閑話「星来と渚沙」
「そうか、慧君は死んでしまったのか…」
慧がボス部屋の扉を斬っていた頃、地上の勇者1行は暗い雰囲気で包まれていた。
慧を橋から落とした後に、山中がバッカスに報告をしたのだ。そして今日の探索を打ち切り、慧を除く全員が集まると山中の口からもう1度説明された。
「これ以上犠牲を出す訳には行かない。よって、次回以降の探索は王国騎士団から1組一人づつ同行させる。今日はもう、部屋でゆっくり休むといい。」
バッカスはそう締め括り、国王や王子達に報告しに行った。
その後、山中と児島が凄惨な笑を浮べていることには誰も気が付かなかった。
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星来SIDE
私の名前は姫柊 星来。学校では2大マドンナと言われていた女子生徒だ。髪はロングで身長は156cm、胸はそこそこあるつもりだ(Cカップ)。
私には密かに思っている男子生徒がいた。彼の名前は大和田 慧。イケメンだったり頭が良かったりはしていなかったが、高校1年の時に優しくしてもらった記憶がある。
彼の心はとても暖かくて、私はそんな彼に次第に惹かれていった。
高校3年の春、私達は異世界に勇者として召喚された。目的は魔王の討伐。
もちろん断りたかったが、私たちにはこの世界の一般の人の5倍程のステータスがあり、元の世界に帰る手段もあると分かって王子の願いを承諾した。
訓練が始まると皆真剣に取り組んでいた。5倍程のステータスがあっても、油断していると死んでしまうからだ。
私が想いを寄せている慧君は、理事長の息子である山中君にいじめられていた。それはこの世界に来ても変わらなかったようだ。
でも、慧君の「今に見返してやる」といった気持ちのこもった目をしていた。私は地球にいた頃から彼のその瞳が大好きだった。
よく友人の綾辻 渚沙(愛称はなぎ)にその事などを話していてたまに呆れた目を向けられた。
そんな彼女も、話している間に慧君に惹かれていった……と思う。
訓練が始まって半年後、私達はダンジョンに入ることになった。
探索をしているとバッカスさんから念話が来て、1度入口に戻ることになった。そして、慧君の死が伝えられた…
私は悲しくて3日間部屋に閉じこもっていた。そして私は決意した。慧君が簡単に死ぬ訳が無い、私はこの国から出て慧君を探す旅に出ると。会ったら自分の気持ちを伝えると決めて。
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渚沙SIDE
私の名前は綾辻 渚沙。クラスの2大マドンナと言われている。
髪はポニーテールで身長は167cm、胸はBだ。
皆からはクールだとよく言われるが、私はそこまで達観してはいない。
なぜなら、大和田君が死んだと聞かされてとても悲しくなっているからだ。
友人の星来からよく彼の話を聞いていた。何故告白しないのだろうと思う位に星来は大和田君のことが好きだった。
星来と話している内に、私は大和田君に惹かれていった。暖かい心の持ち主、そして力強い瞳。まだ話したことはないけれど、実際に話してこの気持ちを確かめたい。
私は星来が彼を探しに旅に出ると言えば、それについて行こうと思った。彼と接して気持ちが変わらなかった時に、その気持ちを伝えるために。
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