第3話 紋章の力
「それはね、この紋章の力なのよ」
そう言って左の紋章を見せてくれるミルさん
「どういう事ですか?」
「後で説明しようと思ってたけど、まあいいわよね…まずこの紋章の系統の説明をするわね。黒の紋章の系統は、時間と空間魔法よ」
「時間と空間?」
聞いたことの無い系統だ。知ってるのは炎や水みたいな想像できるものだったけど時間と空間って言われてもピンとこない
「そうよ。時間と空間、特に私は時魔法の適性が強かったらしくてね瞬間移動なんかも出来るようになったわよ」
ミルさんはそう言うと俺の前から姿を消した
「えっ⁉︎」
俺は慌てて周囲を見渡すが見つからない。すると窓をノックする音が聞こえた
「おーい、こっちよ」
ミルさんは、本当に一瞬で窓の外に移動していた。俺が気づくとミルさんはまた消えるとさっきまで座っていた椅子に再び腰掛けていた。
「まあ、見てもらった通りあれが時魔法よ。それで適性あった私は自分の時を操れるようになったのよ」
ミルさんは自信満々にそう言い切ったのだが俺にはイマイチ意味がわからなかった。
「自分の時を操る?」
「そうよ、自分の時を操って身体の老化を巻き戻したのそして自分の身体の時を止めて500年間も生きてきたのよ」
なんかスゴイ事を言っているミルさん。正直なんて言ったらいいのか分からなかった。
「そ、そうなんですか。じゃあミルさんが生まれてから500年もの間この黒い紋章の人は現れなかったんですか?」
「そう言う事になるわね。でも、今回は紋章が疼いたから分かったけどこれ迄はそういうことが無かっただけかもしれないしね」
そうだとすると俺は運が良いのかもしれない。何も知らずに殺されていたのかもしれないから
「でも、じゃあ何で悪魔の使いなんて言われているんですか?」
質問するとミルさんは苦い顔をしていた
「まあ、世の中は異端児には冷たいってことよ」
その言葉には俺には分からないような色んな想いが詰まっていたように感じた
「取り敢えずそれは置いといて続きを話しましょう。私が500年間生きてきた理由は説明したから次は何であんたを助けたかを話すわね」
どんな理由なのだろうか…ミルさんは悪い人には見えないから大丈夫だと思うけど
「助けたのは私だけじゃこの紋章の事が全然分からなかったからよ。だから他にも紋章を持つ者がいればより色んな可能性を調べられそうじゃない」
なるほど…でも500年掛けて分からなかったものが俺1人くらいで変わるのだろうか?
「まあ、そんな理由もあるけど1番は私と同じ境遇のあんたを放って置けなかったのよ。この紋章を持つ事によって感じる周りからの疎ましそうな視線や街での生活のしずらさなんかもね」
そうかミルさんは500年前にそれを身をもって感じたから次に同じ目にあう人がいないようにしようとしてくれたのか
「ありがとうございますミルさん。」
ミルさんには本当に感謝の言葉以外見つからない
「あんたは子どもなんだからそんな気にしなくていいのよ。まあ、取り敢えずはあと5年あんたが15になったらミスト王国の王都にある魔法学園に通ってもらうわよ」
また訳の分からないことを言うミルさん。今日何回目だろう
「いや、この紋章じゃ入れないんじゃないですか?」
当たり前のことを聞いたのだが得意げな表情をしたミルさんは
「ふふん、その辺りは心配する必要ないわよ。私がしっかり話をつけといてあげるから」
自信たっぷりにそう言うミルさん。何か当てがあるかもしれない
「分かりましたけど…俺じゃ入学試験なんて突破出来ないんじゃないですか?勉強も出来ないし魔法も使えませんよ」
「それも心配ないわよ。これから入学までの5年間この私がミッチリしごいてあげるから」
口元をニヤッとさせながら言うミルさんに何故か背筋が寒くなった。
「そ、そこまでして入学しなくても…」
さりげなく辞退してみようとしたのだけれど
「いいから、学園には通っときなさい。絶対に行っといた方がいいから、人間関係を作る意味でも魔法を学ぶ意味でもね」
一瞬、真面目な顔になった後人差し指を立てて茶目っ気たっぷりにそういうミルさんは幼いながらとてもドキドキした
「とまあそんな感じで、レイにはこれから毎日魔法の修行と勉強をしてもらおうと思ってるんだけど家族とか大丈夫?」
こちらを伺うようにそう質問してくるミルさんだったがその心配は必要ない
「大丈夫ですよ。俺には親はいませんし村の人達は聞いた感じだと帰っても歓迎されなさそうですしね…」
改めて言葉にするとやっぱりショックを感じずにはいられなかった
「ご、ごめん。言いづらいこと言わせちゃって」
ミルさんはミルさんで俺に親がいない事を聞いて気まずそうにしていた。
「気にしないでください。物心ついた時からですから別に何も感じません」
俺がそう言うと納得してくれたのかミルさんが明るく
「じゃあ、さっそく明日から修行に入るけどその前に約束してもらうことがあるわ」
真面目モードになったミルさんの次の言葉を待っていると
「まず、私に敬語を使う必要ないからというか使っちゃダメだから。後、出来ればさん付けも無しにして欲しいけど無理に外さなくても今はいいわ」
厳しい約束ではなかったけど恥ずかしいというかやりづらいとうか何とも言えない約束だった
「ほら、どうなの?」
ミルさんは、さっそく約束を守らせようと話しかけてくる。このまま黙っていてもどうにもならないので返事をする
「わかったよ、ミルさん。これからよろしく」
「うん、よろしくレイ」
ミルさんはとびきりの笑顔でそう答えてくれた
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