもの調子を取り戻したので、うんうんと悩み始める異世界人は放っておいて、すかさずお寝んねリッチーの待つ家にスタスタと向かうことにする。
「あっ、おいバニル!ちょっと待てよ!…こっちは子連れなんだ、少し歩調を合わせてくれよ。」
「ふむ。仕方がないな。…そういえば、我輩も汝らに聞きたいことがあったのだ。」
意外に勘の鋭い男に思考の機会を与えてはいけないので、話題を変えることにする。
「おや何だい?見通す力を持つ大悪魔様が、質問なんて珍しい。」
「汝のことは、うっとおしい光がチラチラしてて見通しづらいと言ったであろうが。そんなことも忘れたのか。…何、小僧の妾となった、この国の王女のことだ。未だに子供を作っていないようだが、どうしたことなのかと思ってな。」
そうなのだ。この国の王女に、あれだけ好き好きと言い寄られていたこの小僧がだ。
とりあえずは魔王を倒した勇者ということで彼女を妾として貰ったものの。
未だに手を出していないという噂なのだ。この果てしなく気の多い男がだ。
一体何のつもりなのか。それとも、道端で変なものを拾い食いして、本当に頭がおかしくなったのか?
純粋に、興味が湧いたのだ。
「この男、カズマはですね、いざという時になると直ぐにヘタレになるのですよ。王城では幾つもチャンスがあったのに、そういう状況になると、必ずお腹の大きくなった私のことや赤ん坊のことが気になると言い出して逃げてきたのです。…まぁ、そう言ってくれるだけでも嬉しいのですが。可愛い下っ端を持つお頭としては、ちゃんとあの子も大事にして欲しいとも思っているのですよ?」
なんと、第一夫人の許可は取っているらしい。それなのに、何故に手を出さないのか。この世界でさらに生まれ変わったというのか?
「いやね。好き好き言ってくれるのはありがたいんだけどさ。正式にお付き合いするという経験を辿ってから手を出したいと言うか。未だに、アイリスのことで知ってることって少ないな、って思ってるんだよね。」
「というと?」
「やっぱり一緒になるなら、お互いに支え合う関係になりたいじゃん?こういう言い方はアレだけど…あの子の弱いところが、知りたいんだ。戦闘力なんか、少なくとも人間の枠組みの中ではこの国のトップクラスの性能を持ってるし。地位も財力もある。王族の血統で、神権の一部を授受されているから、くもりなきまなこも使える。少しだけ世間知らずなところを除けば、かなりの完璧な、よくできた娘だと思うんだ。そんな娘と、果たして俺なんかが一緒になっていいのかなって。責任感が強すぎるところはあるけれど、その原因はもう既に取り除かれたしな。勿体無いけど、アイリスはもう少し世間てやつを、もう少し羽を伸ばして知ったほうがいいんじゃないかって。そう思ったんだ。」
意外に真面目なことを言ってくるこの異世界人には素直に感心した。
「戦争が終わって平和な世の中で、こんな俺なんかでも、あの子を支えることができるのか…アイリスを前にすると、ふとそんなことを考えてしまうんだ。」
「カズマはそんなことを考えていたのですか。全く、真面目なんだか鈍感なんだか。それなら良いことを教えてあげましょう。」
異世界人の独白を聞いて。その男の第一夫人の座に収まった、母親となった娘はそんなことを言ってきた。
「…今度、お忍びでいいので、アイリスと一緒に2人きりでお遣いに行ってきてください。そして、アイリスにお買い物をさせて下さい。それだけで良いのですよ。」
「おいおい、なんだそりゃ?流石にお子様じゃないんだ。それくらい一人でもできるだろう?」
いーから行ってきてくださいと、イチャイチャしてる英雄夫婦を背にして道を歩み進み。
漸く、我らが住処である魔道具店についたので。扉を開けて中に入る。すると。
仮眠から目が覚めた寝坊助店主と子守女神に加えて。
なぜか出来る方の紅魔族の娘まで赤子を囲む面子に加わっていた。
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次のエピソードはカズマ視点の予定
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