第3話「異世界情勢と訓練」

 次の日、俺達は大広間に集められていた。昨日言ってた魔王についての話の続きだ。



「よく集まってくれた。昨日の話の続きをしようと思う。魔王とは、魔族を統括している王のことだ。その魔王は先代までは友好関係を築けていたのだが、今代の魔王は我々人族や獣人族、ドワーフ族、エルフ族などの魔族以外の種族に対し戦争を仕掛けている。そして、既に我が国の首都付近まで攻め込まれているのだ。よって、我が国は…」



 馬鹿みたいに長い説明だったので要約させてもらう。要は

 ・魔族は自分たちの種族以外に戦争を仕掛けている

 ・この国は首都付近まで攻め込まれている

 ・他の種族はまだ余裕がある(人族は身体的スペックが1番低い)

 ・この国の国を守るために戦ってほしい

 ・この国の名前はハイランド王国である

 ・時間の単位と通過は何故か同じだった(助かるので別に構わないが)

 ・地球と違うところと言えば一年が360に固定されているところ位である


 大体はこの4つだ。結局は4つ目の理由が全てである。



(てか3つ目。流石に身体的スペックが最低って言っても、この国のみたいに既に落とされかけなんてことがあるのか?この国が先に手を出したとかあるんじゃ…)



「どうだろうか、私達と共に戦ってはくれないだろうか?もちろん、今から全員で話し合ってくれてもいい。そして最後に、君たちが元の世界に帰る方法はあるので安心してほしい。」



 その言葉を聞いて、俺達は1箇所に集まって話し始めた。



「僕はこの国のために戦ってもいいと思う。帰る手段もあるらしいし、なにより困っている人たちを放っては置けない。」



 こう切り出したのはクラス委員の渡辺 健二だ。



「そうだな、帰る手段があるのなら戦ってもいいと思う。」

「でも、私達のステータスが一般の人と比べてどれ位高いのかも分からないのよ?」

「では、それは聞いてみようか」


「すみません、王子。僕達のステータスは一般の人と比べるとどのくらい強いのでしょうか?」

「ああ、ごめんね。先に話しておくべきだったよ。君たちのステータスはこの世界の住人の平均の5倍程ある筈だよ。」

「おお!5倍もあんのか!」

「それなら協力してもいいわね!」



 その声に続いて皆も賛成し始めた。俺は少しこの国に疑問を待ち始めていたが、この空気で1人反対して目を付けられるのも嫌なので賛成した。



「うん、皆も同じ意見のようだね。王子、僕達はこの国に協力することにします。」

「ありがとう!これでこの国は救われるよ。」



 こうして、俺達はこの国に協力することになった。



「それでは、戦闘訓練を始めるので訓練場に移動してほしい。」



 30分後僕達は訓練場に集まっていた。そして目の前にはあの人がいた。



「今から訓練を始める!私の名前は知ってると思うがバッカスだ!」



 そう。この国の騎士団長であるバッカスさんだ。まさか俺達の教官になるなんて思っても無かった。



「この訓練場には結界が張ってあって、中で怪我をしても外に出れば全て治るように出来ている。流石に死んだら治せんがな。なので相手を殺さないことだけを注意しながら思う存分訓練して欲しい。では、まずは2人1組になって打ち合いをしてくれ。武器はそこの籠に入っているのであれば好きに使ってくれて構わない。」



 そう言ってバッカスさんは壁際に引いていった。全体を見てアドバイスをするためだ。



「おい慧、俺と訓練しようぜ。」



 そう言ってニヤニヤと笑いながら近寄ってきたのは、予想どうりというか山中だった。



「分かったよ。ところで山中君のステータスを見せて貰ってもいいかな?」

「ああ、いいぜその代わりお前のクソみたいなステータスも見せろよ。」



 そう言って山中はステータスを見せてきた。



 山中 誠也(男)

 種族 人族

 Lv 1

 体力・・・4689/4689

 魔力・・・5013/5013

 攻撃力・・1276

 防御力・・1043


 スキル・・「闇魔法Lv1」「剣術Lv1」「盾術Lv1」


 称号・・・召喚されし者、外道勇者



====================


「闇魔法」

 闇属性の魔法を使うことが出来る。Lvが上がると使える魔法が増え、威力も上がる。Lv10になり、ある壁を超えるとスキルが進化する。


「盾術」

 盾を扱うことが上手くなる。Lv10になり、ある壁を超えるとスキルが進化する。


「外道勇者」

 その名の通り外道な勇者に贈られる称号。

 経験値取得3倍の効果がある。


====================



(すげぇな。こいつに外道勇者の称号とかピッタリじゃねーか。てか、何でこんなにステータス高いんだ?)



「ハハッ、やっぱお前はカスみたいなステータスしてんなぁ!!俺様が鍛えてやるよ。なに、この中でどれだけ怪我しようが外に出れば治るみたいだしな!」

「う、嬉しいな。ありがとう山中君。」

(調子に乗りやがって、いつか痛い目見せてやる)



 昼休憩を挟んで訓練を続けた俺達はかなりボロボロになっていた。



「よーし、今日はここまでだ。明日に備えてしっかりと休むように!」



 バッカスさんが締め括って訓練が終わった。



「おい慧。明日からも俺が訓練してやるよ。まあ、お前はカスいままだろうけどなぁ。」



 そう言って山中は去っていった。


 訓練で山中にボコられて飯を食って寝る。そんな1日が半年程続いたある日、バッカスさんが俺達に告げた。



「明日はダンジョンに入って訓練する。今日の疲れは絶対に残すな。ダンジョンでは少しの油断が命取りになるぞ。」



 皆はバッカスさんの言う通り直ぐに就寝した。






 その翌日。朝早くから王城の正門前に俺達は集まっていた。



「では、これからダンジョンに向かう!」



 そうバッカスさんは声を張り上げた。俺達はその後について行った。その後の出来事が俺の運命を変えるとも知らず…

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