第4話「ダンジョン探索と悪意」

「ここが5番目のダンジョンである「ガロアダンジョンだ。」



 出発してから2時間程経って、俺達は目的地である「ガロアダンジョン」の前にいた。

 ここでダンジョンについて説明しておこう。

 ダンジョンとはこの世界に7つあり、それぞれのダンジョンを攻略するとステータスが上昇するとの事だ。

 そして、ダンジョン攻略者の称号が手に入る。

 ダンジョンの中には地上と同様魔物が蔓延っていて、通路を進んでいるといきなり目の前にポップすることもあるらしい。ちなみに、ダンジョンでの死亡原因は大体がこれだ。

 ダンジョンはその殆どが100階層程で構成されている。



「では、ここから3人〜5人1組となって探索を初めてほしい。あまり下の階層には行かないように。帰る時間となれば私が「念話」で知らせるので直ぐに戻って来てくれ。それでは解散!」



(さて、誰と組もうか。と言っても、俺と組んでくれる奴なんかいないと思うが。いたとしたら山中が絡んで来るくらいだしなぁ)



「おい慧!俺達と組もうぜ!」

(ほら来た)

「うん、よろしく山中君、児島君。」

「足引っ張んなよー。」



 俺は山中と児島と一緒に探索を始めることになった。この後の出来事が俺の運命を変えることになるとは、この時の俺には予想出来なかった。






 ザシュッ



「かなり雑魚いな。こんな奴ばっかじゃ訓練にならねえぜ。」



 そう言っているのは、何故かステータスがアホみたいに高い山中である。

(いやまあ、俺も「捕食」使ったらステータス上がるんだけどさ。)



「おい、ここじゃあ訓練にならないから下層に行くぞ」



 山中はそう言って先に進んで行ってしまう。

 結果、俺達も進むしかなく下層に行ってしまう。






 下の階層を目指して進むこと十数分。俺達の前にはいかにもボロそうで、乗れば崩れてしまうのではないかと言うような吊り橋が架かっていた。



「おい慧、お前が先に行って安全かどうか確かめてこい」



 そう言われて、俺は橋の上を進み出した。

 橋は本当にボロボロで崩れてしまいそうだったが、何とか人が通ることは出来そうであった。



「大丈夫、ちゃんと渡れ…」



 俺は後ろを振り返って安全な事を伝えようとした。しかし俺の目には、吊り橋を落とそうとしている山中と児島の姿が映っていた。


 そして数瞬後、橋は落ち、俺の体はは浮遊感に包まれた。

 最後に見えたのは嫌な笑を浮かべたあいつらの顔だった。


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 山中SIDE


「ははっ、やっと殺せたぜ!」



 俺は大和田が嫌いだった。理由は高校三年生の始めの頃、クラスの2大マドンナと言われている姫柊 星来と綾辻 渚沙が、よく慧のことで話をしていたからだ。(ちなみに毎回慧の話を持ちかけるのは星来であって、渚沙はただ相談に乗っていただけである)

 そのため慧に嫉妬し続けて、いつの間にか嫉妬は、慧を殺したいという感情に変化していた。



「地球で殺せば色々と面倒だが、この異世界では命のやり取りが日常茶飯事。殺してもただの事故だと言い張れば全く問題が無い。いやぁ、やはり俺は天才だぜ。」



 そう言い残して、山中はバッカスに慧が事故で死んでしまったということを報告するために、地上に戻っていった。


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 慧SIDE


 落ち続けて少し経った。今、目の前には地面が迫ってきている。この世界ではステータスの体力が0にならない限り死なないそうだ。それはどういう事かと言うと…



「いててて。しっかしあいつら、まさか殺しに来るとは思わなかったぜ。ところでここはどこだ?」



 橋から落ちても生きていられるという事だ。もちろん痛いことは痛いが。


 俺は周りを見渡す。周りには何も無くただの広い空間であった。



「まぁ、分からないことはほっといてステータスの確認でもするか。」



「ステータス!」



 大和田 慧(男)

 種族 人族

 Lv 14

 体力・・・2091/2765

 魔力・・・1468/1468

 攻撃力・・368

 防御力・・246


 スキル・・「鑑定」「剣術Lv2」「刀術Lv4」「火魔法Lv2」「雷魔法Lv3」(「隠蔽」)(「捕食」)(「武器創造」)(「無限収納」)


 称号・・・召喚されし者、勇者、復讐者、(美の女神の加護)



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「鑑定」

 相手のステータスや道具の性能など、ありとあらゆるものを読み取ることが出来る。ただし、隠蔽スキルで隠蔽されている場合は鑑定が進化したスキルでしか読み取ることが出来ない。


「剣術」

 剣を扱うことが上手くなる。Lv10になり、ある壁を超えるとスキルが進化する。


「刀術」

 刀を扱うことが上手くなる。Lv10になり、ある壁を超えるとスキルが進化する。


「火魔法」

 火属性の魔法を使うことが出来る。Lvが上がると使える魔法が増え、威力も上がる。Lv10になり、ある壁を超えるとスキルが進化する。


「雷魔法」

 雷属性の魔法を使うことが出来る。Lvが上がると使える魔法が増え、威力も上がる。Lv10になり、ある壁を超えるとスキルが進化する。


「隠蔽」

 ステータスを隠蔽する事が出来る。隠蔽されているスキルは()で表示される。


「捕食」

 魔物の肉を食べることが出来、ステータスが上がる。食べた魔物のスキルは任意で取得することが出来る。自分のより強い魔物を食べると、程度によるが痛みに襲われる。

 魔物の肉には毒素があり、このスキル無しに食べると死んでしまう。


「武器創造」

 ありとあらゆる武器を創造することが出来る。創造した武器はその場に残るが、壊れれば消える。武器の善し悪しはイメージがしっかりとしているほど業物の武器が創造出来る。


「無限収納」

 物を亜空間に無限に収納することが出来る。内部の時間は止まっていて、生きているものは入れることが出来ない。


「召喚されし者」

 異世界に召喚された者にに贈られる称号。


「勇者」

 その名の通り勇者に贈られる称号。

 経験値取得3倍の効果がある。


「復讐者」

 復讐を誓った者に贈られる称号。


「美の女神の加護」

 美の女神の加護が与えられた者に贈られる称号。体力と魔力が増加する。


====================



「上から落ちてきたんだから体力は減ってるよな。てか、称号の復讐者って…まぁ間違ってはいないけどさ。さて、ステータスの確認も終えたし、まずはここの最深部を目指して見るかな。俺を殺そうとしたあの2人には復讐しなくちゃなんないしな。」



 そう言って俺は通路を進んでいった。

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