第5話「創造と捕食」

 通路を進んで数分後、このダンジョンで初めて見る魔物を見つけた。(上層と下層で魔物の構成が違うので当たり前だが)


「とりあえず鑑定だな。」


 ロックリザード(♂)

 Lv37

 体力・・・3976/3976

 魔力・・・256/256

 攻撃力・・482

 防御力・・719


 スキル・・「硬化Lv7」「突撃」「槍術Lv5」


====================


「硬化」

 魔力を流すことにより任意の部位を硬化させることが出来る。Lv10になり、ある壁を超えるとスキルが進化する。Lvは無い。


「突撃」

 武器を持って突進する。


====================


「随分と防御特化の魔物だな。てかレベル高すぎ。俺の今のステータスで勝てるのか?」



 そう言って俺はもう1度自身のステータスを確認する。


 大和田 慧(男)

 種族 人族

 Lv 14

 体力・・・2091/2765

 魔力・・・1468/1468

 攻撃力・・368

 防御力・・246


 スキル・・「鑑定」「剣術Lv2」「刀術Lv4」「火魔法

 Lv2」「雷魔法Lv3」「隠蔽」「捕食」「無限収納」「創造魔法」


 称号・・・召喚されし者、勇者、復讐者、美の女神の加護


「………ん?俺の見間違いか?何か「創造魔法」とかいうのがスキル欄に追加されてるんだが……しかも「武器創造」が無くなってるぞ……」



「創造魔法」

 万物を創造することが出来る。魔法であろうと素材であろうと全てを。その気になれば命さえをも創造出来る。「武器創造」はこのスキルに統合された。



「ご都合主義万歳だな…まあ、力があって困ることはないんだが。とりあえず何か造って見るか。」



「スキル創造クリエイト!」


====================


「無詠唱」

 魔法を詠唱無しで撃つことが出来る。


「合成魔法」

 複数の属性を混ぜ合わせることが出来る。


「消滅魔法」

 触れた物全てを消滅させる事の出来る魔法を使えるようになる。


「爆裂魔法」

 任意の場所を爆破することが出来る。


====================


「うん、やり過ぎたな……反省はしている。だが後悔はしていない。まずはスキルを試して見るか。」



 俺はロックリザードに無詠唱で複属性魔法を使ってみた。



火雷ファイアボルト!」



 すると雷と火が混ざり合った様な弾丸が飛んでいき、ロックリザードに少なくないダメージを与えていた。



「おお、結構カッコイイな。」



 そう俺が感心していると、ロックリザードが槍を突き出して突っ込んで来た。おそらく「突撃」のスキルだろう。

 距離があったので簡単に避けることが出来た。避けられたことが分かるともう1度突っ込んでくる。



「今度は消滅魔法を使って見るか。そう言えば、この世界で唯一のスキルだから魔法名とかまだ無いのか…よし、ここは某お兄様の技を使わせて貰うか。」



雲散霧消ミ〇ト・ディス〇ージョン!」



 すると目の前からロックリザードが消え去ってしまった。



「しまったな、全部消しちゃった。ステータス上げるチャンスだったのに……気を取り直して次行くか。……ん?」



 次の獲物を探そうとした時、視界の隅で何かが動いた。その何かが動いている音は聞こえるがその姿迄は見えない。


(もしかして透明になったりするスキルでもあるのか?)


 そう思ってまた新たなスキルを創造した。



「スキル無効化」

 半径10mの範囲内ならば全てのスキルの効果を打ち消すことが出来る。Lvが1上がると範囲が10m伸びる。



(うん、チートだな。だがこれで相手の姿が見える……はず)



 俺は「スキル無効化」を発動させた。すると目の前にカメレオンの様な姿をした魔物が現れた。


====================


 カメオン

 カメレオンの様な姿をした魔物。透明化能力があり、舌で強力な打撃攻撃をして来る。上級冒険者でも苦戦する。透明化が解ければあまり強くない。




カメオン(♀)

Lv36

体力・・・2480/2480

魔力・・・104/104

攻撃力・・762

防御力・・385


スキル・・「透明化」「隠密」


====================


 相手はまだスキルが無効化されていることに気がついていないようだ。

 俺はこれ幸いとばかりに爆裂魔法を使う。もちろん先の消滅魔法と同じ失敗はしないようにする。



「爆裂ブラスト!」



 パァン!!



 思ったよりも高い音でカメオンの頭が弾け飛んだ。



「うわぁ、これはひどい。グロ注意だな。」



 俺の前には頭が無くなったカメオンの胴体があり、その周辺にはカメオンの頭だったピンク色の肉片が散らばっていた。



「取り敢えず捕食だ。気にしていても始まらんだろう。」



 俺はこみ上げてきた吐き気を抑えながらカメオンの肉を食った。



「ぐあああああ!!な、なんだこれはっ……頭が割れる!ああああ!!」



 肉を食った直後、激しい痛みに襲われた。

 捕食の副作用で激しい痛みに襲われるとあったが、俺はこの時の完全に失念していた。


 しばらく痛みに耐えていたが、目の前が霞み、やがて意識が落ちた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ん、ここは……そうか、俺は捕食の反動で意識を失っていたのか。にしても、よく魔物に襲われなかったな。」



 まだステータスを見ていないので気がついていないが、カメオンの肉を食った時点で、慧はこの階層の魔物では相手にならない程強くなっていたのだ。それにより威圧感が出ていたので、他の魔物は近づけなかったのだ。捕食スキル様々である。


(カメオンの所持していた「透明化ステルス」と「隠密」のスキルを取得しますか?Yes/No)


「Yesだ」


(「透明化」と「隠密」のスキルを取得しました。)


「………ん?ちょっと待て。誰だお前は。」


(私はマスターのスキルである「鑑定」に出来た人格です。知恵袋などの、マスターを助けるためのものだと思っていただいて結構です。)


「分かった。まずはステータス確認だな。」


「ステータス!」



 大和田 慧(男)

 種族 人族?

 Lv24

 体力・・・6784/7458

 魔力・・・2073/2073

 攻撃力・・2974

 防御力・・2889


 スキル・・「鑑定」「剣術Lv5」「刀術Lv7」「火魔法

 Lv5」「雷魔法Lv6」「隠蔽」「捕食」「無限収納」「創造魔法」「無詠唱」「合成魔法」「消滅魔法」「爆裂魔法」「スキル無効化Lv1」「透明化」「隠密」「千里眼」


 称号・・・召喚されし者、勇者、復讐者、美の女神の加護、人外に足を踏み入れし者


====================


「透明化」

 体に魔力を流すことで透明になる事が出来る。


「隠密」

 気配を消すことが上手くなる。


「千里眼」

遠くを見通すことが出来る。人格が生まれたことにより、本来は出来ないことができるようになってしまった。


====================


「…………は!?いやいやいや!ステータス上がりすぎだろ!!てか種族の人間?ってなんだ!!称号もだよ!好きで人外になりたいんじゃねーよ!!」



 俺はステータスの上がり方に驚いていた。まさか捕食スキルがここまで仕事をしてくれるとは思っていなかったのだ。



「まあなったことをぐだぐだ言っててもなんにもならんか。でも、レベルが上がっても体力が全回復しないのは予想外だったな。ゲームじゃないんだからと言われればそれまでかもしれないけど。ここは創造魔法の出番かね。」



「スキル創造!」


====================


「体力自動回復」

 3秒毎に体力の全体の5%回復する。


「魔力自動回復」

 3秒毎に魔力の全体の5%回復する。


「スキル統合」

 スキルを統合して最適化させる。


====================


 大和田 慧(男)

 種族 人族?

 Lv24

 体力・・・6784/7458

 魔力・・・2073/2073

 攻撃力・・2974

 防御力・・2889


 スキル・・「鑑定」「武術Lv7」「属性魔法Lv3」「隠蔽」「捕食」「無限収納」「創造魔法」「無詠唱」「合成魔法」「消滅魔法」「爆裂魔法」「スキル無効化Lv1」「隠密」「体力自動回復」「魔力自動回復」「千里眼」「スキル統合」


 称号・・・召喚されし者、勇者、復讐者、美の女神の加護、人外に足を踏み入れし者



「うん、統合して進化したスキルがあるな。」


====================


「武術」

 戦闘に関すること全てが上手くなる。


「属性魔法」

 全ての属性の魔法を使えるようになる。最大Lvは5

Lv1〜4で火、氷、風、雷、光、闇

Lv5で炎、氷結、烈風、雷光、聖、夜


====================


「武術と属性魔法はかなり有難いな。そう言えば、まだ武器創造を試してなかったな。創造魔法に統合されたけど。1度作ってみるか」



 ということで



「確か刀は柔らかい金属を硬い金属で覆って折れにくいようにしていたはず。で、斬ることに特化していると。よし」


「武器創造ウェポンクリエイション!」


 手を突き出して魔法を発動した。すると光が手のひらに集まって刀の形を取った。そして手には、かなりの威圧感がある刀が収まっていた。



「凄い威圧感だな。何だか性能がバグってそうな予感。」



 そしてその予感は見事に的中した。


「鑑定!」


「神刀・夜桜 Lv1」

 持ち主と共に成長していく刀。折れることは無く、その刃は全てを斬り裂くことが出来るだろう。

 特殊能力・・空間切断、万物切断

 ステータス補正・・攻撃力+2500



 うん、俺の予感は正しかったな



 刀の刀身は黒く鈍く光っている。柄もくろく、鞘も黒い。真っ黒である。しかし、鞘には少しの装飾がなされており、豪華な感じはしないがいい刀であると一目で分かる。

 それよりも、問題は刀の能力とステータス補正だ。

 全く成長していないのに攻撃力+2500。つまりは更に上がるのである。



「これはもう、色々と諦めた方が良いかもしれないな。」



 この時から、俺は一切の自重をしない事に決めた。(元々する気は無かったが)





 刀を創造してから数十分。俺は出会った魔物を片っ端から切り刻み、肉を食って自身を強化しまくっていた。

 そして目の前には、明らかに最終ボスがこの先にいると言った感じの扉が佇んでいた。



「よし、サクッと倒してサクッとこのダンジョンを出よう。」



 そう言って俺は目の前の扉を










 斬った


 嫌だって、1度はこういう無茶苦茶なことしてみたいだろう?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る