第2話「異世界召喚」
時は召喚前に遡る。
僕の名前は大和田慧。容姿は普通で身体能力、学力も普通のただの高校3年生だ。そして
「おい慧!お前購買でパン買ってこいや!もちろんお前の金でなぁ!」
「お、じゃあ俺の分も頼むわ。今日昼飯忘れてさぁ、いやぁー慧が居てくれてよかったわ」
「わ、分かったよ。だから、もう今日は僕に絡まないで欲しいんだ。」
「ああ?お前何言ってんの?絡むにきまってんだろ。だいたいよぉ、人に物を頼む時は土下座して頭下げろよ。」
今の会話から分かるように、僕はクラスのいじめられっ子だ。こいつらはクラスのいじめっ子である山中誠也と児島武である。山中の親はこの高校の理事長であり、児島の親はその側近だ。そのため、こうしてイジめをしていても先生達は何も言わない。自分がクビになるのが怖いのだ。クラスの皆も何も言わない。そのため、僕はもう諦めていた。
いつものようにパシられて購買に行こうとした時
「あれ?ドアが開かないぞ!」
そんな声が聞こえた。
「何言ってんだ、外から鍵でも掛けられてる訳じゃねーんだぞ」
「そうよ、ドアなんて簡単に開くでしょ。」
「ちょっと貸してみろ……な、マジで開かねぇ。窓はどうだ?」
「おい、窓も開かねえぞ!一体どうなってるんだ!?」
その時、教室の床全体が光った。床には何か複雑な模様が浮かんでいた。
「魔法陣?」
僕がそう呟くのと同時に視界が真っ白になった。
目を覚ますと、周りは真っ白に染まっている空間にいた。
「ここはどこだ?確かに教室にいた時に床に魔法陣が浮かんで召喚か何かされたようだけど…」
『気がついたみたいだね。』
声のした方に顔を向けると、こんな人が本当にいるのか?と思うほどの美人がいた。
『嫌だなぁ、美人だなんて。でも、実際にここにいるよ』
「マジか。ところでアンタは誰だ?心を読むくらいだから神様か何かか?」
『そうだよ。私は美の女神ステラ。面白そうな魂が異世界に召喚されると分かったから話して見たかったんだ。君たちは異世界に勇者として召喚されたんだよ。そこで、君にはいくつかのスキルを与えようと思うんだ。』
「何故そこまでする?アンタは俺とは初対面だろ。」
『言っただろう?面白そうだって。理由はそれで十分さ。さて、与えるスキルだけど「スキル隠蔽」「捕食」「無限収納」「武器創造」の4つだよ。それと、もう時間がないからあっちに行く心の準備をしてね。』
「おい待て、質問させ…」
『それじゃ、いってらっしゃーい』
「せめて質問くらいさせろー!!」
話の後に質問出来ると思っていたが、まさかの強制出発。俺が叫んだと同時に再び視界が真っ白になった。
「ったくあの野郎、少しくらい質問させろってんだ。」
そう悪態をつきながら周りを見ると、クラスの皆が横たわっていた。おそらく、召喚された後はこうなるのだろう。
しばらくして皆が目を覚ました。すると目の前の扉が開いて、イケメンの青年と全身甲冑の騎士が数人、そして魔法使いみたいな格好をした年老いた人が入ってきた。
「おお、勇者達よ。この国を救うため、魔王を倒してきてはくれないか。」
開口一番言ったことがこれだったので、予め女神から聞いていた俺ですら少し呆れた様な顔をした。
「魔王云々は置いといて、あなたは誰なんですか?」
クラス委員の渡辺 健二がクラスを代表してこう聞いた。
「貴様、無礼であるぞ!!この御方は…」
「そこまでだ、バッカス」
「ですが!!」
「うちのバッカスが済まないね。彼は根はいい奴なんだが少しばかり神経質なんだ。ちなみに、この国の騎士団長をしている。私はこの国の王子でラスティという。まずはステータスと唱えて見てくれ、目の前にステータスが表示されるはずだ。」
そう聞いて皆は一斉に唱えた。
「ステータス!」
大和田 慧(男)
種族 人族
Lv 1
体力・・・1867/1867
魔力・・・843/843
攻撃力・・209
防御力・・164
スキル・・「鑑定」「剣術Lv1」「刀術Lv1」「火魔法Lv1」「雷魔法Lv1」「隠蔽」「捕食」「武器創造」「無限収納」
称号・・・召喚されし者、美の女神の加護
(おいおい、スキルのことは聞いていたが加護は聞いてねえぞ。まあスキル隠蔽で隠しとけば何とかなるか…)
大和田 慧(男)
種族 人族
Lv 1
体力・・・1867/1867
魔力・・・843/843
攻撃力・・209
防御力・・164
スキル・・「鑑定」「剣術Lv1」「刀術Lv1」「火魔法Lv1」「雷魔法Lv1」(「隠蔽」)(「捕食」)(「武器創造」)(「無限収納」)
称号・・・召喚されし者、(美の女神の加護)
(とりあえずこんなもんだろう)
「ステータスは見れたかい?今日は色々あって疲れただろうからもう休んでくれて構わない。ただ、明日もう1度魔王に関しての説明を行うので、その時にどうするか決めてほしい。」
王子はそう締めくくって部屋を出ていった。その後俺達は控えていたメイドに部屋に案内されてベッドで眠った。
こうして異世界での1日目は終わった。
(てか、メイドとかマジでいるんだなこの世界…)
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