第36話 薬草収集
「全く、いくら私が暇だからってこき使いやがって……」
私は「鍛錬の森」を越え、大森林地帯の一角に来ていた。好きでこんな場所にいるわけではない。魔法薬のリーン先生に頼まれたのである。学校が割り当てる魔法薬に対する比率は低い。足りないものは自分で集めるしかない。しかし、担当のリーン先生が腰を痛めてしまったため、こうして代打で起用されたわけだ。
「よしっ、『アドマティス』」
さっそく材料を見つけた。おなじみ「探査」の魔法は使っているが、このキノコは魔法に反応しない。逆を言えば反応なしの黒い点を追えばこのキノコに出会えるのだ。
「えーっと、半分残しておくか……」
私は「アドマティス」の群生地から半分だけ収穫した。これは希少性が高い材料なので、全部採って半分だけ裁いても、かなりのお小遣いを得る事が出来るだろうが、私はあえてそれをしない。全部収穫してしまったら、2度とその地に「アドマティス」が生えない可能性があるからだ。だから、こうやって資源を守っていく。「アドマティス」を馬鹿でかい背負いカゴに入れると、探査の魔法を頼りに引き続き探索に入る。採ってきて欲しい材料リストは、全てこの森で手に入るものだ。さらに5種類ほど手に入れ。日没と共にこの日の探索を終えた。言ってなかった気もするが、材料採取は1日では終わらない。通常は2,3日掛かる大仕事だ。「ポケット」テントのベッドに横たわりながら、私は学生証サイズのある物を見つめていた。「対人攻撃許可証」。いわゆる、「殺しの免許」だ。森には危険が多く、魔物も多少はいるが1番怖いのは人間。山賊たちも出るので許可が下りたのだが、正直使わないで済む事を祈っている。どんな理由であれ、人殺しは気分がよくない。
「さて、寝ますか」
こうして、初日は無事に過ぎたのだった。
2日目
魔法薬の材料を求め、私は森の奥深く入り込んでいた。前人未踏の秘境とはこういうことを言うのだろうか……。
「『サオアルキ』みっけ」
ここは希少な材料が面白いように採れる。夢中で採っていくうちに、背負いカゴも一杯になり、さあ帰ろうかというところで、不覚にも帰り道を忘れてしまった。「飛行」の魔法を使うにしても、森が濃すぎて木に体当たりするだけだろう。こうなったら、かっこ悪いが救助隊を呼ぶしかない。火炎系の魔法で穴をあけて飛ぶという手もあるが、それは最終手段。万一でも火災を起こすわけにはいかない。私は上空に向けて3連の赤玉を打ち上げた。意味は『緊急、至急、援助を求む』だ。私としたとことが、実に不覚である。救援信号を打ち上げたからには、そこから動かないのが鉄則。私はカゴを下ろし、適当な岩の上に座った。こんな時にレオンがいてくれたならなぁと思う。話し相手くらいにはなってくれたはずだが……。ふと、探査の魔法がアラームを奏でた。よっしゃ、暇つぶしきた!!
跳ねるように座っていた石から飛びのくと、3本の矢が石に当たって跳ね返った。
「さて、どこかしら……」
私の「探査」は当然のように、細かく弄った改良バージョン。赤い点が3つ尋常ではない速度で動き回っている。……この動き。もしや。
「私に敵意はないわよ。降参するから出てきて」
魔法使いでは意味がないといえばその通りなのだが、私は剣を抜いて地面に置き、その場に跪いた。私があっさり降伏した理由。それは勝ち目がないからだ。すると、森がガサガサとゆれ、私に矢を向けたままの男が3人現れた。森の奥に住んでいると聞いてはいたが、私も見るのは初めて。それは、エルフという種族だった。外見はほぼ人間だが、耳がとがっているのが特徴だ。
「ほら、そんなに警戒しないでよ。ただの小娘よ」
私はわざとほがらかに、手をパタパタ振りながらそう言った。他にどうしろというのだ。
まあ、エルフが現れたということは、近くに集落がある証拠。探ってみたいが命が惜しい。というのも、今から400年前にエルフと人間の間で戦争が起こり、それ以来エルフは人との関係を断絶している。400年というが、寿命が1000年以上あるというエルフの事。人間の感覚では過ぎ去った歴史だが、エルフにしてみればつい最近なのだ。内心冷や汗タラタラで待つ事しばし、ようやくエルフは弓を下ろした。
「族長が久々の人間が気になっている。ついてきてもらおう」
1人がそう言って森の奥深くに行った。私はカゴを背負い剣を鞘に戻すと、最初の1人についていく。その背後に2人。もう戻れない。最悪即座に殺されかねない。覚悟しておいた方がいいだろう。やがて開けた場所に出た。そこは素朴ながらも立派な村だった。私をサンドイッチした形で、3人の男が歩みを進める。皆人間に興味があるのか、やたらと触ってくるのがちと鬱陶しいが、まあ、それは気にしない事にして先に進む。そして、ある大きな家の前に止まった。
「ここだ」
戦闘を歩く男が足を止め、ドアをノックする。
「入れ」
中から声が聞こえた。
「ここから先は我々でも入れぬ、くれぐれも粗相のないようにな」
男がドアを開け、私は中に入った。木を組み合わせた住居はなかなか居心地がいい。
「お前が珍入者か……」
族長というからには、ひげ面の爺様が出てくるかと思いきや、見た目はまだ20代くらいだろう。想像と違った。
「はい、お騒がせしまして……」
余談ながら、私が使っているのはエルフ語だ。必須科目ではない。これを覚えているのは、ひとえに私が暇人だったからだ。
「いや、ちょうど退屈していたところだ。そこに座るといい」
私は言われるまま、背もたれのない丸椅子に座った。
「なぜこのような山奥に?」
族長に聞かれ、私は背負ったままだったカゴを指差した。
「魔法薬の原料を採っていたんです」
族長は1つうなすいた。
「なるほどな。この辺りは良質な材料が採れる。……して、その右手薬指の指輪は婚約指輪だな」
族長が強引な話題転換をしてきた。
「は、はい、そうですが……」
思わず右手を隠してしまう私。
「そなたの事を気に入った。一目惚れというやつだな」
「はいぃぃぃ!?」
なにがどうなってそうなる!?
「あ、あの、私にはもう先約が……」
いきなりの事に、私はそう返すのが精一杯だった。
「構わん。欲しいものがあれば奪うのがエルフの掟。その婚約者と決闘だ」
瞬間、村中に図太い笛の音がなる。
「あ、あの、私の意思は……」
恐る恐る聞くと、族長は小さく微笑んだ。
「問題ない。ゆっくり愛を育んで行けばよいではないか。私を受け入れてくれるまで1000年も掛からないだろう」
……死んでます。
「さぁ、皆の者戦いの用意だ。出立の用意をしろ!!」
村中が騒ぎになり、フル武装のエルフたちが馬に乗っていく。
「君は私が送ろう。行くぞ!!」
あっ、えっ!? 私は手を引かれるまま、やたらと立派な馬に乗せられ、そのまま森の中をゆく。さすがエルフ。これだけ森が濃くても木には当たらない……じゃない。なんなのさ。この展開は!!
森から出た総計数百名のエルフ軍団は、戦争さながらに街道を突き進んでいく。そして、学校に到着した。もちろん、大騒ぎになった事は言うまでもない。エルフ軍団は外庭に入ったところで止まった。
「ところで、君と君の婚約者の名前は……」
小声で族著が聞いて来た。
「イライザとレオン……」
頭が麻痺していた私は、素直に答えてしまった。
「そこに集いし人間たちよ。私はそなたらに危害を加えるつもりはない。私の目的はただ1つ。この娘イライザを我が妻とする事である。その婚約者であるレオンとやら。そなたに決闘を申し込む!!」
辺りは静まり返った。私は馬から転がるようにして降りると、大きくため息をついた。
「イライザ、これどういうこと?」
レオンがフヨフヨと飛んできた。
「細かい事をは後で話すけど、この人とあなたが私を巡って決闘するんだって。あなたが負けたら私はエルフと結婚する事になる」
私は小声で状況説明する。
「ええ、なんでそんな事に!?」
……私が知りたい。
「ほぅ、お主がレオンとやらか。随分若く見えるが……」
馬上から族長が言う。はい、魔法の失敗でちっちゃくなってるだけです。
「われらエルフは、相手がどんな敵であろうと全力で倒す。レオン、生きて帰れると思うな!!」
そう言って。ぱっと族長は馬から飛び降りた。改めて見るとかなりのイケメンである。しかし、男は中身だ。族長の強引さとレオンの柔らかさを持った男、どっかにいないかな……なんちって。
「えっと、要するにこの人倒せばいいんだよね?」
いつの間にか学校からも人が出てきてギャラリーの輪が出来ていた。そりゃそうだ。寮生活で面白みのない生活を送っているのだ。こんなイベントまたとないだろう。
「まあ、そうだけど」
私がうなずくとレオンは校庭の中央。エルフ軍団とギャラリーの中央にに立った。族長もそれに相対した。
「どんな武器を使っても構わん。いざ」
「勝負!!」
ノリノリで声を掛け合い、レオンの短剣と族長の剣が当たる金属音が響く。
形勢は意外にも同格。お互い1歩も譲らない。しかしまあ、なんでこう男って戦いが好きなんだろうねえ。キンと大きな金属音とともに、お互い見合う格好になった。
「ただの人間だと思ったら……やるではないか」
族長が肩で息をしながらレオンにいう。
「いやいやどうして、結構やるじゃん」
こちらも肩で息をしながら短剣を構えるレオン。ひたすら鍛錬していたのは知っていたが、まさかここまで強くなっていたとは……。彼の見せる男の顔に不覚にもどきっとしてしまった。私はやはりレオンがいい。
こうして、男と男の意地の張り合いは開始されたのだった。
もう何時間経っただろうか? 戦いはまだ続いている。最初はレオンを甘く見ていた様子のエルフの族長だが、今や時折攻撃魔法まで使うようになって来た。しかし、レオンもなかなかやる。短剣一振りで良くここまでやるものだ。
……勝てないな。
私は素直に思った。さすが男同士といいたい。この意地の張り合いには、私も根負けするだろう。
「レオンよ。素直にイライザを渡せ。もう存分に戦ったであろう」
金ぴかだった族長の鎧は傷だらけ、それだけレオンの剣を受けている証拠。対するレオンもそこら中傷だらけ。薄い結界でガードしているようだが、これでは致命傷を避けるのが精一杯だろう。
「誰がイライザを渡すだって? 冗談だろ?」
珍しく本気モードのレオンがそう言い放つ。そして、また剣の打ち合いが始まった。ギャラリーからはレオンコール。エルフ軍団からは族長コールが
上がる。もはや、この場で止められる者はいない。……いや、正確には私なら止められるが、今止めたら遺恨を残す。やらせておくしかない。
「はぁ、男ってどうしてこうなるかねぇ……」
剣と剣がぶつかり合う音が響き、大歓声が辺りを包み込み。私はずっと見てるが、2人の力は拮抗している。ちょっと油断すれば負け。ただの傍観者として見るなら面白いが、その商品が私となれば話は違う。方や一方的に一目惚れされて強引なエルフ、方やここまでずっといたレオン。どっちがいいか言うまでもない。男は腕っ節だけじゃないけれど、ここは男を見せろレオン。しばらく膠着状態が続いた頃だった、突然空から何かが降ってきて、2人の間に割り込んだ。左腕にレオンの剣。右腕に族長の剣が食い込んでいる。
「ちょ、長老!?」
族長がそう言って固まった。さすがに長老というだけに、年相応に見える。怖くて年齢は聞けない。
「双方そこまでじゃ。エルフと人間は争うてはならぬ。その掟を忘れたわけではあるまいな?」
ドスの利いた太い声で、長老は族長に言う。
「も、もちろんです。慌てて剣を引き、族長が恭しく礼をする。
そして顔をレオンに向ける。
「レオンといったかのぅ。この左腕に免じて剣を収めてくれぬかの?」
今度はのんびりとした様子で、レオンに言った。
「あっ、ごめんなさい」
一瞬なにが起きているか分からない様子だったが、とりあえずといった感じだったが、レオンは剣を鞘に収めた。
すぐさま医務室から出張でここに来ていたらしい魔法医のじいさまが飛び出し、長老の治療を始めた。
「おお、これは恩にきる。格好付けたが、実はかなり痛かったのじゃ」
……当たり前だ。
私は3人に近づいていた。もうお祭りはおしまいだ。
「エルフの族長さん。これが私の婚約相手なの。認めてもらえるかしら?」
族長はゆっくり立ち上がり、大きく苦笑した。
「ああ、認めるよ。ここまでの使い手だとは思わなかったな」
……よほど剣に自信があったのね。じゃなきゃ大事な場面で使わないか。
「レオン、大丈夫?」
レオンは1つうなずいた。
「全然大丈夫。こんなのかすり傷だよ」
よし、これで双方のコンディションチェック完了。
「さてと、これでノーサイドでいいわね。決闘は引き分け」
レオンと族長両方が同時にうなずく。かくて終了……と思ったのだが。
「あー、そこの娘。人間の族長に取り次いでもらえぬか? 我々の村もだいぶ手狭になってしまってな、これを機に森を出て新たな村を構築しようと思うのじゃ」
……えっ?
「そこでじゃ村を普請する許可を頂きたい。場所の指定は任せる」
長老は魔法医の治療を受けながら、私にそう言って来た。族長……国王の許可。ダメだ。私じゃ合ってもくれない。それなら……。
「レオン。ちょっとお父様の力借りていい?」
レオンは小さく笑った。
「もう手紙を書いたよ。すぐに謁見許可が出るはず。なにせ、今の王家はお父様に頭が上がらないからね」
……意外とやり手だわ。いつからこんな気が利くようになった。
「結果が出るまで2日くらい掛かると思うけど、エルフの皆さんはどうするの?」
レオンがエルフの皆さんに聞いた。もちろんエルフ語だ。って、いつ覚えた!?
「なに2日くらい大したことではない。ここにキャンプを張らせて貰ってよいかな?」
長老の言葉に私はうなずいた。
「もちろんです。当校はあなた方を歓迎します」
私がいう台詞ではないが、私はそう言った。すると、学校側のギャラリーから大歓声が上がる。意味はないだろう。ノリというやつだ。
それから、エルフのキャンプ作りが始まった。300人近くとかなり大規模なものなので大変だ。特に声を掛けたわけではないのだが、自主的に手伝いを始める学生や先生が現れ、作業は急ピッチで進んでいく。そういう私とレオンも手伝い組である。キャンプといっても本当にかんたんなもので、四方に柱を立てそれを長い布で覆っておしまい。これ1つで20名分だそうで……。気が遠くなりそうな作業だったが、手慣れたエルフと私たちの力であっという間に外庭一杯に300名分のテントが出来上がった。みんなで大歓声を上げる。
「イライザ殿、助かった。礼を言わせて貰おう」
長老は深く頭を下げた。
「いえいえ」
私は手をパタパタ振りながらそう言った。
「人間との共同作業など数百年ぶりじゃな。あとは戦ばかりじゃ……」
どこか遠くを見る長老はどこを見ているのやら。私には分からないが、なにか重さを感じる。
「さて、もうじき夜になる。お前さんもお帰り」
長老に一礼して、わたしは中庭へと移動した。すると、いつものベンチで彼は待っていた。
「全く、慌ただしい1日だったわねっと」
私はベンチの後ろから肩口の傷をポンと叩いた。
「いった!!」
レオンが悲鳴を上げるのと同時に、私は彼の横に滑り込む。
「あのさぁ、決闘やるときは2日前までに連絡ちょうだいよ。てか、なんでエルフの村なんかに?」
彼の質問に答えねばならないだろう。
「先生から頼まれて魔法薬の原料を取りに森に入ったんだけど、深く入り過ぎちゃってエルフのテリトリーに入っちゃったのよ」
苦笑交じりに私はそう言った。
「で、捕まってエルフの村へと。なるほど……」
……嫌み言ったなコイツ。
「エルフ3人と森で戦う根性ありません!!……で、連れて行かれたのがあなたが事を構えた族長さんでさ、私を見るなり一目惚れした。これから婚約者と決闘だ!!……ってね。これで私が介入する暇なく、あなたと決闘になっちゃったわけよ」
私は掻い摘まんで話した。
「ふーん、それでキスとかしたの?」
次の瞬間、私はファイア・アローの詠唱に入っていた。
「うぉ、マジ!?」
慌てて「飛行」で飛び上がった彼の足の下を、1本の炎の矢がかすめて飛んでいく。しかしこれでは終わらない。炎の矢は進路を急に変え空に浮いたレオンめがけて飛んでいく。
「ぎゃあああ!?」
慌てて逃げ回るレオン。執拗に追いかける炎の矢。私の目の前には「探査」の魔法で開いた「窓」がある。そこに浮かぶのはターゲットを示す赤い印と、追いかける攻撃魔法の青い点が浮かんでいる。レオンは街方向に逃げたようだ。
「さらにアイシクルランス……」
静かな怒りに満ちた私の攻撃魔法3発は、凄まじい勢いでレオンを追いかけ始める。ファイアアローより格段に速い氷の矢3本が、先行するファイア・アローを追い抜きレオンの追撃に入る。しかし、追い詰められたからなのか。ものすごい飛行技術で私の攻撃魔法をかわしていく。ちなみに、今回は目標を自動追尾するロックオンはしていない。私が攻撃魔法を直接操っている。でなければ、とっくにレオンはこの世にいない。さて、もうお仕置きはこのぐらいでいいだろう。私は全ての攻撃魔法を霧散させた。
「全く、なに言い腐ってくれやがるんだあのバカ!!」
思わず怒りの言葉を吐き出す私。しばらくの後、ヨロヨロとレオンが帰ってきた。
「イライザ、怒るならパンチにして……」
息も荒らげてレオンが言った。
「パンチじゃ足りなかったの。そんなに私って信用ない?」
レオンに問いかけると、彼は神妙な顔をした。
「信用はしてる。でも、状況的なにかあってもおかしくない。僕はそれを……」
私は黙ってレオンにキスした。ついでに抱きしめる。
「あのねぇ、私はあなただけを見てる。もし無理に割って入ろうとしたら、容赦なく叩きのめす。例えそれが戦争を招いたとしてもね。まっ、今回の決闘話は強引に持ってこられちゃったけど、相手が紳士的じゃなかったら吹き飛ばしてるわよ」
私は小さく笑った。ここにきてやっと分かった。私にはレオンしかいない。
「そっか……ごめんね。イライザ」
「わかればいいのよ」
私は小さなレオンの頭をワシャワシャした。
「さて、行きましょうか。もう門限が近いはずよ
私がベンチから立つと、レオンが引き留めた。
「あっ、これお父様経由で……」
レオンは私にやたらと重厚な封筒を渡した。まだ封蝋が切られていない。宛先は私だ。
「それ、王家の公用封筒。イライザ宛だからそのまま渡すよ」
「分かった、ありがとう」
王家から手紙とは随分出世したものだ。私はその手紙をポケットにしまい。レオンと本日最後のキスをして別れたのだった。
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